第17章 下

第817話 中継地 *100000匹突破*

 一ノ瀬建設、今日も元気に就業です!


 とばかりに中継地建設に勤しんでいた。


 中継地にはオレだけなので一人親方? 的な感じで、のんびりやれているよ。一人仕事もいいものだ。


「ビールを飲みながら油圧ショベルを動かしても怒られることもないぜ!」


 ここは異世界。細かいルールなどナッシング! 楽しくて仕方がないぜ!


 ──ピローン!


 お、もうかい。ビシャたちは快進撃してんね~。


 ──イェーイ! 十万匹突破だぜい! 駆除員投入で二十八人目だ! 


 そんなにいんのかい、十万匹のゴブリンを駆除したの。オレは請負員にやらせてんのに、どうやったら一人で十万匹も駆除したんだよ? チートか?


 ──十万匹を突破したのは千年振りかしら? 昔過ぎて思い出せないですよ~。


 いや、覚えててやれよ! お前の尻拭いやってんだからよ! この世界に散った駆除員が哀れすぎるわ!


 ──とにかく、十万匹はおめでたいこと。約束とおり、今から二十四時間だけセフティープライムデーを行いまーす! 自分のご褒美に、これからのために、好きなだけ買ってくださいな。


 好きなだけって言われても予算は決まってんだよ。ったくよ。


 油圧ショベルのエンジンを切り、残ったビールを飲み干してからホームに入った。


 シエイラのシャワーを借りて汗を流し、モンキーショルダーのロックを作ってタブレットをつかんだ。


 報酬額は三千二百万円か。四千万円はあったのに、必要なものを買うとあっと言う間に減ってしまうぜ。


 まあ、必要だから文句はないが、金額を決めて買わんといかんだろうな。


「今度はヤマハのウルヴァリンRMAX1000を二台買うか」


 道がよければハイラックスを買いたいところだが、まだまだ道はよくない。オフロードを走れるものじゃないと厳しいのだ。


 弾薬はまだあるので416DとSCARーLを五丁ずつ買っておくか。あと欲しいものは……余市十二年を十本くらい買っておくか。あ、ミサロに怒られそうだからガレージの奥に隠しておこうっと。


 オレの欲しいものはこのくらいか。あとは、各自に任せるとしよう。


「──あ、タカト。セフティープライムデーは始まった?」


 RMAXを弄っていると、ミサロが入ってきた。


「ああ、始まったよ。一時間くらいしか過ぎてないからゆっくり選ぶといいさ」


「トラクター、買っていいかしら? ペンパールのほうでも畑を作りたいから」


「構わないよ。畑が増えるのは大歓迎だからな。オフシールってまだあったっけ?」


 ガチャは完全に任せてある。もうなにが出ているかもわからんのよね。管理も任せているからさ。


「七十、五十、三十とあるわよ。いつものところに入れてあるわ」


 いつもところを見ると、かなりの枚数があった。結構当ててたんだな。


「回復薬が不足している感じかしら? 回復薬大は一瓶、回復薬小は半分ってところね」


 オレら以外に使っているからな、消費も早いんだろうよ。


「まあ、そのうち当たるだろう。あと六千匹もいるんだしな」


 当たればそれでよし。当たらなくてもそれもよし、だ。


「必要なら必要なだけ買っていいからな。ゴブリンはまだまだいるんだから」


 あのダメ女神のことだ、さらなるゴブリンがいる場所に導くだろう。十万匹以上駆除しているヤツが二十七人もいるんだしな。


 ロックを一杯(ジョッキで飲んでるけど)だけに済ませ、巨人になれる指輪を嵌めた。酔っ払っていたらまともに油圧ショベルを動かせないからな。


 外に出て中継地建設を再開させた。


 十万千、十万二千とダメ女神のアナウンスが流れ、しばらくないなと思ったらルースカルガン一号艇がやってきた。


「どうかしましたか?」


 降りてきたのはエレルダスさんだった。


「様子見です。コラウスにミジャーが本格的に現れて戻ることもできませんから」


「とうとうきましたか」


「はい。戻りますか?」


「いえ、カインゼルさんにお任せです。そう深刻でもないですしね」


 被害は出るだろうが、飢饉になるような被害にはならないだろう。カインゼルさんや領主代理にお任せだ。


「エレルダスさんがきたってことは小型魔力炉を運んできてくれたんですか?」


 様子見と言っているが、ただきたわけではあるまい。


「ふふ。勘がいいですね。はい。マイスンズで小型魔力炉を発見しました。ガーゲーで起動できたので、ここでもルースカルガンを充填できますよ」


「それは助かります。これで都市国家から食糧を運べますよ」


 報告によれば麦畑が広がっていたとのこと。都市国家が傾かないていどに買わせてもらうとしよう。


「では、設置しますね」


 マーリャさんとは別の技師が一号艇から小型魔力炉を出した。


 コンテナに収用されているようで、フォークリフトで降ろせる重さなんだ。


 ちょっと見ていたいが、中継地の建設はまだ三割も進んでない。時間はあるとは言え、さっさと建設してゆっくり過ごさせてもらうとしよう。いや、フラグを立てたわけじゃないからね。


 水を飲んで気持ちを切り替え、油圧ショベルに乗り込んだ。


「一ノ瀬建設、がんばりますか!」

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