第279話 しぶぴよとあかぴよはご希望があれば・・・
「ゆーなさん♡約束したよねー♡」
「はいはい。ここにおいで?」
「はいっ!シュワッチ♡」
朝ごはんを食べ終わると、ひよりは満面スマイルで由奈の前に立ち、両手で変身のポーズをした。
「パジャマを脱ぐのは自分でできるでしょー?自分で脱いでよー。」
「だーめ。着せてくれるって約束したもん。ひよりできないもん♡」
「すぐそうやって甘えるんだから。」
満更でもないくせに、文句を言いながらもひよりのパジャマを脱がせる由奈。新しくプレゼントしたフリースとマフラーでコーディネートしてもらいたいぴより、かわいいの寝起き祭り。
「うー、寒い寒いっ。寒すぎてぴよりのぴよりが立っちゃったよ。。」
「寒いと立つの??ほら、ブラは自分でつけて。」
鳥肌やらリトルぴよりやらを立たせながら、制服に着替えると、由奈にフリースを着せてもらう。
「えへへ♡ぬくいぬくい♡」
「マフラーは?どっちつける?」
「ぐるぐる巻きの方!♡」
「わかった、よいしょ、、」
長いダークグレーのマフラーを、ひよりの首に巻くと、後ろで軽く結んでやる。
「ほら、できたよ。」
「似合ってる?かわいい?」
「うん。かわいいよ。とても似合ってる。」
「でへぇ〜♡ぐふふふふ♡」
嬉しい嬉しいぴよりんちょ。ドーパミン出まくりで、由奈に抱きついてほっぺにちゅーをした。ぶちゅっ!チュパっ!チュパっ!
「ほら、時間ないよ。行っといで!」
「由奈さんもマフラーしてね?ひよりとお揃いだかんね?」
「うん、わかったよ。出かける前にちゃんとつけるよ。」
「離れていても、私達は1つよ♡じゃあ、先に行くね♡」
「行ってらっしゃい。勉強頑張ってね。」
もっこもこに防寒されたひよりは、いつもの調子で駆け足で駅へ向かった。どうしてもギリギリまでいちゃいちゃしたいから、走らないと電車の時間に間に合わない。
「えっほ、えっほっ!あ、暑いっ!マフラーはまだ早かったかなっ!!」トテテテテー!!
駅につく頃には汗だくになっていた。電車に乗ると、いつものように混雑している。車内の温度は外に比べてもわっとしていた。
(うっ、すっごい暑いな、、マフラー脱ぎたい…。あ、でも、由奈さんに巻いてもらったって皆に見せたい。。教室までは我慢しよう…。)
電車を降りて、改札を抜けると、同じ格好の生徒が沢山歩いている。ひよりはキョロキョロと周りを見渡す。どうやら、今日は気温がそれほど低くないらしい。厚着をしているのはひよりだけだった。
「あちぃ。めたんこあちぃ。。で、でも、帰りは冷えるかもしんないかんね!着てきて良かったんだもんねー。。あっつ…」
校門に近づく頃には、ひよりはゆでだこのように顔を真赤にしていた。そんなぴよりだけど、この学校で今話題のシンデレラガール…そう、新生の如く現れた噂のかわいこちゃんなんだ。
「あっ、六浦先輩だ!」
「ひよりさんだ、ちっちゃくてかわいい!」
「赤羽先輩と一緒にいる人だよね??」
後輩たちが騒いでいる。慣れないひよりはビクビクしながら先を急ぐ。すると、前を歩く渋谷と大宮を発見した。やっと友達に紛れて目立たずに歩ける、、そう思ったぴよりだったが、甘かった。。
「あっ!おおーーーーい!!しぶみやっち〜!!」トテテテー
「あ、ぴよりっちだ。おはよー。」
「おはよ、ってぴよりっち!?顔真っ赤だよ??暑いんじゃないの??」
「そうなんだよ。暑くて暑くて!!このフリースとマフラー、由奈さんに買ってもらったの。マフラーはお揃いで、朝巻いてもらったんだ!」
「もしかして、、それを自慢したくて脱がなかったの??」
「うん。二人に見てもらったからもういいや。脱がせて!もうグラグラしてきひゃ・・・。」
「あーあー。汗びっしょりじゃん。もー」
校舎に入る前に、由奈さん自慢ができたぴよりは、やっとフリースとマフラーを脱がせてもらえた。最強トリオの中でも特に癒し系の母性み溢れる大宮っちと、最近モデルになったスタイル抜群の渋谷っちによって、甲斐甲斐しく脱がされるままの、幼児みを爆発させたぴより。
「可愛いっ!脱がせてもらってる〜。ちっちゃい子みたい〜!」
「ばんざーいってしてる!めちゃくちゃ萌える〜!!」
「あ、見て!お水飲ませてもらってるよ!!大宮先輩、優しい〜!」
「渋谷先輩が、、六浦先輩の汗をっ!拭いている!!そして、六浦先輩の顔が真っ赤に!!」*暑いだけ。
な、なんて、、朝から素晴らしい光景を、、ありがとうございますありがとうございますありがとうございます!!!!!!!!!!!!!(生徒一同より)
3人のお姿を拝めた生徒たちが合掌して萌えている時だった。後ろから通学してきた赤羽が、3人を見つける。そして、小走りで3人に追いつくと、後ろからひよりに抱きついた。
「おっはよー!皆。ぴよりっち、あったかーい!湯気出てない??」
「あ、赤羽っち。おはよー。」
「ほっぺたが真っ赤じゃん。私の手、冷たいよ。」ペタペタ。
後ろから抱きついたかと思えば、ひよりのわらび餅ほっぺたを両手で挟んだ赤羽。元祖校内カリスマかわい子ちゃんの赤羽緑。その素晴らしい景色は、、まるで殺風景な校庭に咲いた百合。開店したばかりの飲食店の前に飾られている胡蝶蘭並みのオーラを放つ、、小さな百合畑であった。
も、萌えの宝石箱や~。。とそれを見ていた誰もがほっこりしていたが、、実は少し離れたところで一番悶えのたうち回っていたのは、誰でもない、百合を愛する戸田っちであった。。
「ああ、ゾクゾクする。。遠くでずっと見ていたい。。この場合、どっちがどっちなのかしらっ!ああんっ!」*友達で百合妄想できる猛者戸田っち。
この日を境に、学校でのぴより達はそっと眺めるべき神聖なものとして扱われるようになったという。そして、隠れワード、「しぶぴよ」「あかぴよ」も戸田考案の漫研拡散で誕生した。楽しそうな学校。
続く。
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