第166話 地球上で一番可愛らしい生命体だぞ?

 ご機嫌さんになったひよりは、由奈と一緒にお風呂に入っていた。


「なるほど。ペアリング?って聞かれて頷いちゃったんだね。笑」

「うん。。あ、そうか。恋人同士は同じ指輪をつけるんだってその時思って、、」

「まぁ、そうかもしれないけど、、ひよりはまだ学生だから、送られる側でいいんだよ。ひよりが私の送った指輪をつけてることで、私は十分満たされるし。」

「うん。でもね、お揃いいいなって。。」

「そうだね。」


 由奈、頭脳コンピューター作動します。


 なるほど。余計なことを言われてからに。。すぐ惑わされるのがひよりのかわいいところだけど欠点でもあるんだよね。。まっしぐらだからなぁ。。


 まぁ、これほど人生のメインが私になってるひよりが、かわいくて仕方ないんだけどさ。それにしても、、少し困ったぞ。私の誕生日は9月の後半。。言わずに過ぎてからひよりが知れば、また落ち込んでなにをするかわからない。ここは、、ネックレスを誕生日プレゼントにしてくれと言うのが無難だ。でもそれでひよりは納得するだろうか、、。私がひよりにネックレスをプレゼントする分があるから、またしてもらうばかりだと言い出しかねない。。


 お姉ちゃんには今まで、500円以上のプレゼントはしたことがないと言っていた。んっ・・・かわいい・・・。こみ上げてきた。。なに買ってたんだろ、逆に気になる。。あ、わかった!困ったときはこれだ!!


「ふっ、、頭良くて、、良かった・・・。ふふふ・・・」

「え、こわい。由奈さん、どうしたの?」

「え、あ。ううん、ひよりのうなじがかわいくて食べちゃおうとしてた。」

「やだぁーー♡もー!エッチなんだからぁ!!早く召し上がれ~♡♡♡」


 がぶ。ァァァァァァァァン‼コッチモー


-------------------------お風呂で運動してしばらくした頃。


「ひより、勉強してて?ちょっと、寝室で仕事の電話するから。」

「あい、了解いたしまうま!」


 由奈はひよりに聞かれないように寝室に移ると、弟の優司に電話をした。


『もしもし、優司?あのさ、もうすぐ私、誕生日なんだけど。』

『えっ!電話してくるのも珍しいのにまさかのプレゼント催促ですか?』

『背に腹は代えられないんだよ。ひよりのためだから。』

『また過保護モードっすか。。で?なにをすれば?』

『ひよりはまだ、私の誕生日を知らない。お前と赤羽さんで誕生日プレゼントを買いに行くのを付き合え。そして私の欲しいCDを教えるからそれにしろ。ひよりは3千円で精一杯だ。』

『ええっ・・・俺、ひよりちゃんと何を話したらいいかわかんないんだよなぁ、、小動物過ぎて。。』

『お前、あの可愛らしい生命体と一緒に過ごせるだけでありがたいと思え。このミッションがお前からの私へのプレゼントだ。』

『ええ。。嫌だなぁ、、。でもわかったよ。緑に連絡しておく。』

『それと、良いレストランの食事券を4人分送るから、2枚はお前と赤羽さんにあげる。あとの2枚はひよりにお前からと言って渡せ。いいな?』

『す、すごい。いかにひよりちゃんにお金を使わせないようにしているかがわかる。。』

『隠れてバイトでも始めかねないからな。赤羽さんに口止めしておけよ?』

『わかりました・・・。大人しくなったと思ったのに、、高校生以来ですね。その圧力。。』

『私がグレてたのも言うなよ。。じゃあな。』



「ふぅ。これでいいかな。あとはレストランを探して、、ひよりはパスタ好きだからなー!」


 溺愛ドライヤー女、由奈。完璧なお膳立てを済ませ、ご機嫌でひよりの元へと戻っていく。


「ぴよちゃぁーん、勉強進んだー???」カワイイカワイイ~



 そして翌朝。由奈はひよりが学校に行ってから、ひよりの母親にひよりに臨時のお小遣いをあげてくださいと頼み込むのであった。



 まるで傍若無人にハイハイをする赤ちゃんの行く先にある、すべての邪魔を先に排除するママのように。。 


 続く。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る