第16話:カードの御裾分け
ステータス
鬼(青&黒) 性格:勇敢・勇猛 ランク:E
力:D 586→612 耐久:C 660→693 器用:D 558→578 敏捷:D 550→560 魔力:I 8 幸運:C→A 642→802
【スキル】…《挑発》、《罠解除》
【パッシブ】…《格上級
リリエル(黒) 性格;のんびりや ランク:E
力:E 420→460 耐久:F 342→345 器用:D 530→590 敏捷:C→B 680→760 魔力:E→B 480→709 幸運:E→C 531→691
【スキル】…《マルチレーザー》、《ヒール》
【パッシブ】…《格上級
ピノキオ 剣盾ver 性格;従順・嘘つき ランク;C
力:D 525→550 耐久:C 612→645 器用:D 568→599 敏捷:D 565→599 魔力:D 502→552 幸運:E→D 411→571
【スキル】…《ピノキオの投擲矢》、《嘘つきは力の源》
【パッシブ】…《ガード貫通》、《耐状態異常》
S級への道が見えたような気がした。
そんな衝撃的な夜を過ごし――――翌日。
場所はA高等学校—――探索部部室
「迷宮に転移する前に―――みんなにプレゼントがあります。」
目の前にはD級カード、E級カードが約20枚ほど。
とりあえず、ユニコーンと守護騎士は抜いて遥へ手渡す。
「え、これD級カードじゃ……?!」
「うそだろ?!」
「ほんとに?!うちらに?!」
みな、目の色を変えて、無造作に机の上に置かれたカードを見る。誰も触ろうとはしない。多分、みんなが見れるようにっていう気遣いの成せる技だ。
こういうの見ると、こいつら日本人だなって思うよ。
「D級がバフォメット、キメラ、毒骸、顎蟻、死神剣士、守護騎士、タイタン、蛮族、ウィングタートル、穿孔蟲—―――E級が鬼、リリエル、怨念猿……どれも強カードばかりだね?どうやって手に入れた?」
副部長の刑部先輩が、皆がちゃんと把握できるように大きな声で、カードの名称を挙げる。一通り、確認し終えた先輩は僕に詰め寄る。
「ま、まあそこは秘密ということで。あはは……取り敢えず、即戦力になるなら使ってもらって、みんなでレベルアップしたいなって。」
俺のしどろもどろのごまかしというか、秘密という言葉には意味がないのか?刑部副部長の圧が凄い。
そこを助けてくれたのは―――
「言いではないか!!細かいことは!!!俺達にとって、このカード達がもたらしてくれる恩恵は計り知れんぞ!!!それよりも本当にいいのか?!千堂よ!!!!売るなり自分の戦力に加えるなり好きにしていいんだぞ?」
武臣部長だった。
「いいですよ。僕は部活のみんなと一緒に切磋琢磨して、探索部—――、いや探索者の業界を盛り上げていきたいんです。それと僕は今回の新人戦大会—――団体戦も総合戦も優勝したいんでね。このくらいのものは構いません。初期投資にしたら安いくらいです!」
言い切った。
みんな黙って聞いていたけど―――――
『うおおおおおおおおおおおおお!!!!』
「な、なに?!」
ものすごい雄叫び―――いや興奮した部員が俺を担ぐ。
「う、うぁあああ!!!」
胴上げだ。
なんか、空中っていいかも?
取り敢えず、直ぐには飛ばず、みんなでパーティーメンバーに合う合わないとかを吟味しながらも、それぞれに各一枚ずつは配布された。タダで貰えたものと言う事で、誰も文句は言わなかった。
「じゃあ、転移しますよ。」
『おう!(うん!)』
みんなやる気に満ちた様子で―――、俺は《F級迷宮転移核》を使い、栄F級迷宮に飛んだ。
「ねえ、アレってさ、もしかして相当E級迷宮のボス狩りしたんじゃない?」
訊いてきたのは遥だ。
「うん。実はね?」
「はぁ……私が止めても言う事聞いてくれないのね?」
う……止められてたもんね。
まあ、分からんではない。
でもステータスみせてもなぁ?
