35

 翌日。

 ざっとご遺族に説明した後、先生達から労いの言葉を掛けられ、今は病室に一人。

 平日というのもあって、遥達は学校だ。


 ―――――コンコンコン――――――


 ノック音が病室に響く。

 誰かが来たようだ。また先生かと思い、入室を許可する。


「はい。どうぞ」


「失礼するよ。」


 入室してきたのは黒服姿の男達。

 ギルドの特派員さんだ。


「まだ何か聞きたいことでも?」


 俺がそう尋ねると苦笑して、首を振り否定する。


「いや、実は君たち―――というよりS高校生達を襲った犯人の生き残りから情報を得たんだよ。司法取引をしてね。」


 おお汚いやつから情報をさっさと得たいがためにそこまでしたんすか。


「その情報によると彼らは一グループに過ぎないらしいです。そもそも奴らの正体は墨竜会という組織に属している構成員でした。実働部隊は5つに分かれていて、この時機に使うのは本来不良グループだったそうなんだが、そいつらが急に姿を消したとかでね?消えた不良は十数人にも及ぶそうで、その中のリーダー格がタイガと名乗っていたそうです。彼の恋人と思しき高杉早紀さんの行方も不明で両親から捜索届が出ていましたが、タグ一つ見つからず。もしかしたら墨竜会も一枚岩ではないそうなので、嫌がらせの一環で身内が消したかもしれない……と。まあ、不良たちの話は一旦置いておいて、消えた彼等の尻ぬぐいに墨竜会の構成員が、他にも潜り込んで迷宮内を荒らす可能性があるので、これは注意してください。千堂君の顔はどうやら向こうにバレてしまっているそうなので、退院後、絶対に一人では潜らないようお願いしますね。」


「あ、はい。ご丁寧にどうもありがとうございます。それじゃ、学校のみんなにも知らせておきますね。」


「学校関係者には通達済みですが、千堂君の口からも注意喚起を促してくださると助かります。話は終わりましたので、それでは。」


 なるほど。どうやらサキのアマは、ヤクザと関係性があったようだ。俺が早々に殺してしまったせいで、黒幕のヤクザまで、出て来てしまったと。


 ぶっ殺したのは短絡的だったろうか。

 まあ考えても仕方ない。

 やることは一つだ。

 

 やってやろうじゃないか。

 ―――殴り込みってやつをよぉ。

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