DESTINY


白い息が空に消えて、白いマフラーに茶色のコート。


「おい、芽久待ったか?」


そういって、珍しくはろわの服ではないレムオンがかけて来た。


「いいえ、レムオン様。私も、今来た所ですから」


本当は、三十分も前に来ていたけれど嘘をつく。


その様子を、まるでダルマ落としのダルマの様に見ている憂鬱幹部の皆さん。


何故か、苦笑しながらみんなで鼻をつまんでいた。

頭の後ろをなんとも言えない表情でかいて、レムオンがそっと手を出した。


「行こうか、箱舟の年末は賑やかなんだ」


毎年、本当は仕事で疲れて倒れていたけど。


今年はどっかのポンコツが特大のクリスマスプレゼントをしたせいで、早く十二夜を閉めて年末こうして出かけようと言う事になった。


(他の幹部全員が、笑顔でレムオン様もどうせ働きづめだったのだろうからと遊ぶ場所を聞いてみてはどうかと芽久に提案したのだ)


「そしたら、ものの見事に誰も来ないのよね」


※実はばれない様にかなり離れた所からデバガメしてるだけなのだが


「仕方ねぇさ、あいつ等だって毎年疲れてるんだろう?お前も迷惑じゃなかったか」


そう言って、芽久の手をひきながら優しく尋ね。

芽久は、迷惑なんてとんでもない!と笑顔で答えた。


「いつもは屋台側のヘルプやはろわの書類で、忙しいばっかの年末だけど。こうして、お前を案内する日が来るとはな」


最初に訪れたのは、べっ甲飴の屋台。

丁寧に透明のビニールに包まれたそれを、芽久に手渡した。


「お前は、花とか好きだろ。ここの屋台は、べっ甲飴のエーデルワイスを作ってるんだ」


レムオンからすれば、ただ子供に飴を買ってやっている程度の気持ち。


「他にも色々あるんだぜ、金魚すくいにヨーヨー釣りもある。あー、お好み焼きとかは止めた方がいいかな。せっかくのコートが、台無しになりそうだ」


そういって、芽久の手をひきながら優しい笑顔で屋台を案内していく。

芽久はそっと、レムオンについていくだけだ。


今も昔も、この想いはきっと伝わらないと思いながら。


「芽久、どうした?」


急に、芽久が足を止め。一軒のお面屋の前で立ち止まり、レムオンはそこがお面屋だとしると首を傾げた。


「こんな所にお面屋なんてあったっけ?」


そう、はろわの職員であるレムオンが知らないお面屋なんておかしい。


そこでは、箱舟の様々なキャラのお面が下がっていた。

エタナちゃんも、黒貌も、ダストも、竜弥も。

そして、レムオンのも。


「らっしゃい、なにします?」


レムオンが首をひねって、思い出そうとするなか。

芽久は、レムオンのお面をそっととってこれを下さいと言った。


「まいど!」


そっとハンドバックにそのお面をしまうと、またレムオンと手をつなぐ。

そして、レムオンが首をひねって後ろを見た。


「お面屋が消えてる?!」


ったく~、何だったんだありゃ。

そういって、レムオンはまさか商品まで消えてないよな。

消えてたら問題だぜ?と、芽久に尋ねるも芽久はハンドバッグからお面をチラリと見せながら消えてないようですよ?。


と笑ったが、レムオンは更に首をひねる。


「商品があるって事は、幻じゃ無かったって事だ。」


そのチラリと、のぞかせたお面の顔に当たる部分には小さい字でこう書かれていた。


「慕い続ければ、いつかレムオンも気づく。その時、お前から告白すればお前の夢も叶う。」と、その字を見た瞬間一瞬で芽久が眼を細めてキョロキョロした。


(あの、ポンコツ神め!!)


「どうした?、芽久。」


「いいえ、何でも無いです。行きましょう、レムオン様」


そういって、二人で様々な屋台をめぐって楽しい時間が過ぎていく。

その雑踏の中、芽久の呟きが夜風に溶け。


「私は、貴女が大っ嫌いだ」

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