第3話 ハーレム要員揃う

「やぁやぁ待たせたね!」

六条院むつむ率いるSクラスメンバーが教室に入ると、すでに一人の生徒が座っていた。

銀細工のような美しい髪はうなじの後ろできっちり編み込まれ、規定のままのブレザー、真っ白なブラウス、膝下のスカート。

黒のハイソックスと、制服の見本のような着こなしだが、大きな特徴があった。

仮面である。

卵を逆さにしたような形に、目元だけくり抜かれた仮面。

そのくり抜かれた目元にすら黒いレンズが嵌め込まれていいて、目線すらわかららない。


呆気に取られる他のクラスメイトを見て、ケラケラとむつむが笑う。

「彼女は帚木からたち。とある事情で仮面をつけているが気にするな!さぁ席につけオモチャども!」

「誰がオモチャよ!」

「いちいち噛み付くな脳筋女」

蓮華とさくらのやりとりを無視して、つづみは自分の席を探す。

「初めまして、蓬生つづみです」

帚木からたちの隣だったため、つづみはからたちに声をかける。

「あ、よろ、しく」

小さいか細い声とは裏腹に、からたちは大きく頭を下げた。

さて、とつづみは教室の配置をみる。教室に机は6つ。

前に蓮華、からたち、つづみの三人

後ろにさくら、ミハト、そして空きの机だ。


『もう一人ハーレムメンバーが追加されるってことかしら』


無意識のうちに自分もハーレムメンバーに入れていることに気づき、つづみは自己嫌悪で叫ぶ前に、精神安定剤代わりの紫紺フレーバーハンカチを再度口元に当てて吸う。

帰ったら紫紺様本体も吸う。絶対吸うと心に決めておく。


「さてさて、君たちが私の指導下に置かれる理由はわかっているな!」

なぜか教卓に座るむつむ。生意気にも足を組んでふふんと偉そうに笑ってみせる。

「まずは薄雲蓮華!君の近接戦闘能力は素晴らしい!生身でコンクリートを打ち砕けるパワー!」

「帚木からたち!その能力は魅了!仮面を外せば老若男女君に心酔する!君に愛されるためなら死すら厭わぬ者ばかりだ!まさに傾国の美女!」

「蓬生つづみ!分家筋ながらも本家も目をかけるその透視能力はもはや千里眼と言ってもいいほどだ!」

「橋姫ミハト!圧倒的治癒能力と能力者への支援能力!霊薬作りの名家!霊薬はこの国でも有数の能力者に愛用されている!」

「そして澪標さくら!お前は、まぁ、ほどほどに頑張れ」

「俺の紹介だけ雑だよむつむちゃん!!!」


ーーーいや、それどころじゃねぇよこの野郎

つづみは冷静を装いつつ、六条院の迂闊さにゾッとする。

薄雲、橋姫はまだいい。彼らは自分の能力を公言しつているのだから。

だか、つづみとからたちは違う。その特異性から『安易に口外してはならない』と学園側に一族から話があったはずだ。

つづみの能力は透視ということにしていたが、せいぜい伏せられた絵札の絵柄当てぐらいだと言う様に言われていたはず。

帚木家にとっては論外だ。魅了の異能?そんなもの「危険」すぎる。

元々能力秘匿主義の帚木家としても、それは隠したい異能のはず。それこそ、からたちもーーーバラされたくないだろうに。

『あの女、そこそこの上層部から情報を仕入れてますわね』

つづみは冷静な表情を崩さぬまま、むつむの話を聴き続ける。

「ーーーということで、Sクラスのみんなには学園の特別寮に入ってもらうよぅ!!!」


ふざけんなばか


「はぁっ!?何よそれ!聞いてないわよ!」

大慌てで席を立ち上がるのは蓮華だ。

「あぁ、蓮華ちゃんは特に薄雲家からよろしく言われているからね!」

「話になってない!!」

どうもこのクラスのメンバーで同じ家で住むことになるらしい。強制シェアハウスである。はいはいお約束。

そんなお約束の流れではあるが、つづみは断固拒否する。

「……私も了承はできません」

蓮華のように怒鳴りつけたいのを抑えつつ、穏やかにつづみは手を上げて、むつむに反論する。

「私はまず蓬生本家に相談させていただく必要がございます。

特に、私は婚約中の身です。いくら学友といえども、婚約者以外の異性と共に暮らすなんて許されませんわ」

後、これ以上1日の紫紺様摂取量が減ると禁断症状起こすぞ。泡吹いて倒れるからな。と心の中で付け加えておく。

「婚約者?誰だそいつ?」

「蓬生家の人だよ。ほら、私たちが六条院様に案内される直前にさくらをすごい睨んできてた髪の長い男の人。」

後ろの方でヒソヒソとさくらとミハトはおしゃべりをする。

やめろやめろ、紫紺様を認識すな!

あと睨んでない!紫紺様はあれがデフォルトの可愛いお目目なの!

なに私の許可なく紫紺様の話してるんだ!ぶちのめすぞ!

