第3話 ドロシイ、はじめてのクエスト


 そうだった。なんで忘れていたのだろう。

 ドロシイは3人の後ろを歩きながら、首を傾げる。


 この世界では、11歳以上になると冒険者になることができる。元気なブリキはカカシとレオンを連れて冒険者になることが夢だったのだ。もちろん、幼馴染の私だってそうだ。


 あれ? そうだったかな? すこしだけ思考がふわっとする。


「それで、ブリキ。冒険者ってどうやってなるの?」

「ええ!? ドロシイ、忘れたのか? 冒険者ギルドに行って、クエストを受けてくるんだよ!」

 

 そうだったかなぁと、きょとりとするドロシイの手を引いてブリキは小さな森を抜けていった。


 

「クエストは発注できません」

「「「ええーー!」」」

 森を抜けると小さな街で、その中で大きな剣と盾が掲げられた立派な建物の冒険者ギルドに入っていく。

 その中に入るとブリキは意気揚々とカウンターにいたお姉さんにクエストの事を伝えたが、断られてしまった。

「なんで!?」

「クエスト発注の規定に満たないからです」

 お姉さんに困ったような顔をして断られてしまう。

 ブリキは頭をくしゃくしゃとして、なんでだろうと不思議そうに唸っている。

 カカシは依頼を書いた紙がたくさん貼ってあるクエストボード、というところで目を凝らしてみているけれど、あまり読めていないみたい。

 レオンは……冒険者ギルドの他の冒険者が怖かったのか、ふるふる机の下で怯えている。


 ドロシイは何がいけないのかと考えた。


「お姉さん、クエスト依頼の規定ってなんですか?」

「クエストはギルドカードに指定された階級のものしか受注できません。また、クエストを受けるためにはそれが受けられる準備をしないといけません」

 私はブリキたちを見た。

 ブリキは武器はショートソード、ロープや火打ち石とか冒険者の基本セットが入ったカバンにピカピカの靴。オシャレなつもりなのか、膝に穴のあいたズボンを履いている。

 

「わかった! クエストを受けるなら、おろしたての靴じゃなくて、履き慣れた靴、転んだり怪我しても大丈夫な様な格好をしないといけないんじゃないかしら?」

 お姉さんはにこにことしている。


「ええ!? 靴、はりきって新品のを履いてきたのに!」

「新しい靴は慣れないと靴擦れをしてしまって大変よ!」

 ちゃんと冒険できるようにとブリキは近くにあるおうちに帰るみたいだ。


 今度は履き慣れた靴と丈夫なズボンを履いたブリキがお姉さんにクエストのことをきいてみた。


 お姉さんはニコニコと一枚のクエストを差し出す。


「若葉マークの初心者冒険者の皆さんにぴったりのクエストがありますよ。癒され草の採集クエストです」

 やったー! ブリキとカカシが喜んで、レオンもほっと胸を撫で下ろしているみたい。


「ただし、はじめてのクエストなので付き添い付きです」 


 

 

 

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