第3話:絶望

「キャァァァ!!」女子達が恐怖から泣き叫び慌てふためいていた。男子達も殺される可能性から逃げようとする者や、面白がって不気味な笑みを浮かべる者に分かれていた。僕は椅子に座ったまま、その場から動けなかった。次は僕の番じゃないのか?そんな恐怖で足が震え、今すぐこの場から逃げたいと感じていた。「大丈夫か?」心配して僕に話しかけてくれていたのは、さっき話しかけてくれていた友達の博人だった。「あぁ…あぁ大丈夫…」「全然大丈夫じゃねぇじゃん!」僕は今この状況で叫んだり泣いたりせず、僕に話しかけてきた博人に少し驚いていた。「怖くないのか?この状況が」僕は博人に対して、少し驚きながらも質問した。「あぁ全然?だって俺怖い物無しだしな!」僕は博人が昔から何も変わっていない事を今再認識した。「そうだなお前昔からそうだったもんな」なんだか博人を見ていると今、足を震えさせてビビり散らかしている自分が情けなく感じてしまう。「うるせぇんだよお前ら!」パーカーの男がいきなり、僕たちに向かって怒鳴り声を立てた。「速く避難しろって言ってんだよこっちはな」「みんな速く逃げて欲しいんだここは私たちが戦う戦場にするんだ」男達は、自分達に向かって速く逃げるように促した。それを聞いた僕は、葵と博人に「葵 博人今すぐここから出るぞ」と話した。「うん俺もそれがいいと思う」博人は自分の意見に対し肯定し、一緒にこの場から逃げようとしていた。「分かったでも…置いてかないでね」葵は少し心配しながらも、僕の目を見て話してくれた。「うん絶対に君を置いていかないよ」そう言って僕は葵の手を繋ぎ、博人と一緒に校舎の外へと向かった。廊下を必死に走り、今いる三階から玄関の一階まで必死に走って行った。「なぁ博人!なんでいきなりこうなっちまったんだろうな!?」「そんなん知らんがな!」博人は必死に息継ぎをしながら、外に出るため走った。少しすると博人は「駄目だ!関根!運動不足だ!ちょっとタンマ!」と息を吐いたり吸ったりして、汗だくのまま廊下で座っていた。「おい嘘だろ…?まだ一分もたってないぞ?」僕は呆れながら葵の手を繋いだまま、博人に向かって話した。「仕方ねぇだろ?最近動いてねぇんだよ…」博人は息切れして目を瞑ったまま、大の字になって横たわった。「だとしてもだろ!」色々言いながらも、僕は博人が復活するのを待っていた。そんな事をしている間に、男子生徒がこっちに向かって走ってきていた。「助けてくれェ!死にたくねぇよォ!」男子生徒は制服の上を脱ぎ、ポロシャツ短パンの格好でこっちに向かって走ってきていた。「…なんだ?」僕は何が起きてるか確認すべく、生徒の後ろを観察して見ていた。そこには、後ろから赤いハサミを持ったGANが近づいて来るのが見えていた。「博人!何か来るぞ!」僕は博人に向かって、声を張り上げ叫んだ。だが、博人は疲れたのか眠ってしまっており僕は博人を必死に起こそうと健闘した。「あれって網切か?まずいぞ…」そうこうしているうちに前で逃げていた生徒は首を切られてしまい、こっちに向かって首が飛んできてきた。「ちくしょう!助けられなかった…」僕は目の前の人を助けれなかった悔しさから涙を流し、ただ恐怖に打ち勝とうとしていた。僕にはどうすることもできないのか?ただそんな気持ちが、胸でいっぱいだった。「…関根…君」葵が僕に向かって震えた声で、静かに喋った。そこには、網切に首を切られる寸前の葵の姿があった。「葵ィ!」僕はただどうしようも無いこの現実を前に、ただ足を震えさせてビクビク怯えているだけだった。「なんでだよ…なんで僕ってこんなに弱いんだ…」もうどうしようもでき無い、そう思いただ絶望に足をすくわれた。その時「キィィィィ!!」と甲高い声が聞こえ声の方を見ると、網切の尻尾が爆発四散した。目先をみるとそこには赤髪とパーカーの男が銃を構え立っていた。

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