第881話 (*>∇<)ノ *113000匹突破*
──ピローン!
ん? 久しぶりに鳴ったな(ハナホジ)。
──十一万三千匹突破でーす! うむ。さすがにその地域のゴブリンは減りましたね。
そもそも十一万匹もいる時点で生態系が壊れてんだろうが。人類、滅ぼす気かよ?
──まあ、タカトさんがいったことがある地域にはあと五万匹はいるんですが、さすがに散り散りなってしまいましたね。請負員にがんばっていただきましょう。
まだ五万匹もいんのかい。ほんと、ネズミかゴキブリみたいな繁殖力だな。
──王都方面はマルデガルさんを向かわせましたから孝人さんたちは都市国家方面か、海の向こうに進むとよろしいですよ。一児のパパとなるんですからしっかり稼いでください。では、がんばってくださいね~!
──(*>∇<)ノ!
………………。
…………。
……。
はぁ? え? 一児のパパ? ど、どういうことだってばよ?
いや、落ち着けオレ。ウイスキーでも飲め。
スキットルには気付け薬として入れている安いウイスキーを入れてある。これがよく効くんだ~! ブッバッ!
「タカト、どうした!?」
咳き込むオレの背中を擦ってくれるルジューヌさんとタオルを渡してくれるカインゼルさん。ちなみに今は皆で昼飯を食っていました。
咳がなんとか落ち着いてくれ、水をもらって一気に飲み干した。
「……め、女神からアナウンスがありました……」
とりあえず女神からアナウンスを思い出して皆に語った。
「そうか。それはめでたいじゃないか」
いや、そうめでたいことじゃない。これはかなり不味いことだ。
オレだって三十一歳だ。知識もあれば経験もある。やったらできることくらいわかっている。いや、子供作った経験はないけど。
だから、それだけは避けていたつもりだ。こんな状況で子供を作るなど負けルートに自ら進むようなもの。これまでの駆除員が破滅していたルートなんだからな。
なのに、子供ができてしまっただと? もっとも恐れていたことをしてしまうとかオレはアホか! わかっていたことだろうが!
「子供ができたことが嫌なのか?」
「……嫌、だったのでしょうね。これまでの駆除員が道半ばで死んだのは家庭を持って守りに入ったのですからね……」
守りに入ることは悪くはない。オレだって根は保守的な人間だからな。だが、守りに入ってはダメな状況があることも知っている。攻めるときに攻めないと、後手後手になって防戦一方にになって負けるしかなくなるのだ。
「駆除員は家庭を持つべきじゃないんです」
最悪、持っていいのは家族まで。協力して生き残る集団であることだ。
「駆除員にまっとうな家庭を持つことは最初から許されないんですよ」
正確に言うなら両立ができないってことだ。
「そんなことはないだろう。駆除員の子孫は残っているだし」
「女神からしたらどちらでもいいんですよ。駆除員がゴブリンを根絶やしにするもよし。子孫に異世界人の血が混ざるもよし。失敗したらまた駆除員を送り込めばいいだけなんですから」
あの女神と言う名の悪魔は知的生命体が一万年生存できたらオッケー。手段などどうでもよく、駆除員など使い捨ての駒でしかないのだ。
「だからと言って今さらシエイラを捨てて、子供を見殺しにはできんだろう」
そこが一番憎らしいところだ。オレから選択肢を奪ってきてんだからな。
「──あ!」
重大なことに気がつき、ルースブラックに駆け出した。
「レンカ、ルルカ、こい!」
「わしがいく! アルズライズはここを頼む!」
カインゼルさんの声がしたが、気にしている場合ではない。一刻も早くシエイラのところにいかねばならんのだ。
すぐに飛び立ち、コラウスへと向かった。
最大にしても三百キロも出ないのが苛立つ。もっと出るように造れよな!
「マスター。マナック補給が追いつきません」
「クソ!」
ルースカルガンは最大速にすると魔力消費が激しくなる。そう長距離を飛ぶ仕様ではないからマナックも十個しか入らない。長距離を飛ぶならマナックを小まめに補給しないとならないのだ。
仕方がなく二百キロ以下にして、コラウスまでなんとか飛べた。
館前に降ろし、飛び出すように出て館に入った。
「シエイラはどこだ!」
事務所内に向かって叫んだ。
「お城よ」
帰っていたルシフェルさんが教えてくれた。
よ、よかった。一先ずは安心だ。と、力が抜けて崩れ落ちてしまった。
「タカト!?」
心配して皆が集まってきて、強制的に椅子に座らされた。
「はい。そん飲んで落ち着きなさい。安全だと理解したのでしょう」
ルシフェルさんからワインを受け取り、一気に飲み干した。
「落ち着いたのなら話して」
「シエイラが妊娠したようだ」
「あー。やっぱり。なんかふくよかになっているな~とは思ったら妊娠してたからなのね」
わかっていたのかい! オレはまったく気がつかなかったよ。
シエイラは昨日の夜もホームに入っていた。なら、間に合ったってことだ。
「誰か、シエイラを迎えにいってくれ。それか領主代理にお願いしてシエイラの体を診てもらってくれ」
「わたしがいきます。お城にはいったことあるので」
「わしが送ろう。タカトを見ててくれ。こんな精神状態で一人にさせるな。タカト、お前はここから動くな」
そう言われ、周りを職員に固められてしまった。
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