第1039話 戦闘特化
夕方には砂浜から発信器までの土地が拓けられた。
今は冬なので雑草は枯れているが、根は生きているだろうから除草剤を買って魔法で集めた水に混ぜて撒き散らした。
根を枯らしてから除草剤は十五日には消えてしまうので自然には優しい。十五日縛りも悪いことばかりじゃないよな。
しっかり働いてくれたので、唐揚げを十キロと茹でた枝豆を十キロを買い、巨大化させて振る舞った。
昨日の今日でワインが慣れることもないが、食欲は旺盛のようで、出したものをすべて食い尽くし、ワインも半分は残してしまった。また明日飲むそうだ。
「おじちゃん。マラキをお願い。全然寝ないんだ」
「ああ、わかった」
マルゼからマラキを受け取り、首紐をオレの足に結んだ。
「ゆっくり寝ろよ」
今日もオレは焚き火の前に座り、見張りについた。ちなみにホームで昼寝をしているので眠くはありません。
巨人たちも酒が回っているので、横になったらすぐに眠りについてしまった。
巨人になれ指輪を満タンにするために麦焼酎を飲みながら高カロリーのあるツマミを食った。
一時間飲んで食べて指輪が満タンになったらEARを巨大化させた。
「やっぱりほとんど持っていかれたな」
今ならと思ったが、やはりEARとなると金床くらい持っていかれたぜ。
「なんかセーフティーでもかかってんのかね?」
もっと簡単に巨大化してくれるなら巨人に配布できるのによ。
EARを脇に置いて元に戻ったら栄養剤を飲んで空腹を抑えた。ふー。
落ち着いたら次はルンを五つ、いや、七つはいけるか? チャレンジだ。
なんとか巨大化させたが、目眩がしてきた。ルンもかなりエネルギーを持ってかれんな……。
カロリーバーを食って空腹と目眩を抑える。カロリーバー、消化がよくて回復力も高いんだよな。今度、液体にできないか相談してみよう。
「ん? なんだマラキ? 腹でも減ったか?」
まだ寝ているほうが多い時期だと思うのにまったく寝ないな。
キャンキャンと鳴くと犬にしか見えんな。てか、この世界に犬っていないな。別の大陸で生息してんのかな?
ホームから豚の骨を買ってきてやると、野生を出してかぶりついていた。
「獣は所詮獣ってことか」
理性を進化させる余裕がなかったんだろうな。
腹が膨れたら骨を抱くように眠ってしまった。
ジョニ黒をストレートで飲みながら椅子に凭れかかっていると、なにか獣の方向が遠くから聞こえた。
「ロースランだな」
「ああ。あれは獲物を見つけた咆哮だ」
ぐっすり眠っていたかと思っていたらタダオンたちが音もなく立っていた。
……こいつらも理性があるだけで獣だよな……。
「村か?」
「いや、違う。あっちのほうから聞こえた。なにか追っているんじゃないか?」
「オレが見てくる。タダオンたちは光を目印に追ってきてくれ。マルゼ、起きろ!」
マルゼもマルゼで獣のように生きてきたからか、寝袋から出ていた。
「ルースミルガン改で出るぞ」
「了解! マラキ、いくぞ」
プランデットをかけてロースランの生命情報を出してセンサーに繋いだ。
ルースミルガン改に乗り込んだらマナ・セーラを起動。計器をチェックしたら空に舞った。
時刻は午前一時前。森も眠っている時間なのに、ロースランの熱が東にむかいた。
「ドワーフか?」
ロースランが獲物を追っていて、獲物が東に向かっているのならドワーフである予想が高い。ロズたちとは違う一団がソンドルク王国を目指しているのかもしれんな。
「マルゼ。もしものときは降りてもらう。戦闘になるかもしれないから用意しておけ」
「了解。任せて。マラキ、騒ぐんじゃないぞ」
リュックサックにマラキを突っ込んで背負った。
熱源の上空まできたら榴弾を撃ち込んでやった。
「マルゼ。北に二百メートル。複数の熱源がある。助けろ」
「了ー解!」
木々が邪魔で着陸できないが、マルゼなら木に飛び移ることはできる。サムズアップして見送った。
ルースミルガン改搭載のEARで散らばろうとするロースランを牽制する。
マナ・セーラと連動しているので、二千発は余裕で撃てる。まあ、魔力抵抗値が高いロースランを殺すことはできんけどな。
牽制している間にタダオンたちが追いつき、ロースランたちに襲いかかった。
巨人にしたらロースランはゴブリンみたいなもの。俊敏でもないから次々と殺していった。
「武器がいいと殺戮にしかならんな」
五人とも鉄の剣を持ち、二人は槍を持つ。オレの胴体くらいの木なら一刀両断にできる力を持ち、ロースランの胴体も一刀両断していた。
「戦闘に特化した巨人はおっかねーぜ」
五対四十ながら苦戦することはない。そして、逃がすこともない。どんな連携力でロースランを全滅させてしまった。十五分とかからずな……。
照明弾を打ち上げ、着陸できるところを探した──が、なかったので、ルースミルガン改ごとホームに入り、戦闘強化服に着替えたら外に出る。
枝で落下速度を殺して大地に着地した。どこぞの戦争帰りの乱暴ーみたいなことやっちまったよ。
X95が壊れてないのを確認したらマルゼの気配に向かった。
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