第281話 ぴより最強説。

「・・・というわけで、佐々木家で一番、語学が得意な優司にひよりの家庭教師をお願いしました。」


「ふぁ??Σ(OωO )ビクッ!?」


 由奈とひより、そこにイレギュラーの優司が加わって、3人でご飯を食べながら、、由奈からのひよりへの提案がなされていた。


「話聞いてた??だから、ひよりは英語が一番苦手だから、私より語学力のある優司に、」


「え、やだ!由奈さんがいいっ!(´இωஇ`)」ナンデヤネン‼


「いや、基本、毎日私が教えるよ?英語だけ、週1,2回、優司が教えるってだけ、」


「やーだー!い、や、だ!やだやだ。」


「そ、そんな…そこまで嫌がらなくても…。俺、ひよりちゃんになにかした?」


「違うもん。優司さんがいやなんじゃなくて、由奈さんがいいんだもん。。」


 つまり、ぴよりは由奈と二人きりの時間が減るのが嫌だと言っているらしい。ちょっと落ち込んでいる優司。しかし、彼には彼の想いがあった。


 佐々木優司。彼は国立大に通う優秀な男だ。しかしそれは努力のたまものであった。

 幼少期、5つ離れた姉に、彼は厳しく育てられた。由奈は子どもの頃から論理的で、かつクールであった。反対に穏やかで引っ込み思案の優男であった優司は、いつも姉の後ろを泣いてついていくような男であった。


 しかし、由奈が進学校に通い、国立大へと進学しつつも、己のやりたいことはやる姿勢に憧れていた。由奈は勉強だけでなくやんちゃもしていた。バンドをして、夜遊びをして、すんごくモテてもいた。かといって勉学は疎かにしない抜け目のない姉。優司は舎弟のようにこき使われていた。そのおかげで、姉より怖いものはないと強くなった。


 姉に認めてもらいたい。その一心で、彼は由奈と同じ大学に進むことが出来た。努力しまくって、得意な語学は由奈にも認められたのだ。ひよりの家庭教師を打診されたとき、実は隠れてちょっと涙目になっていた優司。初めて姉に頼られ、初めて認められた瞬間であった。頑張って良かった、、やっと、自慢の弟だと言って貰える日がくるかもしれないと。。ひよりちゃん、、僕はめげない。キミの家庭教師をやる以外、道はない。。いざ、説得!


「ひよりちゃん。聞いて欲しい。姉さんは、キミと付き合うからにはキミの勉学の邪魔になることは絶対に許されることではないと思っているよ。姉さんと付き合うことで、キミにとって良い結果になることだけは譲れないことなんだ。心配しないで。姉さんとの時間を邪魔するつもりはない。俺は、姉さんが仕事から帰ってくる前に、ひよりちゃんの英語の勉強を見る。確実に、ひよりちゃんを成功へと、、合格へと導くよ。どうか、、俺にやらせてください。お願いです。」*かっこよかったのに最後は頼み込んでしまった優司。


「優司、、まぁ、そういうことだから。ひより?受験まであと少しだけだから、悔いがないようにがんばろうよ。優司ならひよりと二人きりにさせても安全だし。私も安心して任せられるしさ。」


「ね、姉さん・・・」ボク、ウレシイ・・・


 佐々木姉弟のひよりのための渾身の説得に、、ひよりは安定のひより節で応えた。


「えー、やだなぁー。でもわかった。そういうことなら、いいよ?」*かわいくないの塊ぴより。


「ひ、ひよりちゃんっ!ありがとう!!」*役に立てる喜び優司M。

「よし。じゃあ、今日は優司が教えてるところを隣で見てるね。」*S姉の圧

「えー、二人っきりの時間減っちゃう~。」*生意気の塊ぴより


「ほら、おいで。ひより。」

「はーい。」


 勉強を始める前の、いつもの儀式が始まった。あぐらをかいて座っている由奈の上にちょこんとひよりが乗ると、由奈はひよりの頭を撫でて、おでこにキスをした。


「あと少し。頑張れ。応援してるからね。」

「むぅ、、わかったぁ。」


 優司は黙ってそれを見ていたが、内心驚いていた。


 ね、姉さん、、そんなに甘やかして・・・。っていうか、口調が、、母さんにそっくりだ。。こんな姉さんの一面があったとは・・・べったべたじゃないか。。


「ぼ、母性ですね、、姉さん。。」

「あ?」

「いえ、なんでもないです。ごめんなさい。」


「ぴより、ご飯食べたから眠たいなー」

「少しだけがんばろ?ね?」

「ぶー、わかったー」

「えらいね。よしよし。」


「・・・・・・。えっと、準備できたら勉強しましょう。」

 いたたまれない、、優司であった。。


 ひよりが一番強い。


 続く。





 

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