第2話:黒服

すると、少し遅れて先生がやって来た。と思ったら、謎の黒服の男2人と傷だらけの先生が教室にゆっくり入ってきた。教室は徐々にざわついていき、男たちは静かに何か話し合っている様子だった。「ねぇ?あれなんだろう…」横に座っていた葵が、少し怯えた様子で僕に小声で話しかけてきた。「ごめん…それは僕にもよく分からない…取りあえず一旦待ってみた方が良さそうだよ」僕はそう言って、葵に伝えた。「はい!注目!今からここに賞金1000万のGANが現れま~す」赤髪の男は突然大きな声でみんなに向かって喋り出した。教室は一気にざわつきだし、中には面白がる生徒や怯えて泣き叫ぶのを我慢している生徒もいた。「どういう事だ…?」僕は冷や汗をかき、必死に思考を巡らせた。「まだ分かんねぇのかよこいつら」とパーカーを着たもう一人の男が、あえて聞こえるように呟いた。「仕方ないよここ底辺校だしさ…まぁ察してほしいものだけど…」男達はまるで僕たちを馬鹿にするように、呑気に喋っていた。「おい!何のつもりだゴラァ!」突然後ろから大きな厳つい声が聞こえた。声の主の方を見ると、最強の不良と噂されている新島龍太が机の上に乗り男達を睨みつけていた。「何の真似だ?お前」パーカーの男は見下しながら、新島に殺意の目を向けた。「お前らいきなり出て来て!意味分かんねぇ事言いやがって!」新島は男達に向かって、不良の名にふさわしい大声を荒げてそう言った。パーカーの男は舌打ちをしながら銃を取り出し、新島に向かって照準を定め銃を構えた。「おい…何こっち向けてんだよ…」新島は、恐怖と困惑が混じったテンションでゆっくり質問した。「一樹やめとけ」赤髪の男が止めるように男に向かって喋った。だが、その行動も無きに等しく、男は新島に向かって引き金を引いた。「うわぁぁぁ!!」恐怖からなのか情けない声を出し、弾丸を避けようとしたが抵抗もむなしく、新島の後ろから来ていた弾丸が頭を貫通し、頭から血や脳の一部が周りに飛び散っていった。

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