第6話

「間違いないのか」

誠二が梓の肩を強く揺さぶった。

「うん。もう換金したよ」

「イーッ」

誠二が再び言葉を失った。

「見せようか」

「冗談じゃないのか」

「本当よ」

梓が預金通帳を誠二に見せた。

「本当だ」

ゼロの数を数え終わると、誠二は

その場で腰を抜かした。

「た、助かった」

「何が」

「いっ、いや借金が返せるから」

「どうして」

「どうしてって」

「あなたには一円もあげないわよ」

「デーっ」

「だってあてたのわたしだもの」

「デーっ!」

誠二が腰に手を当てた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る