第12話 夜の学校
金曜日の夜。家族が寝静まる頃、凪咲と人型に
「こっちこっちー!」
学校の正門前から声がする。
「澪さん、服が白と赤色の
凪咲は赤坂兄妹を見た。
「何かあった時にお
「うん、カッコいいだろ。澪は
「もしかして、除霊できるのですか」
凪咲の目が輝く。その横にノアムが立っていた。
「もちろんだよ。あれ? ノアム王子は軍服に仮装していますね。生地が高そうだし、凝ったデザインだな。どこで買いましたか?」
快斗がたずねる。
人型に
「いえ――。これはモンキャット王国の
「お、おう……」
美しく品の良い
「どうやって入るの」
「わたくし校長先生から許可をいただきましたので、
「へえ、準備がいいな」
もちろん、本当に校長先生に許可をもらってもいないし、用務員から借りたわけではない、ダミーの鍵だ。ノアムの
「では。学校の扉――
「開錠って、ふつうに鍵を開けるだけだよね?」
ノアムがおおげさに入り口の扉を開けるので快斗は少し笑った。
***
カツン、カツン――。校舎の入り口の靴箱を通りすぎ、渡り廊下を歩く。
「夜の学校って、静かね。足音が響いて怖いんだけど」
凪咲がブルブル震える。
「大丈夫ですか? 何だったら僕の隣に来る?」
「やだーお兄ちゃん、やさしー。か弱い澪にも言ってぇ」
「はあ? 茶化すなよ。澪はたいていの霊を除霊できるじゃん。凪咲さんは霊見えなさそうだし、巻き込まれたら俺が守れる。なんてたって先祖は陰陽師だし。っかー血が騒ぐ!」
「凪咲さん、決してわたしのそばを離れないでください。命に代えてもお守りします」
真剣な眼差しでノアムは凪咲の手を引っ張り引き寄せる。
「……ノアム。ありがとう。大げさじゃね?」
「きゃーノアムさん
澪は暗闇の学校ではしゃいだ。
「学校の階段は全部で二ヶ所あって、北側の
四人は南側の入り口から入り、澪は暗闇の中、
「へええ……。知らなかった。月曜日から北側の階段を違う目で見てしまいそう。もう利用できない」
凪咲はため息をつく。長い渡り廊下を歩き、四人は北側の階段の前に立った。
「よし、四階があるかどうか、どれ兄ちゃんが先に見てこようか?」
「ええ! 兄ちゃんズルい。あたしも行く」
「いいえ、ここはわたくしが行きます。言い出した責任があります」
「じゃあ、みんなで行こうか。凪咲さんは大丈夫?」
「……はい」
カツカツと、四人は一階から階段をゆっくり上がる。凪咲は怖くてノアムにしがみつく。やがて三階まで上りきると、澪はないはずのその先の暗闇を懐中電灯で照らした。
「……へえー。なんか匂うね。兄ちゃん」
「ああそうだな。霊の匂いがぷんぷんする」
……凪咲はぞわりと鳥肌が立った。
「四階に上がる階段がある……」
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