第338話 キリンさんみたいでーラクダさんみたいなぁー

「あ、いた!由奈さぁぁーん(´。✪ω✪。`)✧*。」アナタノピヨリー‼

「あ、ひより!・・・って、え!?」


 ぴょこぴょこと現れたひより。隣には見たことのない女性が引率していた。あまりに予想外すぎて、由奈は目を丸くしてその女性をじっと見てしまった。


「あ、あの、、こちらは??」

「あ、どうも。」


 ぺこりと頭を下げる笑美。お互いに何者なのかわからず、しばし見つめ合う。


「あ、お友達になった笑美ちゃんだよ。」

「お友達?そうなの??」

「うん!今から一緒にオリエンテーション行くんだ!」キャピー‼

「そ、そう。良かったね。」


 由奈、いきます。


 は?いつの間に友達なんて作ったんだ??入学式が始まるまで、1人でオロオロしていたはずなのに・・・。お、恐るべし、ひより。さすがと言うべきか。


 やっぱり、こいつはただ者ではないんだ。いつだって、私の想像を軽々と超えてくる。やるね、、ひより。それにしても、、なんて雰囲気の違う友達を見つけてきたんだ。。どう見てもひよりと仲良くなるタイプではない・・・いや、この天使にとって、仲良くなれないタイプなどいないのか、、。そうか。また私の汚れた考え方だったようだ。


 にしても、綺麗な子だな。私より背が高いし、、まさか、、モデル?顔のパーツもなんていうか、、ひよりが手作り和菓子なら、この子は機械で精密に作られた・・・


「ま、マカロン・・・。」

「え?なんですか??」


 しまった。ついうっかり、犬の名前のように呼んでしまった・・・。


 マカロンみたいにかわいくて甘い雰囲気だね。そう言われたなら、誰でも悪い気はしないだろう。しかし、このやりとりのあとにやらかしたのは、ひよりだった。


「あ、笑美ちんってすっごい綺麗でしょ!キリンでラクダみたいっしょ!」*訳:キリンさんのようにすらりと背が高くて、ラクダさんのようにまつげが長いという賛辞の言葉のつもり。


「え?なにそれ?ディスられてる??」*困惑するよね、笑美ちゃん。。


「ん??◉⁠‿⁠◉」ドチタ?


「まぁ、いいや。えっと、それより行かないと。友達が待ってると思うから。」


「ん、そっか。由奈さん、そういうことだから。ひより、行ってくるね!お仕事頑張ってね!!」


 元気そうなひより。とりあえずは一緒にいてくれる友達ができたのだ。安心して送り出そうと気を取り直した由奈。自分もそろそろ仕事に行かなくてはならないのだ。突如現れた救世主、笑美にひよりを託すことにした。


「えっと。じゃあ、私は仕事に行くね。えみさん、、ひよりのこと、よろしくお願いします。ひより、、仲良くしてもらうんだよ。」


「あ、こちらこそ。では。」ペコッと頭を下げる笑美

「あいっ!୧(⑉•̀ㅁ•́⑉)૭✧」やる気むんむんのぴより


 不安はあるけど、、とりあえずは気にしても仕方ない。どのみち、これから4年間は、由奈と離れて新しい環境で過ごしていかなければならないんだ。気にせず、このまま帰ろうと、由奈は手を振りながら校内に歩いて行くひより達を見送った。


「よし。仕事に行こう。がんばれ、ひより。」


 っていうか。随分と綺麗な子だったけど、、まさか、、まさかね。。ひよりはああいう感じの子もタイプなんだろうか。。いや、ひよりは私にぞっこんだからね。そんなわけは、、そんなわけは、、ない、、、、、、


「ふっ、大人げないな。いらない心配だね。うん、大丈夫。あはは、、」


 でも、、手を繋いでたのはちょっと・・・ムカついた、、いや。なんでもない。



 うわぁ!ヤキモチ妬いてる!!かっちょわりー、由奈氏~!!笑


 続く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る