これは探索者としての生命線みたいなもんだからなぁ。
どこから漏れるか分からんし。
疑ってるわけじゃないけど、本当に他人にステータスを暴露するのは危険なのだ。
探索者を狙った
もしかしたら、宵の明星ギルドメンバー全員探索者を食い物にする
原点回帰みたいな事になった今の俺をも奴等—―—―既に高杉早紀は話ぶりも態度からも、人を殺すことに、何のためらいも感じ取れなかった。最後の最期まで、「なんで」とか、ほざいてたし。俺の事、最初からカモだとしか思ってなかった屑だ。高杉佐紀が、既に人殺しなら、他の面々もどこかで悪事を……?
考えると怖気が走るし、嫌悪感で
「まあ、勝手に一人で潜ったのは悪かったよ。でもこれで安全だって分かって貰えたでしょう?次からは一緒に行こう?」
「……分かった。次からはちゃんと監視しないと!!」
「うちも恋人たちの観察しないと!!!」
なんか、一人違う燃え方してるやついるんだけど、無視するね?
「それじゃ、今日はボス狩り?」
「それも悪くないけどどうしたい?」
「んー、流石にうちは新しい魔物―――守護騎士との連携を雑魚で試したいかな。レベル上げもしないとだし。それに~、まだインプちゃんが~。」
「私もゆきちゃんと同じでユニコーンとの相性チェックしたいかも。もしもがないとは限らないし、ステータスが未熟なうちはね?」
どうやら二人とも、俺がプレゼントしたカードを試用運転とレベリング期間を設けたいらしい。言わんとしてることは分かる。やられれば、激痛どころじゃない。指示系統の全てを放棄しかねない程の痛みなのだ。使役モンスターがやられなくとも瀕死の重傷を負っただけで、このランク帯にいる人間には本来トラウマ級の出来事だ。千堂秋が異端と言って過言ではない。
「じゃあ、今日はいつも通り、狩りしよっか。」
『おっけー!』
俺達は、栄E級迷宮に潜った。
雪村さんはまだまだ、インプが足を引っ張っているけど、ほんの少しはマシになった気がする。
前衛に厚みが出た事で、余裕があるだけかもしれないけど。
遥は回避特化型で組んでいるので、万が一の被弾が命取りになっていたが、ユニコーンの即時回復量の多さから安定感がさらに増している。怨念猿は二軍落ちだろうな。
俺のパーティーに変更はない。進化も選択にあったが、例のボス狩り戦のためにも、不意にやってくるであろうピノキオみたいなのを相手にするのも検討すると、今の等級で抑えておくのがベストだと判断したのだ。
ボス狩りの連戦記録を伸ばしたくて、しょうがなかったが約束は約束。彼女が不機嫌にならないように、ちゃんと守ろうと思う。「次は一緒に」の、この約束もすぐに果たされるだろうしね。
「あー楽しかった!」
「やっぱり、上級モンスターは格が違うね」
「こりゃ、ぼんぼんがイキるわけだわ。」
「お金!諭吉ちゃん!!美容使えるわ!」
「ウチは頑張って貯めて、脱毛しちゃう。」
「あ、いいねーそれ。」
等々、部活動が終了しても―――もうてんやわんやのお祭り騒ぎである。実に楽しそうだ。
確実に、戦力が上がったみんなは、狩り後、口々に感謝してきた。やはり、というか当たり前に戦闘が楽になったらしい。
若いうちに手にした金の威力は凄まじい。
部活が始まって以来、一月と三週を迎え、やる気はウナギ登りだ。部の盛り上がりを見て、部長含め、先輩等も嬉しそうだ。
「新人一年の脱落者ゼロは驚嘆に値しますね。」
顧問の賀茂川が話しているのも小耳に挟む。
一組しか残らなかった上級生達の代を見れば、この様は異様だろう。そして、この盛り上がりを作り上げた人間は―――
「あの、千堂君、ちょっとお話が。」
「あ、はい。」
俺は賀茂川に呼ばれた。
「今回のカード御裾分け事件についてですが―――、」
俺は彼の懸念を払拭せねばならん。
だから、正直に話した。
今回の《カード御裾分け事件》とやらは、金にモノを言わせたわけじゃなくて、ボス狩りして部活動外で集めた事を説明する。
「まあ、そういう訳ですので、先生のもしも何かあったら、みたいな懸念しているようなことはないですよ。あるとしたら、それは部活動外の話ですので。」
先生を何とか説得した俺は、今回の件は何も御咎めはなかった。ただ、あまり無茶なことはしないように、と注意は受けたけど。
俺達は、順調にコンディションを整え、新人戦大会に臨むのだった。
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