第4話 深まる謎
ケイマを迎えに行った時に母親に
「ガールフレンド、出来たら紹介してね。美味しいミートパイでも作ってあげるわ」
と言われた。
「彼女じゃなくて、今は子供がいるだろ」
と返したが、母親は冗談だと分かっていても笑うのに必死だった。
「まぁ、楽しいからいいけどさ」
と言うと、母親は安堵の表情になった。
初恋は十三歳の時。濃い青い瞳の色をした女の子。セミロングの金髪は綺麗で魅了される。手足が長い女の子。マイカと言った。
まだ引きずっているらしく、数回付き合った女性とは三ヶ月ももたなかった。
「ジュン!一緒に帰ろー」
と言って俺のクラスまで迎えに来る明るい性格の女の子。
思春期の生徒が多いなかこんな感じで、俺達は恋人だと噂をされていたが付き合ってはいなかった。仕事が忙しい彼女の両親に代わって、俺の両親が面倒を見ていたから仲良くなったという感じだ。俺の家はその時は、地区的に学校の生徒はいなくて、学校から一番遠いところに家があった。
もう、その家は手放してしまったけれど。
マイカは学年でもトップの成績で運動能力も抜群。父親が海の仕事をしているとかなんとか言っていた。保安官だったか……。
母親も銀行員で銀行で働いている。
マイカは綺麗で可愛くて素敵な女の子だった。
本当に好きだったけど、自分の気持ちを伝えるのが怖くて、そのまま十六になる年に疎遠になってしまった。今、思うとその子が好きなのかどうかも分からないまま、何もかも失ってしまったのだ。
俺はこの子には後悔したくないと思った。だから大切にしようと思った。
ケイマが来てから一か月程が経った。俺は相変わらず仕事漬けで朝早くから夜遅くに帰る生活だ。
施設の方は見つからなさそうなので、本当に家で預かってしまおうかという話まで出ている。
ケイマの知能は驚くほど高くて勉強を教えたら、すぐに覚えてしまった。それに、運動能力も高かった。ケイマの親は一体どういう環境で育ったのだろうか。ケイマを見ていたら謎は深まった。
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