第28奪われし者2
新人戦大会予選で敗退した高校生三人組は会場を出ていく。
向かったのはF級迷宮。
「うわぁ。戦力ダウンが過ぎる。」
「わたしも~。」
「アタシモー。」
『あなたは棄権したよね?!』
田辺男子と秋津女子が棒読み女史の水沢にツッコミを入れる。
彼等は三人共(?)、千堂に敗れた子達である。
田辺男子と秋津女子の余って持っていた予備の魔物はスライム。
ついさっき手に入れたウルフが戦力になるくらいには弱い。
スライムの良い点は魔法攻撃が弱点だが物理攻撃にはめっぽう強い。F級の魔物ではあるスライムもここ、大須F級迷宮においては無理の強さを誇る。
出てくるのがゴブリン、小鬼、ウルフの物理系に特化しているからだ。
「スライムなら此処じゃ無双出来るじゃない。文句言わないの。」
『はーい』
いつもはふざけている水沢さんもダンジョンの中では真面目のようで。
やられることはない迷宮でも辺りをしっかり警戒している。
そんな彼女が持つ魔物はD級のウンディーネ、D級のアルラウネ、E級に
前衛らしい前衛のいない構成だが、やられる前にやれ。
近づかれなければいいだけなのだ。
白烏は飛行系魔物なので索敵能力がずば抜けている。
水沢さんを筆頭に田辺くんと秋津さんは迷宮奥へ進んでいく。
「三パなら迷宮主も倒せるか?」
「ここならいけそう?」
「んーまあやれなくはないかもね。」
闘技場会場で行われている大会に足を運んでいる人が多いせいか、迷宮内は一階層にも関わらず人が極端に少ない。
ので、やたらと三人に魔物が寄ってくるのだがこれをスライム二体が足止め、手に入れたばかりのウルフという前衛アタッカーが加わり、水沢さんの強アタッカーが一掃する。
その撃滅っぷりがあまりにも爽快で気が大きくなってしまっていた。
三人は一階層を突破し、二階層へ向かってしまったのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――
「あいつら、本当に間抜けかもな。」
「ああ、戦力ダウンしてる時にわざわざ迷宮巡りとか
「俺らが迷宮の恐ろしさを教えてやらねえとな。」
「男は速攻始末しろ。女は俺の後は好きにしていいぞ。」
『へい!』
高校生三人組が迷宮に入るのを確認した五人組の男達が薄笑いを浮かべながら、迷宮入りする。
悲劇はひっそりと忍び寄るのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます