第624話 二千二百万円!?

 全体の把握をしたらホームに入った。


 ミリエルはまだ入ってないので先に準備をすることにした。


 ガレージからM32グレネードランチャーを出してきて、催涙弾を八十発買った。


 確か、榴弾を入れられるベルトを買ったはず。どこに仕舞ったっけ?


「タカトさん!」


 ガサゴソ探していたらミリエルがホームに入ってきた。


「M32グレネードランチャーに催涙弾を装填してくれ。煙攻めにする」


「わたしが眠らせるのばダメなんですか?」


「そうしたかったんだが、かなり広範囲に散っていてな、まずは外周部のゴブリンを追い立てることにする。ミリエルはイチゴと催涙弾を撃ち込んでくれ。集まったところを爆撃するよ」


 ブラックリンに搭載できる榴弾が結構あるし、マルダート(手榴弾)も溜まってきた。ここで爆撃の訓練でもするとしよう。


「わかりました。サイルス様も請負員が集まったら向かうそうです」


「じゃあ、くる前にオレらで駆除するぞ。中央ルームに男部屋を拡張したいからな」


 数日前に増やした部屋はミリエルの部屋にした。どちらも年頃だし、個人の部屋は必要だからな。


 ミサロはマッサージチェアで寝るから部屋はいらないそうだ。着替えは女子風呂でやるからな。


 準備が整えばミリエルをダストシュート移動させ、入ってきてもらったらイチゴの操縦で出てもらった。


 一分後にオレも出て空に向かった。


「ミリエルとイチゴは後方に催涙弾を放って退路を断ってくれ。オレは右側を攻めるから」


「ラー」


「わかりました」


 ミリエルとイチゴとはそこで別れ、右へ旋回した。


 ゴブリンどもは一キロ四方に広がっており、その中央に首長の気配と、かなり強めの気配が三十匹くらいいた。


「上位種を連れた群れか。ただの群れって感じではないな」


 まあ、こいつらがなんであれ駆除する以外、選択肢はない。ブラックリンを自動操縦に切り替えてM32グレネードランチャーを構え、催涙弾を撃ち込んでやった。


 六発撃ったら催涙弾を取り寄せて再装填。追いやるように撃っていった。


 二十四発も撃つと催涙ガスに追いやられ、少しずつ首長の周りに集まっていった。


「ミリエル。イチゴ。爆撃する。撃ち漏らしたゴブリンは無理に駆除することはない。逃げた先で駆除してくれ」


「わかりました」


「ラー」


 通信を切り、ブラックリンを降下させた。


 首長の周りにはぎゅうぎゅう詰めになるくらい集まっており、そこに向けて榴弾を放ってやった。


 威力はグレネードランチャーの榴弾よりちょっと強いってくらいだが、十二発も撃ち込めば百匹は駆除できるだろう。


 爆発が起こり、予想以上に報酬が入ってきた。


 EARを取り寄せ、上空から銃撃していくと、一部が砦の方向に逃げ出していった。


 あちらはミリエルとイチゴに任せ、EARを撃ち尽くしたらホームに入り、榴弾補充と新しいEARをつかんで外に出た。


「ん? 首長、逃げてないな。どうした?」


 爆撃した中に首長の気配と上位種の気配が固まっていた。


「負傷したって気配でもないな」


 どいつもこいつも怒りに震えているって感じで、気配からはなにも読み取れなかった。


 まあ、ゴブリンどもがどう思おうがオレには関係ない。罪悪感がないからか、ゴブリンに情を持つこともない。泣いて命乞いしようがなんの感情を持たず撃ち殺せる自信があるよ。


 首長に向けて魔弾をすべて撃ち込み、仕上げとばかりにマルダートを投げつけてやった。


「本当に携帯兵器とは思えん威力だよ」


 RPG−7の倍はありそうな威力だ。オレの腕力で投げたら確実に巻き込まれるぞ。


 もう一つ取り寄せ、逃げる上位種の中に投げつけてやる。


「ん? え? はぁ? 二千二百万円!? ど、どういうことよ?」


 見間違いかとプランデットを外して目を擦って再確認。うん。二千二百万円がプラスされていた。


 目が霞んでいるのかとホームに入り、タブレットで確認するが、やっぱり二千二百万円がプラスされていた。


「首長を倒したから百万円はわかる。二百匹倒したから百万円もわかる。だが、二千万円はどこから出てきた? 騎士が二匹でもいたのか?」


 いや、首長以上の気配などなかった。首長より弱い騎士がいるわけがない。


「……え? まさか、女王がいたのか……?」


 騎士でないのならその上の存在。騎士より強くなくても重要な存在と言えば女王しかいない。


「……だからあんなに焦燥感にまみれていたのか……」


 それなら上位種が固まっていた意味も納得できる。女王を守っていたんだ。


「てか、女王がいるなら言っとけよ! 知らずに逃したら酷いことになってただろうが!」


 なぜそういう大事なことを言わねーんだよ! 


「いかん。それなら根絶やしにしないと後々の憂いになる」


 生き残ったのがいずれ脅威の存在になるとかゴメンである。一匹残らず全滅させてやらねば!


 すぐにブラックリンに跨がり外に出た。


「ミリエル! ここにいるゴブリンを根絶やしにする! イチゴもゴブリンを殺せ! 一匹足りとも撃ち漏らすな! この群れだけは絶対に逃してはダメだ!」


 報酬が減ろうが構わない。根絶やし優先だ。


「わかりました!」


「ラー」


 素直に指示に従ってくれるミリエルとイチゴでよかった。


「ゴブリンの気配がわかる能力があったことを今日ほど感謝した日はないぜ!」

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