第820話 巣 *104000匹突破*
「やっぱり巣があるみたいだな」
朝になってロスキートの死体の片付けを再開すると、ロスキートの群れがまた現れた。
「ラダリオン! 一旦ホームに入るぞ!」
かなりの数がいる。5.56㎜弾じゃただ弾を無駄にするだけだ。H&KーMG5を使うことにした。こいつもたまには使ってやらんとな。
7.62㎜弾を使う機関銃で、百発しか持てないが、ラダリオンはエルガゴラさんの魔法が施されたAAー12を使う。オレは補佐に回るとしよう。
ホームに入り、用意を整えた。
「ラダリオン。かなりの数がいる。間に合わないときはホームに入れな。オレが出るから」
「わかった」
ドラムマガジンなら二百発は撃てる。間に合わないってことはないだろうが、間に合わないときはオレが出ることにした。
AAー12を構えたラダリオンが外に出た。
窓から覗くと、うじゃうじゃといるロスキートを撃ち殺していった。
鳥撃ち用の弾でも五ミリくらいの粒になるとロスキートにも効果はあるようで、部位を吹き飛ばしているよ。
「ワンマンアーミーだよな、ラダリオンは」
だからこそここぞってときに頼りになるんだよな。
オレも相棒と思われるよう、ラダリオンがホームに入ったらタッチして外に出た。
ほとんどラダリオンが倒してくれたようで、文字どおり虫の息状態。やはり、虫は生命力が高い生き物だよ。
止めを刺しに出てきた感じだが、確実に殺さないと後ろからグサーとされかねない。微かに動いているものには近づかないよう撃っていった。
百発なんてすぐなくなるのでその度にホームに入ってマガジンの交換とバレルの交換を行った。
──ピローン!
なんだよ、この忙しいときに。十万四千匹突破だろう。了解了解。
──あん! わたしの出番を取らないで! ハイ! 十万四千匹突破だよ~! イェーイ! たぶん、これで打ち止めかな? ゴブリンがバラけちゃいました。多くても百単位の群れになりそうです。
それはなにより。バラけてくれたほうが争奪戦にならなくてよかったよ。自己主張の強いヤツらばかりだからな。
──外に出た地点から西に約六百メートルに女王がいます。護衛は十メートルサイズのローダーが三十匹くらい。エサとなった魔物の魔石があるから倒して回収するといいですよ。
やっぱり女王がいたか。てか、ローダー、まだ三十匹もいんのかい。六百メートルなんてすぐそこじゃねーか。危なかったんじゃないか?
「エレルダスさんも連れてくるか。三人じゃ厳しそうだ」
「なにかあった?」
「女神からのアナウンスだ。出たところから西に六百メートル。そこに女王がいるそうだ。ローダー三十匹が護衛しているようだ。オレたちじゃ厳しいからエレルダスに応援を頼むとしよう」
エレルダスさんも魔力量は凄いものがある。機動歩兵に乗っても一時間は余裕で動かせた。榴弾も一回くらいなら自力で補充できた。EARも両手に持てば充分サポートしてくれるだろうよ。
「オレがブラックリンでエレルダスさんを呼んでくる。ラダリオンは魔石を回収しててくれ。襲ってきたらすぐにホームに逃げ込めな」
「わかった」
ってことでブラックリンをガレージから出してきて乗ったまま外に出た。
すぐに飛び立ち、中継地へ。ナンバーなしのルースカルガンがあったから何事かと思ったら、アリサたちマイセンズ系のエルフが団体さんできていた。
「どうかしたのか?」
コラウスでビジャーやゴブリン駆除をやるはずだったのに。
「わたしが呼んだのよ。土魔法を使える者が必要だったから」
あーまあ、マイセンズ系のエルフは土魔法を使える者が多い。道も簡単に作ってしまうほどに。開拓にはいて欲しい人材だ。
「そうですか。それちょうどよかった。ロスキートの巣を壊滅させたいんで手伝ってくれ」
ダメ女神からのアナウンスをエレルダスさんやアリサたちに説明した。
「わかりました。機動歩兵ならわたしでも戦えそうですしね」
「わたしたちも協力させてもらいます。ただ、武器は持ってこなかったので貸してもらえると助かります」
EARはたくさん保管してあるので、やってきた十五人に支給することにした。小型魔力炉とプランデットがあれば魔力を充填してくれる。さすがに無限に撃てるってことにはならないが、ルンもたくさんある。数もいるんだから問題ないだろうさ。
「巣にはオレとラダリオンで突っ込む。エレルダスさんやアリサたちは巣の周辺にいるロスキートを倒してくれ」
「二人で大丈夫なんですか?」
「オレも巨人になって突っ込む。下にいられると困るからな、離れててくれ」
草木が覆い茂っている。下なんて気にしてらんないよ。
「ここから約一キロくらいだが、水と食料は持っていけよ」
万が一の備えはしておかないとな。
リュックサックは持ってきたようなので、水と食料も支給しておいた。
「じゃあ、いくぞ」
巣の駆除は今日中に終わらせる。きたばっかりで申し訳ないが、アリサたちにはがんばってもらうとしよう。
オレが先頭となり、ラダリオンがいる場所に向かった。
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