第1028話 スーパー
「ふー。結構汗かいたな」
剣は重いだけになかなかの重労働だったよ。
「今日はここに泊まるとしようか」
オレはどこからでもホームに入れるから場所を選ばないが、二人は場所を選ぶ。ここなら寒さを防げる家がある。暖炉があったので温かく眠れるだろうよ。
工房の台所を使ってすき焼きを作ることにした。
「たくさん食べろよ」
報告することも少なかったので、久しぶりに二人と夕飯を食うことにした。
「これ好き!」
牛肉を食べて喜ぶマルゼ。いい笑顔だ。
「デザートもあるんだからほどほどにな」
がんばってくれているのだから一緒にいるときは美味いものをたくさん食わしてやろう。また明日がんばれるように、な。
育ち盛りか、二人はすべて平らげ、デザートのアイスまで完食してしまった。
「休んでろ。風呂の用意してくるから」
工房は壁に囲まれているので風呂は外でいいだろう。薪もたくさんあるの焚き火で囲めば寒くもなかろう。
「沸いたぞ。どっちから入る?」
「あたしはあとでいい。まだ動けない」
まあ、あれだけ食えば早々に動けるわけもないか。
「マルゼ、一緒に入るか?」
「うん! 入る!」
オレは動けないほど食ってないし、外で風呂に入るのも乙なもんだろう。あ、湯上がりによく冷えたビールを用意しておかないとな。
ヒートソードで沸かした風呂にマルゼと入った。
「マルゼ、筋肉がついてきたな」
初めて会った頃は細かったのに、今はいい感じに筋肉がついている。背も伸びたんじゃないか?
「毎日いっぱい食べれるからね」
「そうか。いっぱい食べていっぱい動けよ」
温まったら湯船から出てマルゼの頭を洗ってやった。
子供が産まれたらこうして頭を洗ったりしてやるのかな? なんか想像もつかんな。産まれたらどんな気持ちになるんだろうな?
背中を流し合い、また浸かってさっぱりさせた。
「くぅー! 風呂上がりのビールは美味いぜ!」
「コーヒー牛乳最高!」
二人で並んでビールとコーヒー牛乳を飲み干した。
「マルゼ。マリルを呼んできてくれ。沸き直すから」
「わかった」
栓を抜いてお湯を流し、軽く掃除して魔法で水を集めて湯船をいっぱいにした。
「魔法の力も成長したな」
湯船二杯分の水を集めても魔力が減った感じはしない。なんか成長する場面なんてあったっけか?
「おじちゃん」
「お、きたな。お湯の温度は任せるよ」
ヒートソードを渡し、家に戻った。
「おじちゃん、アイス食べていい?」
「食べすぎるなよ」
オレもビールを飲むので強いことは言えない。男同士はダメだな。
「うん!」
請負員カードでアイスを買い、美味しいに食べた。
一時間くらいしてマリルも上がってきて、流れるように請負員カードでアイスを買った。
「明日、オレは新しくできた巨人の村に向かうな」
「おれもいきたい! ねーちゃん、いいでしょう?」
「あたしはいいけど、おじちゃん、いってもいいの?」
「いきたいってんなら構わないが、ゴブリンはいないぞ。森の中にある村だし、楽しいことはないぞ」
オレも巨人の監視と観察をしているだけにすぎない。最前線にいたほうが稼げると思うんだがな。
「構わない。たまには違うものを狩らないと腕が鈍るし」
この二人も天才よりのスーパーガールとスーパーボーイ。なにが鈍るというのかわからんが、凡人にはわからない感覚があるのだろうよ。
「そうか。なら、一緒にいくか」
ルースミルガン改は二人乗りだが、重量を考えたら五百キロくらいまで問題ない。魔力消費は多くなるがな。
「うん! 一緒にいく!」
「じゅあ、今日は寝るか。オレはホームでミーティングをしてくるよ。家の戸締まりをしておいてくれ」
二人に任せてホームに入り、起きていたミリエルにランティアックの状況と二人をこちらに移動させることを伝えた。
「わかりました。わたしたちは拠点造りを進めますね」
最終決戦はミルズガンと決めて動いている。今はその拠点を築いているのだ。
「──あ、タカト。ミリエル用のルースミルガン改が完成したよ。どうする?」
なかなか入ってこなかった雷牙が入ってきた。
「もうできたのか。じゃあ、オレのルースミルガン改を出すから入れてくれ」
「了解」
ルースミルガン改に乗り込んで外に出し、また入ると、スカイブルーのルースミルガン改が入っていた。
「これ、四人用か?」
少し大きいなと思ったら四人乗り用になっていた。
「はい。ルー、メー、ライカを乗せたいので四人乗り用にしてもらいました」
まあ、ミリエル以外は体格が小さい。長距離移動でなければ問題ない広さか。荷物はホームに入れたりアイテムバッグに入れたらいいんだからな。
「オレも次は四人乗りにしてもらうか」
その前にガレージをさらに広くする必要があるか。まったく、報酬がいくらあっても足りないよ。
「じゃあ、オレは外で寝るから。また朝になったら入るから」
「はい、お休みなさい」
「お休み~」
二人に見送られて外に出た。
「あ、RMAXを入れるの忘れてた」
回収したものを手前に置いたからRMAXを入れられないや。まあ、自治領区まで走ってもらい、ガレージが空いたら入れるとするか。
家に入り、余市十年を少し飲んでから眠りについた。
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