第806話 前線基地
続々と都市国家に向かうメンバーが集まり出した。
と言っても人が豊富なわけじゃない。いつものメンバーが集まった感じだね。
集まったメンバーでミーティングを行い、まずは中継地を築くメンバーの選出をした。
「中継地を築くのはアルズライズチームでお願いね」
アルズライズチームにはヤカルスクさんやミシニー、ロイズたち五人に任せる。
「わかった」
「残りは都市国家前まで飛んで前線基地を築くよ」
ここの設備が回復しつつあるのでマナックを生産できている。切り替え切り替えしたら問題なく飛べるでしょう。
都市国家の位置は人工衛星ってので確認できたので、海岸線を飛ぶことはせず、一直線に飛ぶことにした。
用意が整ったら三号艇で出発。人工衛星の案内で一気に飛び、都市国家まで約五キロの地点で拓けた場所に降下させた。
「とーちゃん、たくさん情報を集めてきてね。ゴブリンの一人占めはダメだからね」
まずは周辺の情報を集めてもらうためにオートマップを持ってもらって探索してもらうのだ。
「わかっているよ。狩りは平等に、だろう」
ゴブリンは約一万匹。以前なら多いと感じたけど、人数が増えると一万匹でも少なく思えるんだから笑っちゃうよね。でも、報酬の奪い合いで争いが生まれるのは困る。ちゃんと駆除するときを決めて、皆に平等に回るようにすることにしたのだ。
「それを忘れないでよ。他は前線基地作りだよ」
ここは魔物が住む山の中。砦を作る必要があるのだ。
「ロッガおじちゃん、建造の指揮はお願いね」
「おう、任せろ」
あたしはモニスを連れてこなくちゃならないのよ。マナック補充員としてメビを連れ、秘密基地に戻った。
ラダリオンねーちゃんから借りた腕輪で小さくなってもらい、バッテリーを積んでまた前線基地に向かった。
着いたらモニスにも前線基地作りを手伝ってもらい、どんどんと進めていった。
五日くらいで柵ができ、整地も進んで小屋も何軒もできたけど、やっぱり素人が作ったもの。やっぱりぱっとしないわね。職人も連れてきたほうがいいかな?
と思っても人が足りないのだからあたしらでやるしかなかった。
「ねーちゃん。ルースカルガンがきたよ」
メビに言われて空を見ると、黒く染めたルースカルガンが着陸しようとしていた。
「ブラック? タカトかな?」
タカトって黒が好きっぽいんだよね。
発着場に着陸し、中からタカトとマルグ、そして、ロンダリオたちが降りてきた。
「ビシャ、ご苦労さん。援軍だ。一緒に使ってくれ」
「ビシャ、よろしく頼むな」
銀印の冒険者を使えとか乱暴なんだから。まあ、金印のアルズライズが補佐として立っている時点で今さらなんだけどさ。
「タカトは残らないの?」
「オレはミヤマランで人材確保してくるよ。もう人が足りなくてどうにもならんからな」
「職人とか確保できない? 家がぱっとしないんだよね」
「んー。職人は難しいなー。どこも足りてないからな。まあ、都市国家に入れるまで我慢してくれ。支部を開くにも街の近くじゃないと運営できないからな」
そっかー。それは残念。
「じゃあ、ラダリオンを連れてくるよ。ホームに入れるヤツがいればマシになるだろうからな」
「それは助かる。お風呂に入るのも大変だからさ」
セフティーホーム連動型の水筒を持っているから水に不自由はしないけど、お風呂に入るための水を溜めるのに時間がかかって仕方がない。ラダリオンねーちゃんがいるならホームから大量に水を落とせるからすっごく助かる。
「わかった。ロンダリオさんたち、ビシャを支えてやってください」
「ああ、任せろ」
超一流の人たちばかりで気が引けるけど、タカトも超一流の人たちに支えられている。頼るべきは頼り、やってもらうときは遠慮なくやってもらうとしよう。
タカトがホームに入り、二時間くらいしてラダリオンねーちゃんが現れた。
「ラダリオンねーちゃん、よろしくね」
「うん。わかった。まずなにしたらいい?」
「モニスの家を作ってよ。今、テント暮らしだからさ」
本人は気にしてないようだけど、下着姿のまま歩かれるのは困る。ここには野郎しかいないんだからさ。
「わかった」
「タカト。コラウスからニャーダ族の女衆を呼べないかな? とーちゃんたち、毎日浴びるように飲むから抑えが欲しいんだよね」
止める者がいないから飲むは飲むわ。あたしの言葉なんて聞きやしない。やはり、抑えられる女衆がいないとダメだわ。
とーちゃんたちからのブーイングを黙らせ、タカトに強くお願いした。
「あ、ああ、わかったよ。訊いてみるよ。ダメだったら許してくれよ」
「ダメにならないから大丈夫だよ」
ニャーダ族の女衆なら察してくれるだろう。
「メビ。タカトと一緒にいって説得して」
念のため、メビをいかせるとしよう。タカトだと不安だしね。
「了解。必ず連れてくるよ」
とーちゃんたちのブーイングがうるさいけど、そんなものは無視。女衆がくるまで騒がせておきます。
タカトたちが離陸するのを見送り、前線基地作りに勤しんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます