開門4

 シズクがやっていたマジックがとても気になったので聞いてみた。


「それって、魔法陣っていうの?」


「そう。この杖で地面に書くと魔法が発動するんだ。あれ知らないの? さっきのは草魔法だよ」


 草魔法。草を使った手品かな?

 それにしても凄いな……。全然、手品の種が分からなかった。


「なかなか上手くいかないから、誰かに助けて欲しくて通信の魔法陣書いてみたんだ。それを聞いてきっと来てくれたんだよね?」


「そうそう、シズクちゃんの声が聞こえて……。……あれ? 手品じゃなくて、本当の魔法……なの……?」


 シズクちゃんの頭には、はてなマークが出ていた。

 シズクちゃんにとっては、魔法というのは当たり前の概念らしい。


 これって夢なのかな。私疲れすぎて居眠りでもしちゃったかな……?


「私はね、薬草を取りに来たの。……まぁ、正確には薬草の元になる草。ニジ先生が、薬にしてくれるんだ」


 とりあえず、帰ろう。もしくは夢から覚めよう。

 なんとなく話を合わせておいて帰っちゃおうっと……。



「そうなんだね! とりあえずシズクちゃんが助かったならいいよ! 私は帰るね」


 シズクちゃんに笑顔でそう言うと、後ろを振り返った。

 そうすると、先ほど私が来た門が大きく構えていた。


 だけど、その先には教室ではなくて、街が広がっていた。



 ……え?


 ……私は、教室から来たはず……?



 私が戸惑っていると、今度はシズクちゃんが私を助けてくれた。


「どうしたの? 何か困ったことがあったら、ニジ先生に聞いてみよう?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る