第4話 ドロシイ、薬草を見分ける!

 みんなでうんうん、うなっていたけれど、ドロシイにはわかってしまった。


 歩いてきたので、靴の裏には土の欠片がついている。それをトントンと落としてからサワサワ草原の看板にもたれ掛かっていたオズの隣を通りすぎてもにやにやしている嵩で何も言われなかった。

 次にわかったのか、大人しく皆についてきていたカカシが同じ様に靴をトントンする。


 ぴょんぴょんと跳ねるように私の隣に来た。

 残りの二人はなんでだろう?と首をかしげている。


「ドロシイとカカシは正解。カカシ、なんでかわかるか?」

「もちろん! さっきの話の中で、フィールドはそれぞれ特殊な生態系をしているって、言っていたよね!靴をトントンしたのは、“別の植物を持ち込まない為”じゃないかな?」

「正解だ。このサワサワ草原は特にいろんな植物が生えているからな。一度靴の泥を落としてフィールドに入るのは冒険者のマナーだ」

 

 そう、私もどこかで聞いたことがある。小さな虫や草の種とかが持ち込まれると“外来種”となって生態系を壊してしまう危険性があるって。あの話は山だったかもしれないけれど、気を付けないと行けないみたいだ。


 皆で靴をトントンして中に入ると、広い原っぱが広がっていた。


 カカシが持っていたクエストの用紙に書かれているギザギザ葉っぱの癒され草を皆で散らばって探しにいく。

「んじゃ、俺はこの岩の上で昼寝しているから、お前ら遠くに行きすぎるなよ」

 なーんてオズは寝はじめてしまったのだ。


「ちぇっ! おっさんは手伝わないのかよ!」

「えー、ずるいー」

 みんなでブーブー言うけれど、岩を中心に広がって癒され草を探してみる。


「えーと、ギザギザの葉っぱに花は黄色で……」

 クエストの用紙には、癒され草は12本で1セット。報酬は銀貨3枚だ。

  えーと、付き添いのオズさんの報酬はギルドから出るから、私たち4人で報酬を分けるのよね、とドロシイは指を折って数える。

 何本癒され草を取れば、報酬がきりの良い数になるのかな?


 4人で報酬をキリ良く分けるには、1セット銀貨3枚なので銀貨が12枚必要で、12枚の銀貨にするには4セット……1セット12本がええとつまり……。

「癒され草が48本かな?」

 ぶつぶつと声に出していたらカカシがすぐに計算してくれた。

「えーそんなにも取れるかなぁ」

「癒され草にそっくりなくたびれ草もあるみたいだから、気を付けないとね!」


 ドロシイたちは草原を探したのだった。



「集合!」

 一時間ぐらいかな? ブリキが岩の近くで集まるように言ってきた。

 頑張ってさがしたけれど、ドロシイはまだ7本だ。


「へへーん、俺20本!」

 と得意そうなブリキ。

「僕5本」

 としょんぼりとしているレオン。

「ぼくは8本かな」

「なーんだ、らくしょーだな!」

 ブリキが嬉しそうに採集した薬草を振り回す。


「ふあーあ、ドロシイとレオンは半分かな。おっカカシは使えるぞ。ブリキの取ってきたのは全部駄目」

「「「「ええー!?」」」」

 ちらっと起きたオズがひと目で薬草を判断する。


 どうしてブリキの取ってきたのは駄目なの……!?

 

  


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る