第14話 幽世からの訪問者
ギィィィィィ……
夜の校舎。十三階の階段を上り、あるはずのない幻の四階にたどり着いた四人。異世界とつながっていると思われる扉がゆっくり開いた。
「な、やるならこのあたしが、除霊するんだから」
「
赤坂兄妹は気合が入る。
……ヒタ、ヒタ。ペッチョ。ベチョ、ベチョ。と、濡れたような足音がする。
ヒョコ。
「!」
水を
「えーっと? もしかして、
河童は主に日本の川や池に
***
いったん、四人は河童を捕まえ三階に下りる。誰もいない教室の机と椅子を借り河童を座らせて、ノアムも座って向かい合う。明かりは懐中電灯のみ。ノアムが学校机に
「あなたは河童ですね」
「ヒョーヒョー(訳:はい。河童です)」
「なんか、警察の取り調べみたいだな。容疑者は河童だけどな……はは」
快斗は苦笑いする。
「あのー。澪さんたちは、
「そうよ、凪咲さん。なんでも視えるわ。でもあたしも初河童です。手の水かきがかわいいね。妖怪って
澪はスマホを取り出し、撮影するが残念ながらうつらなかった。
(ノアムは霊力の高い
「河童と
ノアムはきびしく
「はて、なんのことやら。ボクはこの辺りの川に
河童はきゅうりを食べながらとぼける。
「いいや。その川は
ノアムが妖怪専用の
「そんな~見逃してよ~! ボクは
「化蛇……来ていたんだな。やはりここは
「あのー澪さん、霊道ってなに?」
「凪咲さん、霊道は、そのまんま霊の通り道のことよ。主に
「なるほど」
「おいおい、いったい何の話? どうしてお前たち河童と会話が成立している? 俺には河童が『ヒョーヒョー』と言っているようにしか聞こえないんだけど。三人は河童語がわかるのか?」
「快斗殿は少し黙っていただきたい‼」
「お、おう……」
また快斗はノアムに
「あ、安心したらちょっとおトイレ行きたくなってきた。凪咲さんも行きません?」
「そうだね。行く行く」
澪と凪咲はトイレに向かおうと立ち上がる。河童はそれを見逃さなかった……。
凪咲と澪は廊下に出て、トイレの前に設置された手洗い場を歩いている時、蛇口をひねっていないのに、突然水が出た――。
「うぉおおおおおおおおお!!」
河童が急に大声を出し暴れる。先ほどのかわいい顔から一転、恐ろしい顔になった。縄を簡単にほどいて逃走をした。ベチョ。ベチョ。
「ああ! 逃げやがった!」
快斗が走りながら叫ぶ。
快斗が捕まえようとすると、小さいのでちょこまか逃げまわる。河童は廊下を走り、手洗い場で
「きゃああああああ」
本日、何度目かの凪咲の悲鳴がひびく。
「凪咲さん⁉ いつの間に、ちょっと! きゅうりを持ったかわいい河童を
「そこのお前からは敵のような嫌な臭いする。この女の子は人間の甘くていい匂いがするからこのまま川に連れて帰って、嫁にするんだい!」
「何ですって⁉」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます