第334話 ぴよりの合格発表だよ!

「しゃん…、、しゃぁぁん!ひより、お腹痛くなってきたよぅ!」ガクブルガクブル


「大丈夫?もう少し、あとにする?」


「うん。。お願い…強く抱きしめて!大丈夫だよって100回言って…。」フラフラスユ…


 ついに、この時が来てしまったんだ。ひよりの第一希望の大学受験、結果発表の時が。元々の成績は良い方だったひよりだが、由奈と付き合うようになってからは由奈の教えによって急激に学力が伸びた。それもあって難関大学を受験したんだ。たとえ不合格だったとしても、誰もが仕方ないと励ましてくれるに違いない。だとしても、ずっとそばで勉強を教えつづけれくれた由奈のことを思うと、ひよりは絶対に合格して由奈を喜ばせたかった。


「大丈夫。大丈夫。ひよりは頑張った。だから大丈夫だよ。」


「も、…ももももも?」*もしも落ちてたら?すら言えないかわいいの塊ぴより。


「どんな結果でも大丈夫だから。皆、ひよりが頑張ったの知ってるよ。」


「ひよりの人生が今…決まろうとしている。。やべぇ汗が止まらない。。喉がカラカラ。。みゃくひゃくが速いの。。」ドッキンコードッキンコッ


 大学受験の結果発表は、URLにアクセスして自宅で見ることが出来る。ひよりはすでにアクセスしていた。あとは自分の受験番号があるか確かめるだけ。だけどスマホを持つ手が震える。


「も、むり。ひよりは限界っ!ムリだょ、、ゆ、由奈さんが見てくだしゃい!」


「ダメだよ、ひよりの結果なんだから。自分で見て。ちゃんと隣りにいるよ。」


「ひどいっ!普段は過保護なのに!ひよりがお願いって言ってるのに!!」


「わかったよ。ほら、お膝の上においで。スクロールしてあげるから、一緒に見よう?」


「おっぱい、触ってていーならいーよ。。」


「待遇良すぎねーかそれ?」*素が出た由奈氏。


「よいちょっ。んっしょんっしょ。」*お膝の上に乗るぴより。


「ちょっ、服引っ張んないで!伸びちゃうでしょ。」


「なまふよんふよん…」フヨンッフヨンッ


「こいつ、もうすぐ大学生になるんだよな??ま、いーけど。じゃあ、いくよ?」


「びぇぇぇ…こ、こわい。。」フヨフヨフヨフヨ…


 泣いても笑っても。(ふよふよしても)

 もう、結果は変えられない。由奈の心臓も鼓動が早くなっていた。(ふよふよされていても)


「このへんだ…。85、86、89、92…」


「ごくんっ…」モミモミ…


「ひ、ひより、、」


「しゃん…」モミモミ…


「うっ…!!」


「びぇぇぇ…」モミモミ…


「「あぁぁぁっ!!!!あっっったぁぁぁあっっっっ!!」」


 ぴよりーーーーーーーーーー!!やったね!第一希望の大学にっ!合格だぁぁぁ!!!どっひゃぁぁぁぁ!!


「ひよりぃ!!!!」


「っっっゃん!!!!」


「やった!おめでとう!ひより!!」


「えぇぐっ!あーーーだばばばーっ!」


 この日初めて、由奈はひよりと共に、声を出して泣いた。しっかりと抱き合って、気の済むまで喜びの涙を流したんだ。よかった、、本当に良かった!どっと肩のちからが抜け、しばらく立てそうにない。


 30分後。やっと落ち着いた二人は、はぁっと深いため息を吐く。


「…こんなに泣いたの、人生で初めてかもしれない。」


「うん。ぴよりはいつも泣いてるけど。でも、良かったぁ!これで由奈さんに恩返しになったかな?」


「ありがとう、ひより。最高のプレゼントだよ。一緒に頑張ったもんね。」


 目も鼻も、真っ赤だよ。顔を近づけて、お互いの泣き顔を笑いあった。私達、こうやってこれからも、どんな試練だって2人で乗り越えていくよね?2人なら平気だよね?にっこりんちょしたひよりが、由奈の頬にキスをした。チュバッ‼


「さぁ、皆んなに報告しないとね。お母様のところに行こっか。」


「うん!でもね、その前に。由奈さんの次に知らせなきゃいけない人がいるの。」


「ん、担任の先生?」


「そう。担任は担任でも…ひよりの…イングリッシュティーチャー!」


「優司か。ありがとう、そう言ってくれて。きっと喜ぶよ。」


「当たり前だよ!恩師だもん。電話するね!」


「うん。ねぇ、こんなに泣いたのは内緒にしてよ?」


「あはははっ!わかった!塩顔なのにしょっぱい涙さんが洪水だったもんね!」


 ひよりはスマホの画面に出ていた、自身の受験番号をスクショした。そして、優司にその画像を送ると、数秒で既読になったのを確認して、すぐに電話をかけた。


『ティーチャー‼』

『ひよりちゃん!』

『合格したよ!ひより、第一希望に合格した!!』

『おめでとうっ!!待ってて、隣に緑がいるんだ。代わるよ。』


 一人暮らしの優司。ちょうど恋人である赤羽緑が来ていたようだ。自由登校の今、しばらく会っていないひよりのクラスメイト。


『もっしもーし!ぴよりっちぃー!!』

『赤羽っち!』

『合格オメデト!さすがぴよりっち!!』

『ありがとう!優司さんのおかげでもあるんだよ!』


 赤羽はスピーカーにしていた。優司さんのおかげというぴよりの言葉が聞こえていたんだ。彼女の前で、思わず片手で顔を隠した。嬉しくて、泣きそうだったから。


『うっ・・・良かった。本当に、良かったな。ひよりちゃん。』ぐすっ

『あれ?もしかして、優司さん泣いてる??』

『馬鹿。泣くわけないだろ。ぐずっ、、』

『へっへー。まったく、佐々木姉弟は泣き虫だね!』

『ってことは、姉さんも泣いてるのか?』

『うん。マッシュポテトみたいにぐちゃぐちゃに泣いたー!』アハハハハ

『そうか。まぁ、当たり前だよ。ひよりちゃんがこんなに大挙を果たしたんだからね。』


 「へへ。」っと鼻をこすり、由奈に向かってウインクするぴより。この顔が本当に面倒くさくて暑苦しいのだが、今日に限っては由奈もウインクを仕返した。


『じゃあ、優司さん。赤羽っち。また近いうちに会おうね!』


 そう言って、ひよりは電話を切ると、由奈のお膝からぴょんっと立ち上がった。


「由奈さんっ!たくさん勉強教えてくれてありがとう!ひよりは、大学生になります!これからも、よろしくお願いします!!」


「ひより・・・。こちらこそ、よろしくお願いします。」


「さぁ、お母さんに知らせに行こう!」


「うん。お母さんもきっと大泣きだね。」


「あははははは!!」


 2人は笑いながら、出会ったあの運命の非常階段を手を繋いで登った。



 次回より、ぴよりんちょ大学生編へ突入します。少しは大人になれるか。。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る