第121話
:どんな女が好みだと思う?
:巨乳だろ、こいつ巨乳が売りのゲームやってるし
:巨乳に勝てる男とかいるのか?
:貧乳派も貧乳が好きなだけで巨乳が嫌いな訳ではない定期
:いるかもしれないだろ、巨乳恐怖症とか
:いるのか?
:さぁ?
「……暇すぎるからって人のよくわからないことを推察するのやめません?」
そして俺は完全に巨乳好き扱いされてるんだけど、微妙に否定し辛いこと言ってくるのやめてくれないかな。俺だって一ヶ月前までは健全な男子高校生だったんだから巨乳ぐらい好きに決まってるだろ。オタク陰キャだぞ?
:いつまでかかる?
:実は如月君が言ってるだけで、スカルドラゴンなんて存在しないとか……
:それなりにレアなモンスターとは言ってただろ
:レアなモンスターってどれくらい?
:ガチャのSSR当てるぐらいじゃない?
:ゲームによって確率違うもの出してくるな
:ゲームのレア素材ぐらいじゃね?
:それもゲームによって違うんだよなぁ
「一般的なソシャゲのSSR確率ぐらいじゃないですか?」
一般的なソシャゲのガチャ確率なんて知らないけど、大体2%か1%でしょ。1%なら100回引けば大体6割の確率で当たるから……いや、そもそもモンスターは釣ってる訳じゃなくて待ってるだけだから。
:でももう3階層ぐらい移動したよね
:そろそろ最下層?
「さぁ? ここの最下層が幾つかは知りませんけど……今は75層ですか。確か最高到達階層が80ぐらいだった気がするので、そこら辺まではありますよ」
ちなみに、この最高到達階層まで行ったのは婆ちゃんが若い頃だったらしい。なにしてんだよ……だから日本最強なんて言われるんじゃないの? そもそも婆ちゃんが若い頃って今で言う所のランクDの探索者が最前線なんてレベルの頃じゃない? だって昔はダンジョンの下層なんて地獄みたいな扱いだったらしいから。それって今の深層の扱いと一緒でしょ。その時代に単独で80階層って……頭おかしいだろ。
今でこそ衰えたとか言って積極的にはダンジョンに潜ってないけど、こういう話を聞くと本当に全盛期は今よりもっと強かったのか、それとも口だけで今も昔もあんまり変わってないのか気になるな。
「はぁ……眠くなってきたな」
:寝たら死ぬぞ
:雪山かな?
:南極でも一緒だから寒い場所は全般そうだぞ
:いや、ここマグマの近くなんですが
:気温で言うと普通に50度ぐらいあるんじゃないんですかね?
:なんで逆に50度で済むのと思ったの?
:草
:ダンジョンだから不思議パワーで暑くないかもしれないだろ
「そこまで暑くないですよ。まぁ溶岩は触ったらだめかもしれませんけど……ダンジョン内の気温は多分、40度超えてるぐらいじゃないですかね? 体感で悪いんですけど」
:ダンジョン探索者って肌で感じる温度変えられるの?
:無理だろ
:ダンジョン探索者のことなんだと思ってる?
:超人
:変態
:怪物
:怪物は如月君だけだろうが
:ダンジョン探索者への熱い風評被害
世の中には暑いダンジョンも寒いダンジョンもあるものだ。とは言え、流石にダンジョン探索者だからって肌で感じる温度を無理やり変えることなんてまず不可能なので、諦めてくれ。そんなことができるんだったらそれこそ無敵の人間になっちゃうだろ……いや、実際にどうなるかは知らないけど。
「お、この大きさは来たんじゃないですか!?」
:おぉ!?
:やっぱりセリフが釣りだよね
:溶岩でモンスター釣りとかすっげぇ変態だぜ?
:変態なのはあってるだろ
:草
:こんな溶岩だらけのところで草生やしたら燃えるだろ
溶岩が勢いよく持ち上がり、周囲にまき散らしながら飛び出してきたのは……見上げるような大きさの黒い骨だけの四足歩行の竜。間違いなく、俺が狙っていたスカルドラゴン!
スカルドラゴンはこちらを視認すると同時に、前脚を持ち上げて地面に叩きつけた。呼応するように、周囲からマグマが噴き出してくるけど当たらないから問題無し。
「……なんか、資料に残ってるスカルドラゴンよりもデカくないですか?」
:知らないよ
:そもそもそんな資料とかあるんだ
:あるぞ
:簡単な奴なら売ってるぞ
:そんな売ってるものにこんな深層のモンスター載ってるんですかね?
:載ってないと思うよ
:ここから先(深層)は実際に君の目で確かめてくれ、やろ
:昔の攻略本かなにか?
:ダンジョン攻略本でしょ(適当)
俺の記憶通りながら、資料に記載されていたスカルドラゴンの大きさは頭から尻尾まで10メートル程度って情報だったんだけど……どう見ても15メートルはあるだろ、これ。しかも、骨しかないけど翼生えてるし……別種では?
「ま、いっか」
ドラゴンなら骨も硬いでしょ。まずは様子見で雷ビーム。
「……ん?」
:効いて無くない?
:えぇ……
:魔法無効かな?
「いや、魔力を吸収したように見えたんですけど……」
あり得るのか? 魔力を吸収するって機構だけなら理解できなくもないけど、こいつ身体全体で吸い取りやがったぞ。つまり、骨そのものに魔力を吸収する特性を持ってるってことにならないか? だとしたら……あの素材で作った武器はかなりピーキーな性能だけど、使いこなせばとんでもない威力を出せる武器になるのでは?
「よし、狩ろう」
こういう奴の対処法は多分2つ。1つは魔力なんか使わずに物理で押し潰すこと。これが一番簡単なやり方で、正攻法。2つ目は……魔力の吸収限界まで吸い取らせて内側から爆発させる方法。多分、無限に吸収できる訳ではないと思うから……できなくはないと思うけど、流石に正攻法でやろうか。
「『牛鬼』」
パワーなら、こいつだろ。
単純な腕力だけで言うなら、多分十二天将よりも強いと思う。魔力を吸収するスカルドラゴン相手なら、多種多様な魔法を扱える十二天将よりも単純な腕力勝負を仕掛けることができる牛鬼みたいな奴がいい。
久しぶりに牛鬼は雄叫びをあげながらスカルドラゴンへと向かって一直線に走って行った。
「さて」
:如月君が刀抜いた
:久しぶりに如月君が自ら戦うのか
:魔法効かないからね
身体能力だけでどこまであの骨を砕けるかだけど……剥き出しの背骨を叩き切れば倒せるんじゃないかなと思っている。まぁ、モンスターだから背骨が飾りで、頭だけでも動けますってなったら徹底的に動けなくなるまで細かくバラバラにするだけだ。大してなにも変わらないな!
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