第3章 架想市/不思議な都市 前編

 千は、架想市かそうしへとやって来た。架想市は大きな図書館があり、沢山の人に本が読まれている都市だ。架想市出身の作家や漫画家も多い。

 

 千は今、図書館にいる。図書館は広く、沢山の本が並んでいる。

 

 千はウサギを見つける。ウサギは白い。


 何故こんなところにウサギがいるのか、千は気になり、ウサギに近付く。すると、ウサギは逃げていく。


 千はウサギを追う。




 気が付くと、千は不思議な世界にいた。周りに大きなキノコが生えていて、奥には洋風な城が見える。


 ウサギは見失い、元の世界に帰る方法は分からない。デバイスで現在地を確認するが、現在地は不明である。


 千は、とりあえず不思議な世界を探索する事にした。




 千は、見えた洋風な城の近くまでやって来た。


 すると、帽子屋の暗魔が現れる。帽子屋の暗魔はシルクハットをかぶっている。


 帽子屋の暗魔は帽子を飛ばして攻撃してくる。千はかわし、剣の魔機で帽子屋の暗魔を倒す。


 すると、女性が手を叩きながら近づいて来る。女性は王冠をかぶり、赤と黒のドレスを着ている。


「暗魔を倒してくれてありがとう」


 千は困惑する。


「えっと、ここはどこ? そしてあなたは?」


「私はハートの女王。ここは私の国、不思議の国よ」


 千はファンタジーすぎて、首をかしげる。


「ここは不思議の国。みんなの願いが叶う、素敵な場所。しかしある日から、暗魔に侵攻されるようになったの。あなたには、この国を暗魔の手から救ってほしいわ」


「分かった。取り敢えず暗魔を倒そう」


「お願いね。あなた達魔機使いが頼りなの」


 ハートの女王は微笑む。


 千はハートの女王と別れ、歩き出す。




 しばらく歩いていると、少女に話しかけられる。ピンク色の髪に、赤いハートの髪飾り。どこかの隊に所属しているのか、耳にデバイスを付けている。


「あの、この人を知りませんか?」


 少女は写真を見せる。写真の人物は緑色の髪をしている。


 千は、この人物を見たことが無い。


「ごめん、見た事は無い。その人がどうしたの?」


「私は聖杯白愛せいはいはくあ。この人は、私の友達の三葉幸花みつばさちかちゃん。私はここで、幸花ちゃんを捜しているの!」


「なるほど。その幸花という人物について、詳しく教えてくれないか」


 千はデバイスのメモ機能を開く。


「うん。幸花ちゃんは架想隊の1人で、私の仲間。あ、私も架想隊の1人。幸花ちゃんはある日、突然いなくなったの。幸花ちゃんは大人しい子だから、誰にも言わずにどこかに行くってことは無いと思う」


「そうか。ちなみに、架想市を襲った暗魔はどうなったの?」


「ほぼ倒した……はず。でも主を倒していないから、まだどこかにいるかも」


「なるほど」


 千は暗魔の仕業かもしれないと考える。


「ちなみに、白愛はどうやってここに来たの? ウサギを追って?」


「ううん。私は、魔機の力でここに来たの」


 白愛は魔機を具現化する。白愛の魔機は、お菓子をモチーフとした杖だ。


 白愛は魔機でゲートを作り出す。ゲートの中は、架想市の通りにつながっている。


「すごい。早速使わせてもらうね」


 千はゲートに足をかける。


「僕は、まずは架想市で幸花を捜してみるよ」


「うん、お願い。私は、まだ不思議の国に残って幸花ちゃんを捜す」


 千はゲートを通り、架想市の通りへと戻る。




 白愛と別れ、架想市で幸花を捜す千。そこで琳から通信が入る。


「琳、久しぶりー! どうしたの?」


 琳は特に、声色が変わる様子は無い。


「私は、架想市で行方不明者を捜している」


「行方不明者?」


「そうだ。架想市では、連続行方不明事件が起きている」


 琳から、ニュース記事が送られてくる。


「本来なら架想隊が探すところだが、架想隊とは連絡が取れない。そこで代わりに私達が捜している。しかし、今のところ見つかっていない」


 千は、友達を捜していた白愛を思い出す。


「そういえば架想市に不思議の国があったんだけど、そこに行方不明者がいるのかな?」


「ほう、そんな場所が。確かにそこにいそうだな」


「僕も捜してみるよ。琳はどうやって不思議の国に向かうの?」


「私の事は心配するな。この王の剣は、どうやら好きな場所に移動できる。私はそれで向かう」


 そう言って、琳は通信を切る。


 千はお菓子の魔機を具現化し、不思議の国へのゲートを作り出す。


 千はゲートに入り、再び不思議の国へ向かう。




 千は、不思議の国内を歩く。


 しばらくすると、道を見つける。千は道をたどって歩く。


 やがて、千は村に着く。


 千は琳から送られた行方不明者リストを見ながら、村人に行方不明者がいないか捜す。




 花屋のところで、千は幸花に似た人を見つける。


 千は話しかける。


「あの、白愛の友達の、幸花だよね?」


「幸花ですけど……白愛? という人は知りません……」


 千は驚く。


「でも同じ架想隊の仲間で、友達なんじゃないの?」


「架想隊? 私はこの村の……普通の花屋です……」


 千は納得がいかないが、幸花の元を去る。




 千は行方不明者リストに載ってる、他の人にも話しかけた。しかし、誰も現実世界の記憶を持っている人はいなかった。

 取り敢えず、幸花が見つかったので、千は白愛に連絡する。


「白愛! ここに幸花がいたよ! でも何だか、記憶を失っているみたい……」


「分かった! 今すぐそっちに向かうね」


 白愛は通信を切る。




 千は待っていると、白愛が来た。


「こっちに、幸花がいた」


 千は白愛を幸花の元へ案内する。




 再び、花屋へとやって来た。


 白愛は、幸花の手を握る。


「幸花ちゃん! 私だよ! 白愛だよ! 覚えてないの!?」


「はい……。あなたの事は……全く……」


 白愛は肩を落とし、幸花の元を去る。


 


 千は口を開く。


「白愛。架想市では、幸花のように行方不明になっている人がいるんだ。その人達は、不思議の国にいる。しかし皆、架想市での記憶を失っているんだ」


「そうなんだ。だから幸花ちゃんも……」


 白愛は少し間を置いて言う。


「幸花ちゃんは花屋になる事が夢だった。不思議の国では、花屋になってる。だから根本的には変わってないんだと思うけど……」


 千はハートの女王の言った「みんなの願いが叶う、素敵な場所」という言葉を思い出す。そして改めて行方不明者のリストを見る。リストに有栖想ありすおもいという人物がいる。想は、ハートの女王にそっくりだ。しかも想は、架想隊隊長とある。


「白愛、このリストを見てほしい」


 千は白愛に行方不明者のリストを見せる。


「僕はハートの女王に会った。そしてハートの女王は、この有栖想という人物に似ている。想は架想隊隊長だけど、何か知らない?」


「本当だ。想さんがリストに載っている。確かに想さんとは、連絡が取れないけど……」


「ハートの女王なら、何か知っているのかもしれない。ハートの女王に会ってみよう」


 白愛はうなずく。


 千達は、ハートの城へ向かう。

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