第391話 第1ヘリポート!第2ヘリポート!応答願います!!

「今日ね、わかめラーメン食べてむせちゃった。」


「本当?ゆっくり食べないと危ないよ?」


「うん。由奈さんに会えなくなったら困るもんね。」


 夜、いつものように2人でお風呂に入る由奈とひより。10回のうち9回は、由奈がひよりを抱っこして湯船に浸かる。残りの1回は気まぐれでひよりが抱っこしたがるから、由奈は言われた通りにされてやるだけだ。今日のぴよりは甘えたモードだ。由奈の胸に頭をグリグリしながら、今日1日のご報告会をしていた。


「くんくん。汗をいっぱいかいた子どもの匂いがする。今日も頑張ったね。」


「えへへ。ひよりは頑張ってるよ!今日もね、笑美ちんもひとちんも、ひよりのノートを写す気満々なんだよ。まったく〜、困ったもんだよ!」


「は?入学したてでもうそんな感じなの?あいつら、大丈夫??」


「まぁ?わからないでもないよ。恋したばかりだとあんな感じになっちゃうの、ひよりだってそうだったもん。ひよりは心が広いからね!ひよりみたいに落ち着いた恋愛が出来るようになるまで待ってあげるよ!」


「えらいね、ひより。」ナデナデ


「あん、由奈さん!なでなでするところ間違ってるよ♡」


「あ、ごめんつい癖で。」


「いいよ♡ひよりのおっぱいは、由奈さんの手のヘリポートだからね。ユナポートだよ!」


「じゃあ、プライベート遊飛行だね。」*え、由奈氏も変。


 相変わらずイチャイチャが止まらない2人。ユナポートでプロペラを回しながらも、ご報告会は続く。


「あっ、ハァン♡でね、学校がおわ、終わっ!ぉぉぉぉぉおわ〜〜〜っっっっ!!!♡♡♡」


 話が進まないので回顧シーンに移ります。


『恋のエンジンが止まらないから今日は行けないの。明日ノート写させてね♡』


 ひよりに仁映からのメッセージが届いたのは全ての授業が終わってからだった。


「なぁにぃぉぉ!!??真っ昼間っから致しておるではないかー!?」ナンダトォー!


「なんて?来ないって?」


「笑美ちん!ひとちん、どうやらさゆりさんとエッチしててサボったみたいだよ!」


「うわ。っていうか、今日ってパン屋さんに履歴書を持っていく約束なんだけど。」


「きっと忘れてるよ。脳内はじけ中だから。まぁ気持ちはわからないでもない!」


「そ、そう・・・(え、そんなにすごいの?)」


 じゃあ、2人で行こう。かえってその方が話が早く進むだろうし。そういうことになったので、2人は大学を出て駅近くのパン屋へと向かった。


 ドキドキしている笑美とは対照的に、ひよりは上機嫌だ。だって、焼きたてのパンが食べ放題だから。*そんなわけない。


「ねーねー、笑美ちんがかっこいいってなったのは女の子だったんだよね?」


「あ、それなんだけど、、ちょっと事件があって。。」


 説明しておきたい。だが、大学からパン屋までは歩いてすぐだった。ひよりに説明するのはどうやら後になりそうだった。パン屋はすでに目前にある。ほのかにパンの匂いがすると、ひよりは先に駆け出してしまった。*無意識。


「あ、ひより!待って!」


「たのもー!ひよりでござるー!」アハハハハ


 とはいえ、人見知りなひよりはすぐに大人しくなった。後ろから来た笑美に玄関を開けさせようと笑美の背に隠れる、かわいいの塊。


「ひよりの自己紹介、笑美ちんがしてね。」


「え、なにそれ。多分面接は一人で、、」


「お隣にいて。」


「わかったよ。はぁ、、ごめんください。アルバイト希望の者ですが。」


 店頭には誰もいなかった。笑美の声を聞いて、奥の作業場から男性の「はーい」と言う声が聞こえた。しばらくすると、この店のオーナーが現れた。


「やぁ。君だね。後ろに隠れてるのは?」


「あの、前にお話した友人です。履歴書を持ってきました。」


 その時、ぴよりは笑美の身体の後ろからぴょこっと顔だけを出した。オーナーと目が合った瞬間・・・ぴよりの目は輝きに満ちたんだ。


「わぁ。ジャ〇・・・おじ・・・さん・・・っっ!!!」


「ち、ちいさい・・・。ぱ、パン・・・た、食べる・・・?」


「う、うん。」


 またしても、未知との遭遇に片言化した。


 続く。

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