と、つづみはツンと澄ました表情のまま脳内で罵倒する。

「へぇ、婚約者ねぇ」

背中に刺さるさくらの視線。つづみは反応一つせず表情をキリリと引き締めたままむつむを見据える。

おどおどと、からたちも、手をあげる。

「入寮の話、私も辞退させて、もらいます」

「エェーなんでー!絶対楽しいのに!枕投げしたり恋バナしたりしようぜぇ!!」

またも教卓の上で地団駄を踏むむつむ。反応したら負けだと、反対組三人は無言である。

「うぅーせっかく用意したのに、じゃあ、さくらとミハトと蓮華ちゃんだけ先に入っとこうかー。からたちちゃんとつづみちゃんはちゃんとお家の人に話しててねー」

「な!なんで私は入ることになってるのよ」

「そりゃあ、蓮華ちゃんは『お家の人の許可』が出てるからねぇ」

にっこりとご機嫌に笑うむつむを見て、一瞬、蓮華の顔が青ざめて、ストンと反抗するのをやめるように着席した。

「さてさて、今後の教育内容だけどー」


不穏な空気など気にもせず、むつむは5人の生徒相手に話し続けるのであった。


*****


不穏な雰囲気なのはSクラスだけではなかった。

Aクラスに集められた生徒の様子は様々だ。


だがそれ以上に、困惑している生徒の方が多い状態だった。何せ始業式にも出ておらず、Sクラスなどないように式が始められたのだ。

一部の教師や先輩に至ってはSクラスの存在を今朝やっと知らされたようでもあった。

「六条院といえば、特に有名な一族よね」

「どころか、六条院むつむ様は敵なしと言われた天才異能者よ」

「指導者として生徒ほんの数名しか取らないはずだぞ……」

クラスからはそんな噂話しか聞こえてこない。

「つづみ様、大丈夫でしょうか」

関屋要が心配そうに紫紺に声をかける。

「あぁ、つづみが不安になっていないといいんだが」

「え」

「え」

要が目を丸くする。紫紺は目を丸くした要に逆に驚く。

「あ、失礼しました若様。自分は、「一日の摂取できる紫紺様が足りなくて暴れるつづみ様」を想像してました。」

爽やかな笑顔でそう答える紫紺の側近、関屋要。

「つづみ様のことだから力技でAクラスに入り込む可能性もありますから」

爽やかな笑顔のままでなんかとんでもないことを言う要に対し、紫紺はちょっと遠い目をした。

やりかねない。先日「紫紺様の唇と同じ柔らかさのマシュマロを厳選するので唇を触らせてください」と真顔で言ってきたつづみだ。

もちろん、おさわりは禁止した。

「つづみは、つづみはいい子なんだ。ちょっとアレなだけで」

「紫紺様、認めてください、つづみ様はだいぶアレです。紫紺様。でも自分はそんな紫紺様とつづみ様を見るのが大好きですよ」

にこりと、背景に花でも散るかのように要が笑って見せる。

「つづみ様の奇行にワタワタする紫紺様を見ると、こう、胸が熱くなります」

それが萌えとか推しカプに対する感情だと、要は知っているが言葉にはしない。態度で示していくスタンスである。

「そうか、なるべく平静に、狼狽ぬようにしてはいるのだが。俺もまだまだだな」

つづみの奇行を止めるのはほぼ諦めているらしい。さらに遠い目をして紫紺は、ふ、と乾いた笑い声を小さく漏らした。


「失礼、蓬生くん」


要の後ろから声がして二人ともそちらを見る。

要よりもだいぶ背が低く、糸目がちで、ふくよかな少年がこちらを見て人懐っこく微笑んでいた。

「初めまして、僕は藤袴ふじばかま百多郎ももたろう。ぜひ学友として仲良くして下さい。」

百多郎と呼ばれた男はむくむくとした手を紫紺に差し出した。

「蓬生紫紺だ、よろしく。こっちは友人の関屋要だ」

紫紺はあっさり握手を交わし、関屋のことも紹介する。

しかしその紹介に要は少し眉を顰める、紫紺と要はいわば主従関係だ。そう他者に友などと紹介してはいけないのだが……敬愛する紫紺に、友人と紹介されたのは正直嬉しい。

要はにやけたまま百多郎と握手をする。側からみれば、やさしく微笑んでるだけなのだから、やっぱり顔のいい男は違う。

「よろしくお願いします」

さて、藤袴家といえば、正直近年、あまり優秀な異能者は出ていない旧家である。

しかし、サブカルチャーメインの雑貨店が大当たりし、今では全国に店を広げる「商売上手」である。

つづみが好きなキャラクターものも、この藤袴家の管轄の会社だったはずだ。

「しかし、残念でしたな。お互いSクラスには選ばれず。全く、あんなハーレムクラスうらやましいかぎりですぞ」

やれやれとばかりに肩をすくめる百多郎。

「ハーレムクラス?」

「男子一人に女子4人。それも少なくとも3人が3人とも超絶美少女ですよ。僕だったら1日目で浮き足だちますねぇ。

橋姫ミハトちゃんと薄雲蓮華ちゃんは有名な美少女ですから。あとの二人はまだ僕もよく知りませんが、蓬生つづみちゃんは、チラッとみましたが和服の似合いそうな儚げ美少女でしたね」

