なんとなく幸せは来るかもしれない
三つ葉
子供が泣き止むために
書類記入父の職業毎度思う
書いてやろうか「別の子の父」
雪だるまと皆の勝手と不惑の恋
三月終わりにあいすは溶けた
母さんが初めて声を荒げた日
サンタは家に来なかった
道徳の教科書を頭に傘替わり
産まなきゃよかったが降ってくるから
血縁は助け合うもの異母妹は
上半身だけ愛せばいいかな
あの頃はまだ撫でてくれていた掌を
嫌いになりたい思い出もある
ループ再生止めるボタンが見当たらない
カセットテープではない、隣の祖母の
掃除機にゴミと思われGoogleに
焼却炉への行き方を聞く
カフェインで頑張れるってのは幻想だ
まどろみだけが救済なのにね
刃物持ち人に向けるな物刺すな
腕の内側刻む一日
狐憑き追い出すために貼る札が
今は診断鬱病だとか
ブランコを押してくれた手でもう一度
背中を押してと屋上に立つ
ハンガーにかかる草臥れた背広に
首吊る我の幻影を見る
慰霊碑は僕を入れてはくれぬだろう
過労死自殺はお呼びじゃないから
逃げ場の出来てしまった僕を迎えにおいで
昔の僕よ、ナイフを持って
飲み放題〆には言えたもう駄目だと
それでも私は生きたいと
陽だまりが分からなくていい水を飲む
苔には苔の咲き方がある
傘一つ地蔵に翳すと帰れずに
相合傘で雨宿りをする
包丁で野菜ばかりを切っている
涙の理由も玉ねぎになった
幸せがありふれていて短歌には
なりにくいというこれが幸せ
なんとなく幸せは来るかもしれない 三つ葉 @mituba_y
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