第6話 射撃訓練そしてその後……
「それでは今より射撃訓練を開始する!状況開始!!!!」
サングラスのおじさんが大声で叫ぶと、そのおじさんの周りにいたお兄さんたちがこっちに勢いよく走って来る。
周りのみんなはなんか、体に紐みたいのをつけてそこに弾のう…?ってものをつけてたり、なんだかかっこいい感じだけど、僕はまだ何も貰ってなくて、なんか大丈夫かなって思った。
僕の目の前にお兄さんが走って来る。学校からここまで連れて来てくれたお兄さんとは別の人だ。短い髪で、なんだか怖そうだなって思った。
取り敢えず、変な授業を一人で受けた後、ここまで連れてこさせられた。あのお兄さんに。相変わらず、にこにこして、大丈夫だよ、すぐに慣れるからねって、後、支給品はまだ無いから、今日は教官が向こうで貸してくれるって言ってた。よくわかんなかったけど。
僕の目の前に来たお兄さんはあんまり笑っていない。なんか、怖いなって感じだ。その右手には、周りの皆が持ってる銃が握られてる。ちょっとカッコ悪い。
「君が、新しく入った子だね?たしか、たけし君?」
こくりとうなずく。
周りの皆がその場に伏せ始めた。みんなが見てるほうを見ると、そこにはなんか人みたいな形のダンボール?みたいのが遠くにあった。
「これが、君たちの使う武器…11.4mm短機関銃M3だ、取り敢えず手に持ってみなさい」
そういって、僕のほうに差し出されるので、取り敢えず両手で受け取ってみた。
すっごく重い。びっくりして、落としそうだなって思ったけど、なんとか頑張って落とさないようにした。
皆、こんな重いものをあんな風に構えられるなんてすごいなって思った。
「おっと……」
おじさんが、しゃがんで僕の耳に何か付けた。
その瞬間、後ろからなんかすごい音がした。両手を叩いた音を更に大きくしたみたいな音。すごくびっくりした。
おじさんが、素早く僕の両手に乗った銃を取り上げる。
「じゃあ、これから俺がお手本を見せる、よく見ておくんだぞ」
そういって、おじさんがその銃を構えた。
なんか、スコップみたいな部分を肩につけて、ダンボールのほうに向けてる。肩のラインと目が直線で繋がってるみたいでかっこよかった。
前、学校に来てた軍の人が撃ってたものよりももっと高くて耳に痛い音が響く。耳のすぐ近くで手をたたいた時の音みたいだなって思った。
おじさんが目の前で何度か撃って見せる。
「分かったかい?そう、難しいものじゃない」
そういって、弾倉を抜いて、なんかレバーみたいなのを引いた。そしたら銃の中からなんか金色の薬きょうみたいなものが出てきた。でも、よく見たら弾頭がついてて面白いなって思った。
前、学校の授業でやったなって思った。
「ほら、じゃあやってみなさい?」
おじさんが僕にまた銃を手渡してくる。そのまま、かがんで僕の背中を支えた。
「いいかい?これが、弾倉だ、まず銃を撃つにはなんでもそうだがこれをいれなきゃ始まらない」
おじさんが横から弾倉を刺しこむ。
「本当は細かい射撃訓練の動作があるんだけど、悪いが時間が無くてね……そこのレバーを引いてみなさい」
さっき、おじさんが引いていたものに手をかける。……重くて、中々引けない。頑張って、引いてみる。
そうすると、背中を支えるおじさんの手に力が入って、僕のお腹もついでに右手で支えてきた。
なんとか、レバーを引く。銃の右上に金色の弾が見えてきれいだなって思った。
「よし、では的を狙ってみなさい、まだ、用心金に指を入れないで」
「用心金ってなんですか?」
そういった瞬間、僕の銃がすごい音を発した。目の前に光がいっぱい。そして、肩を通して小突かれたみたいな感じが全身にした。
すぐに、おじさんがバって僕から銃を取り上げ、弾倉を抜いてレバーを引いた。
「……っち、危ねぇ………」
一人事。
おじさんの額にしわが寄って、息が荒くなってた。なんだか、すごく焦ってるみたいだなって思って、僕はなんかひどいことをしちゃったんじゃないかって思った。
そして、ちょっとキョロキョロする。
深呼吸を何回かした後に、また、おじさんが笑顔になって銃を指さしてくる。
「ごめんね、先に教えておくべきだったね…これが用心金、そしてこれが引き金、これが槓桿……」
おじさんの額には汗が見えた。
そうやって、なんとか射撃訓練が終わった。
終わって、帰ろうとすると後ろから呼び止められる。
そこにいたのは、なかむら君だった。
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