第84話 身をもって覚えさせる教育法のドライヤー女

「じゃあ、来週末、旅行ってことで。姉貴達の分は申し込んでおきます、、。」

「悪いね、優司。じゃ、そーいうことで。」

「ぴよりっち、またねー♪」

「赤羽っち、またねー♪」


 かき氷を食べ終わると、それぞれのカップルになって帰路についた。


「うふふ。由奈さんって優司さんにはちょっと怖いんですね~?」

「そう?高校の時とかは冷たかったかな。最近はそうでもないと思ってたんだけど。。」

「高校の時の由奈さんって、どんなだったんですか?」

「うーん、、バンドとかしてて、ちょっと悪かったんだけど、、でも勉強はちゃんとやってたよ。」

「え、かっこいいっ!ギターですか?カスタネットですか?ひよりはパプリカができますよ!」*ピアニカと言ったつもり

「パ、パプリカ??えっと、ボーカルとギターだよ。」

「か、かっこいい。。もっと早く出会っていたかった。。ピックを他の女子と取り合いたかった。。」

「でもその時のひよりは小学生だから、私が恋をしなかったと思うなぁ~。」

「むむ。そうか、、ひより、ちんちくりんだったからなぁ、、」

「ちっちゃくてきっとかわいかったと思うけど。でも今のひよりが大好きだからね。」

「そ、そうなんですか?今のひよりが大好きなんですか??!貧乳なのに、、」

「うん。かわいくて大好き。(ちっぱいも)」

「た、食べたくなっちゃいますか?食べてもいいですよ??」

「あとで頂きますね。その前にひよりのおでんが楽しみだね。」

「お任せください!ぐっつぐつに煮込んであります。あーんしてあげますね?」

「そ、それは、ダメなやつ。。おでんだけはあーんしてはいけないと昭和の人たちは知っている・・・。」


 家に帰ると、さっそく得意げなひよりがおでんの鍋に火をかけた。

「ふふーん♪もうすぐできますからね?おビール召し上がりますか?」

「え、ビールは大丈夫。ふふ、台所姿が板についてきましたね、奥さん?」

「お、お、奥さんっ♡ひより、今の言葉でちょっと濡れました、、」

「え。でも今日こそは、勉強してからにしようね、、エッチは。」

「う、うん。ひよりもそのほうがいいのはわかってるの、、つい発作がでてしまうだけで、、。さぁ、できました!食べましょう♡」

「あ、待って!食卓には私が運ぶ!嫌なイメージはなるべく実現させないようにしたい!」

「そ、それは、ひよりが鍋をつるっと落とす可能性の話ですね、、でもあり得るのでお願いします。。」


 由奈が鍋を食卓に運ぶと、ひよりがゆっくりと蓋を外す。

「では、召し上がれ~♡」

「はーい。うわぁ、湯気がふわって。あ~いい匂い~!!ん?このたくさん浮いている白いのと茶色いのはなに??」

「あ。お母さんと作ったおでんは美味しかったんですけど、ひより、持って帰ってから煮込みすぎて、ちょっとお水を足しちゃったんです。そしたら味が薄くなったから、出汁が足りない気がして入れました。マッシュルームです♡」

「そ、そっかぁ。椎茸がなかったんだね、、う、うん。美味しそう。魔法使いが煮込んでるやつみたいだ、、。いただきます!あ、味は普通に美味しい、、(良かった。。)」


「ひより、やっぱり料理の先生とかが合ってるかもしれません。」

「え?い、いや、、ひよりの料理は私が独占したいなぁ~??」

「まぁ!由奈さんったら、ヤキモチ妬きさんですね♡」

「う、うん。」

「あ、由奈さんがお疲れだと思ってニンニクもすりおろしておいたのでどうぞ使ってください。」

「えっ!?あ、ありがとう、、今日はやめとこうかな、、明日も仕事だし。。」

「キスを心配してるなら、ひよりは気にしませんよ??」

「え、できたらひよりもにんにくは食べないでほしいなー?」

「そ、そうですか…。若い二人には滋養強壮が必須と思ったんですが…。」

「ひよりはありあまり過ぎなの!」

「もうお誘いですか?せっかちね♡」

「あ、やっぱりニンニク食べていいよ?今日はとことん勉強だけにするから!」

「ぴぎゃっ!!い、いやですぅ~!いちゃいちゃがないと頑張れません~!!」

「じゃ、今いちゃいちゃしよっか。はい、ひより。こんにゃく、あーん?」

「え、あ、あーん♡ ぱくっ、、って、、あちゃーーーーっっ!!!!」

「ね、おでんはあーんしたらダメだったでしょ?」

「ひ、ひどい、、知っててやるなんて、、どS。。」アチチ‼

「それにしても、、このマッシュルームは1回全部だそうか、、。明日、シチューにでも使い回そう。。」

「由奈さんがあまりにもSなので、、ひよりはHな気分になりましたからね、、?」

「はい、これ熱くないよ。あーん。」

「え、なんですか、、?あーん?って、これすりおろしニンニクじゃないですかっ!!?か、からいっ!!」

「あーあ。食べちゃった。今日はキスできないなぁ~?」

「そ、そんな・・・!!その唇を目の前にキスできないなんて、、出会ってから一度もなかったのに、、」

「確かに。出会ってから一度もなかったね。よし、頑張れ!勉強するよ!」

「え、ええ~っ!!!」



 珍しくエッチしない日(ひよりがニンニクくさいため)になったが、勉強中もくさかったので勉強にならなかった二人だった。

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