「「え」」

「え」

目を丸くする要と紫紺に、今度は百多郎が細い目を丸くする。

「あ、あぁ、失礼、蓬生くんの婚約者殿でしたね。婚約されているという話は僕も聞いていますぞ。

いやはや、つづみちゃんがあのような可憐な婚約者とは。物憂げな表情が大変美しい子でしたなぁ」

「「え」」

「えぇ……」

二人の反応に百多郎は困惑する。どうもお互いの話がちょっと噛み合わない、なんだろう、蓬生つづみは二人いるのだろうか。

「紫紺様、つづみ様はやっぱり外では喋らせない方がいい評価もらえますよ」

「いや、つづみは確かに藤袴殿のいう通り美少女なんだが、その、ちょっとはしゃいだ時にそれが相殺されるというか」

「紫紺様。それ無自覚惚気ですね。ありがとうございます」

二人のやりとりに、百多郎はちょっと困惑しつつも話を続ける。

「Sクラスの話なのですが、蓬生くんも『澪標みおつくし』についてご存じないですかな?」

「あぁ、知らなかった。おそらく、非異能者の家から出た者だと思っていただが」

「でしたらなおのこと、BかCクラスではないですか?我々Aクラスは家格だけではないのに」

正直な不満の言葉に、少し紫紺は押しだまる。

「確かに、その通りだな」

異能持ちの家は優れた才を持つ子が出ると、専用の学校に入学させられる。そこで異能のコントロールを学ぶのだ。

Sクラスに入れるほどの才を持っているならば、ここにいる誰か一人ぐらい名前は知っていそうなものだが……

逆にいえば、異能持たずの一般家庭に突然異能持ちの子が生まれたら、国に報告することが義務付けられている。

本当に微量な異能の場合は、国の指定する管理機関で定期的に能力の検査を行い、普段は異能封印術を施す。

「(どこぞの名家の隠し子か?それともつい最近能力が目覚めて六条院に認められたのか?)」

「まぁ、蓬生家の婚約者殿に手を出すようなことはないでしょうが!」

婚約者のつづみに、あの澪標という少年が手を出すことを恐れたのかと思った百多郎はハハハと笑って慰めてくる。

「そっか、紫紺様、つづみ様と同じクラスになれなかったこと、実はショックだったんですね」

「おい、その優しい笑顔をやめろ要」

つづみをそばにおいておきたいのは「未来視」ができることを他のものにバレないようにしたいのと、いざとなれば紫紺がつづみを守れるようにだ。

確かにそれができないのは痛手で、不安である。


「(いや、意外とショック受けてるな自分)」


実は、これから一緒に学校生活だー!と、ちょっとはしゃいでいた自分がいたのを認めなければ。


「蓬生殿はどうしたのです?急に苦い顔で押し黙って」

「あぁ、気にしないでください。ちょっと自分の気持ちに気づいて反省してるだけなんで」


苦い顔をして押しだまる紫紺。ほほえむ要。狼狽えたままの百多郎をよそに、ようやく教師が入ってきて生徒たちを着席させた。

そして、こちらも今後の授業についての説明が始まったのだった。


*****


「ねぇ、ほんとに帰っちゃうの?」

