第165話 恋人をあしらうコツをつかんだ彼女とまったくつかめない彼女

 皆さんは、お散歩中のわんこがでくわしたときの一触即発なピリピリ感を見たことがあるだろうか。


 仕事をしていた由奈。そして、感極まり系JKのついうっかり彼女の職場に来ちゃったぴより。どちらが一言目を話し出すのか、、見つめ合うこと数秒。。


「な、なんで来たの・・・?」

「これには、、深いワケが・・・。」


 ぴより、やらかしました。


 ま、まずい。もらった指輪が予想出来ないほど高級だったことを知って、感極まって来てしまいました。愛が溢れてしまって。・・・とは言えねぇ。。それ言った時点で指輪をサプライズ出来なくなるし。。


 わかってます。もう、何度も仰っていました。。大人は職場にプライベートを持ち込んだらいけないと。。彼女が突然押しかけて、イチャイチャできるわけないだろと、、もう言われなくてもわかっております、はい。


 じゃあ、なんできたの?それは、、そこに愛があったから。。あ、これも言えねぇ。怒られる確定。ど、ど、ど、ど、あっ!


「あのね、、こないだお姉ちゃんにお世話になったし、、もうすぐ誕生日だから服買ってあげたくて来たの。」


「え、本当に??」


「う、うん。ひより、大人しく1人で見て買ったら帰るから、気にしないで?ほら、仕事して?ひよりはいないものと思って!!」


「え、まぁ、買い物するなら良いけど。。なにあげたいとか決まってる?」


「んっと、、見て考える。。」


「そう、、じゃあ、迷ったら声かけて・・・?」


「うん。ありがと、、」ホッ


 両者、目をそらすことなく、吠えずにすれ違うことが出来た。。グルルルル・・・


(そんなわけないだろ。。なにを企んだ、、ひより。。)と由奈は警戒した。


 そんな信用されていないひよりは、ドギマギと店内を物色し、無難に3千円のTシャツを買った。本当に買うんだ、、と思った由奈は、他のスタッフとレジを代わって、プレゼント用にかわいくラッピングをしてあげた。


「華恋さん、誕生日なんだね。私も何かプレゼントしないと。」

「あ、うん。でも大丈夫だよ!これ2人からって言うから!ひより、500円以上のもの今まであげたことないし。」

「そうなの?じゃあ、奮発したんだね。」

「うん。こないだ風邪引いてるのに連れ回したからね!」

「それ、、本当に、、申し訳ないから謝ろうかな、、」

「大丈夫だからっ!じゃあ、先に帰ってるね!お仕事頑張って!!」チャオー‼

「うん。。やけにあっさり帰ったな。。」


 細かいことを聞かれる前に、ひよりは退散した。


「あーあぶなかった。なんでこう、自分が止められないかな。。」


 さてと。。そうはいっても、指輪どうしよっかな。。ペアでしたいな。。同じのキラーンってしたいなぁ・・・。ひよりのお年玉はお母さんに預けてるし、、お小遣いでは足りない。。お母さんに言ったらダメって言われるかもだし。。


 アルバイト、、は、受験終わるまで許してもらえるわけないし。。ぐすん。。どうしたら、、。大学生になってバイトするまで我慢?んー、やだなぁ。。


「っていうか。お姉ちゃんに3千円も使ってしまった。痛い出費だ・・・。」


 悩める女子高生ぴより。トボトボと家に帰るのであった。

 そして、由奈の帰宅と同時に、、安定に白状させられる。


「あんぎゃぁぁーーー!!!ムリムリムリムリっ!!脇腹はだめぇーーーん!!」

「白状しなさい。なにを企んでたの?」

「ぎゃーーーーはっはっはっは!!降参っ!!降参しますっ!ひぃーーー!!」


 ひよりは由奈に触られると世界一敏感になるのだった。脇腹をくすぐられただけで簡単に白状し、、たいんだけど、声が枯れて白状できない。ヒィッ・・・クルチイッ‼


「で。どうしたの?」

「ゼェゼェ・・・。もう、、乳首立っちゃった。。んっとね、、えーと。由奈さんと指輪、お揃いでつけたくて、いろいろ考えてたら愛が溢れて行ってしまいました。それだけです、ごめんちゃい。。」

「指輪?お揃いにしたいの?」

「うん。ひよりだけじゃなくて、由奈さんにひよりがあげたいなって。」


 ひよりは由奈からもらった指輪の値段を知ってしまったことは黙っていた。だって、なんか調べたみたいでやらしいじゃん。


「そっか。ひよりが私に指輪をくれようと思ってるてことだよね?」


 由奈は、ひよりが同じ指輪を買えるわけないと思っていたし、そんなことをさせようとも思わない。


「うん。だけどね、ひよりはお小遣いあまり持ってないから、、」

「そっか、うん。じゃあさ?今度2人で見に行かない?」

「う、うん。でも、(同じの買えない。。)」


 さぁ。大人の対応を今。


「あ、でもなぁ~!ひよりとお揃いにしたら会社でもずっとつけていたいけど、さすがに左の薬指にはつけられないなぁ~。いろいろ言われちゃうなぁ~!うーん、こまったなぁ~!!あっ!そうだ!ネックレスなら良いかもっ!」


「・・・ネックレス??ひよりとお揃い??」

「うん。すごいおしゃれなネックレスを売ってるところがあってね、結構リーズナブルなんだ。1万円くらいで買えると思う。同じのを買って、プレゼントし合おうか??」

「うん。(1万円なら買える。。)でも指輪は?」

「あーーー!!ひよりとお揃いのネックレス!!うれしいなぁ!楽しみだなぁ!!」

「ホント??うれしい?」

「うん。毎日つけちゃう。」

「!!!じゃあ、買いに行く!2人で選ぶ!!」

「土曜日にさっそく見に行こうよ!」

「うん!ひよりが由奈さんにプレゼントする!」

「嬉しいなぁ!待ちきれないよ!ひより、今ちゅーしてくれる?」

「もちろん!んにゅぅーーー♡ちゅぱっちゅぱっ!」



 育児1級の佐々木由奈。見事、封じ。乙。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る