第1044話 コラウスへ
村に戻ると、真っ赤なルースミルガン改があった。
「派手やな~」
この世界で赤色なんて目にすることもないのに、赤を選ぶとかマリルの感性、スゲーな。
「おじちゃん、綺麗でしょう!」
大満足なマリル。いつものクールスタイルはどこへやら。年相応の喜びを見せていた。
「お、おう。でも、綺麗すぎないか? 綺麗すぎると逆に汚れが目立つぞ」
ロードン処理されているから汚れには強いが、まったく汚れないってわけじゃない。泥を被れば少しはつくだろうよ。
「汚れたら洗うから大丈夫」
お、おう。そうか。がんばれや。
「オレは巨人と歩いてコラウスに向かうが、マリルはどうする? マルゼは湖の反対側で狩りをしているが」
「長いことかかるの?」
「七日くらいかな? 長くても十日だと思う」
「じゃあ、マルゼと狩りをする」
「わかった。アサルトライフルや弾は間に合っているか?」
「大丈夫。プライムデーでたくさん買ったから」
あ、プライムデー、過ぎてたんかい。すっかり忘れてたわ。誰か買ってくれたか確認しておくか。
「たぶん、マルゼは利用してないからなんかわけてやってくれ」
「わかった。お菓子たくさん買ったから渡しておく」
必要なものはオレが渡しているし、いろいろ動き回っているから大きいものは買えない。買っても管理が難しいだけ。自然と食べるものになるんだろうな。マリルはお洒落とかまだ興味なさそうだし。
マリルと別れてガガリのところに向かった。
背負い籠が集めて置いてあり、なんか毛皮や草を編んだもの、木で作ったものがいろいろ入っていた。
……売れるものなのか……?
その辺のことはなんも知らんので口を出すことはしない。オレはロースト村と繋ぐことと、道をオートマップに記録し、小型発信器を十キロ毎に打ち込んでいくのが目標だ。
なにを売買するかはガガリたちにお任せだ。
「ガガリ。こちらはいつでもいいぞ。いつ出発する?」
「なら、明日の朝、陽が昇ったらでいいか?」
「了解」
ってことでホームに入り、プライムデーで買ったかを確認した。
「トラクター、買ったのかな?」
夜も外で寝てたから買ったかどうかわからんのだよね。
まあ、オレはウイスキーが買えていたらそれでオッケー。今はこれだけが楽しみだよ。スキットルに入れておこうっと。
ミーティングを済ませたら明日のために早めに就寝。巨人で移動しようと思うので、なるべく簡単な服を選び、マチェットだけにした。
朝になり、五時半には外に出てみたら、ガガリたちは起きていて、もう背負い籠を背負っていた。
「悪い、遅れたか?」
「いや、準備が整ったところだ。タカトがいいのなら出発するが」
「ああ、構わんよ。出発しようか」
ってことで出発進行。コラウスに向けて森に入った。
コラウスに向かうのはオレを混ぜて十一人。男七人に女四人だ。
インスタント巨人のオレとは違い、真の巨人は力持ちだよな。人間にしたら百キロくらい背負ってんじゃないか? よくそれで平然と歩けるものだ。
オレは最後尾なので道を切り開く必要はないので歩くだけ。それでも二時間歩いたら空腹になってきた。
それでも二時間は巨人になっていられるか。成長したと言えば成長したな。
「ガガリ、少し休憩しよう」
マチェットは木に刺して小さくなり、カロリーバー(タブレットで買った甘いヤツね)を持って巨人になった。
「これを食って休んでてくれ。巨人になる限界がきたから着替えてくるよ」
ホームに入り、栄養剤を飲んだら指輪を外した。
作り置きのハンバーガーを食い、戦闘強化服に着替え、タボール7をそうびした。
「お待たせ。ガガリ、そのマチェットを持ってくれ」
マチェット一つでも巨大化するとエネルギーを使うので、ガガリに持ってもらった。
昼まで歩き、それぞれにわたしたカロリーバーでエネルギー補給。巨人たちはまだ疲れてないと言うので、野営しやすい場所まで進んだ。
「この調子なら二日で着けそうだな」
歩き慣れているからか、道なき道を四十キロは歩けたと思う。魔物も逃げ出していたっけ。
ホームに入ると、巨人パンが入ってあった。
「これ、少しもらっていいか?」
「いいよ~。タカトのところで食べるかなって思って入れたから」
どうやら雷牙が入れたらしい。
「てか、どうしたんだ?」
「ロンレアで巨人用のパン窯ができたんだよ」
「へー。ロンレアにな。小麦、運ばれてきてるんだ」
ミヤマランからか?
「都市国家からだよ。安いみたいだから大量に買ってるってビシャが言ってた」
ビシャ、ロンレアまできてるんだ。そんなに忙しいみたいだな。
「ロンレアにしばらくいるのか? いるなら巨人パンを入れてくれ」
「わかった。ガーゲーと往来してるからできてたら入れるよ」
「頼む」
巨人パンは日保ちするパン。ガレージなら空調が効いているのでカビたりはしないはずだ。
五つは入っているので、半分ずつすれば足りるだろう。直径一メートルはある。四分の一ずつ食えば明日の分にもなるだろう。そんときはイチゴのジャムでも巨大化してやるか。
そんなことを考えながら一つずつ運び出し、ガガリたちに渡した。
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