初日、むつむのおおまかな説明も終わり、帰り支度を始めたからたちとつづみを泣きそうな顔で見てくるのはミハトだ。

彼女はつづみとは真逆の白のセーラーワンピースに、白いタイツ。胸元には可愛らしくふんわりと広がるピンクのリボンタイをしていた。

「せっかく同じクラスになったんだからもっとお話したいな」

今度はニコリと無邪気に笑うミハトに、からたちは「えっと……」と困ったような声を出した。

「ね、今日は泊まらなくていいから!お部屋だけ見にいこうよ!」

「では、失礼しますわ」

「ふぇぇぇ!つづみちゃん聞いてない!!」

ミハトに誘われて迷っているからたちを容赦なく置いて、つづみは教室を出て行こうとする。

「待って待って待ってぇ!」

ミハトが慌てて自分の鞄を漁ると、可愛らしくラッピングされたクッキーを持ってくる。

「今日みんなに食べてもらおうと持って来てたの!せめてこれだけでも持って帰って!」

中身のわかる透明のラッピング。中に入っているのも、ただのクッキーであるようだ。

「んふふ、ただのクッキーと思うなかれ!橋姫家の名にかけてこだわったんだから!!」

「まぁ、ありがとうございます。それでは皆様、さようなら」

にこりとその菓子を受け取り、つづみは教室を後にした。

教室内では「みんなの分もちゃんとあるよー!とミハトの元気な声がする。


つづみは一瞬だけ振り返りーーー『視る』

未来視した先にはきちんとクラスメイト分のクッキーを配っている様子が見えた。


それだけ確認すると、つづみは足速に校門へと向かった。


*****


校門近くに紫紺の姿はなく、代わりに関屋要の姿が見えた。

すでにAクラスBクラス問わず女子に話しかけられている。

爽やか好青年かつ、実力も折り紙付きとなればそりゃモテる部類だろう。

「関屋さん」

「あ!つづみ様!こちらです!」

話をしていた女子たちと、これまたスマートに話を終わらせて、帰らせていく。

「迎えの車がもう駐車場に来てますよ。で、どうでした?Sクラスは。Aクラスはずっとその話題でしたよ」

「紫紺様がいなくて辛い」

「わぁ、目が濁ってる」

死んだ魚の目をしたつづみに、要はさして驚かずに、迎えに来ていた蓬生家の車に乗り込ませる。

「紫紺様は先に本邸に戻られたのですね。その、どんな様子でしたか?」

先読みつづみとて、常に全てを見ている訳ではない。

いや、ほんとは24時間紫紺様を視姦したいのだが。あまり長時間力を使いすぎるとぶっ倒れて、泣きながら嘔吐を繰り返す羽目になるのだ。

「そうですね。知り合いも増えて楽しそうでしたよ。藤袴家の方と交流が持てそうだと」

「見たかったですわ!!!最初から最後まで見たかったですわぁ!!!!」

心底悔しそうな表情をしつつ、目が濁っているつづみ。どういう感情か要には計りかねて、苦笑いである。

「ウエェェェ、新しいクラスメイトでドキドキする紫紺様見たかったよぉぉぉ」

「中等学校の知り合いも多かったので、そういう初々しい若様はみれませんでした。

で、つづみ様、『どうでした?Sクラス』」

穏やかに微笑みながら、要はつづみに「いいから報告しろ」とばかりに圧をかけてくる。

要はつづみにとっても良い友人だが、紫紺の側近である。おそらく紫紺に話を聞き出すよう言われているのだろう。

「私の感想でよろしいかしら?」

「えぇ、お願いします」

「まず、Sクラスの存在をあらかじめ知っていたのは六条院と学園関係者、橋姫家も元々知っていた可能性がありますわ。『薄雲家』はおそらくつい最近、最悪、当日に本家に話が入ったのでしょうね。」

「では、帚木家は無関係ですか?」

「帚木家はわからないのですが、ただ、今回のやり方にはあまりいい顔をしないでしょうね」

仮面で表情もわからないが、寮入りを拒んだのと、「魅了」が他者に行かないように気をつけている様子があった。

もし、帚木家の者も六条院側なら、蓮華とつづみに魅了をかけていうことを聞かせることもできたはずだ。

「自分が軽く調べたところ、六条院家といえば、異能者名家の一つです。六栄学園での権力を振るえるのが、あの、むつむとかいう教師でしょう。

学園長とかめんどいことはしたくないと、元々教師枠で入っていたものの、今までほぼ実務はしていないとのことです」

どこでそんな情報をこの短時間で調べたのかと、つづみは要の顔をまじまじとみた。

「先に先輩方とお話しする機会がありまして、いろいろ聞かせていただきました」

清涼飲料水のCMにでも使われそうなほど健全で人懐っこい笑顔を浮かべる要。

あるほど、人の心に入り行こむにはうってつけである。

「橋姫ミハトは六条院むつむと協力関係にありそうですわ。これをみる限り」

つづみはミハトから渡されたクッキーを、要に押し付けるように渡した。

「これは?」

「橋姫さんが持ってきたものですわ。それもピッタリ人数分」

「あぁ、なるほど。それはおかしいですね」

Sクラスの存在を知ったのは当日である。それも何人になるかなんで予想もつかないはずだ。

「まぁ、たまたまだと言われたらそれまでなんですけどね。それ、処分してくださる?」

「え、食べないんですか?」

「今までの経緯を考えて、これ食べたら馬鹿じゃないですか」

初日でクッキーに怪しい薬を盛ることは流石にないだろうけれども、警戒しておきたい。

「うぅ、なんでこんなアホみたいな面倒に巻き込まれるのでしょう。せっかく紫紺様とイチャイチャネチャネチャ学園生活だと思ってたのにぃ」

「まぁまぁ、まだ始まったばかりですから」

そんな話が終わると、うとうとと瞼が重くなる。気を抜いたせいだろうか。

意外にも疲れていたらしい。

「……ちょっと眠ります」

「えぇ、若様には後で自分が報告しておきます。おやすみください」

ありがと、とつづみはそう礼を言うとすぐに眠りに落ちてしまっていた。

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