第14章
第615話 マナック製造機
まさに死屍累々だった。
ピローン! がないところをみると、ミヤマラン側は二千匹。こちら側はダメ女神が言ったように六千匹のようだったか。
「巨人族とニャーダ族、マルデガルさんがいたとは言え、かなり苦戦したようだな」
ミリエルを投入してよかった。そうでなければ崩れていたかもしれんな。
「ラダリオン。モニスたちに水を渡してやってくれ」
さすがの巨人も息を切らして木に寄りかかっているよ。ご苦労様。
「わかった」
ニャーダ族は離れているので復活するまでマナイーターを抜いてゴブリンに突き刺した。
「やけに切れ味がいいな」
まるで豆腐に刺したかのようにすんなりとゴブリンの頭に突き刺さったが、吸っているのかどうなのかさっぱりわからんぞ。
さっぱりわからないのでプランデットをかけてマナセンサーに切り替えた。
「おー。反応がなくなっているよ」
スゲーな、これ。とんでもない吸引(?)力だぞ。
さらに突き刺していき、なんとなくマナイーターの凄さがわかってきた。
「これ、マジヤベーわ」
サッと首を斬っただけですべての魔力を吸引している。いや、触れただけでも魔力を吸っているよ。だから鞘つきだったのか。
「とんでもねーもんを混ぜてくれたな、あのダメ女神は」
これはちょっとした伝説の剣だよ! 魔力を持っているヤツに絶大な効果を見せるじゃねーか。山崎さんに渡してやれよ!
「いや、これはマルデガルさんに渡したほうがいいのか?」
あの人、一人で千匹以上駆除している。なら、マルデガルさんに持たせたほうがゴブリンを駆除できて魔力が集められるじゃないか?
「てか、疲れた」
そこそこ重量があるものを百回も振れば疲れて当たり前。もうヤダ……。
泣き言が漏れそうになるが、バデット(ゾンビ)化されても困る。休み休みやりながら一時間ほど続けると、マナイーターから「ピーン」って音が鳴った。な、なんだ!?
「魔力が溜まったのか?」
柄の下を見ると、なんか外せそうになっていたので外してみた。
「……え? マナック……?」
柄の蓋を外すと、某クリスタル的なマナックが出てきた。マジか?
「ま、まあ、ダメ女神のことだし、深く考えるのは止めておこう」
放棄だ、放棄。ダメ女神の考えなんて考えたって答えが出るわけでもない。出たら出たで憤死する答えだ。マナック製造機だと納得しておけ、だ。
「大体、ゴブリン三百匹くらいで満杯になるのか」
数値化してないからわからんが、マナック一個分の活動時間からしてそう多くはないな。イチゴ、なにもしなくても一日三つはマナックを必要とするし。
「グロゴールならすぐ満杯になりそうだな」
つまり、怪獣に使うものじゃないってことだ。いや、もう怪獣なんて相手したくねーけどよ!
「タカト!」
疲れて休んでいると、メビたちがやってきた。
「ご苦労さん。たくさん稼げたか?」
「うん。三百匹はいけたと思う」
六千を十数人で割ると大した数にならんか。いや、一人三百匹でもとんでもない数か。なんかもう頭がバグってんな。
「そうか。疲れたなら集落に戻っていいぞ。片付けは明日にしよう」
「タカトは戻らないの?」
「オレは動いてなかったからな、暗くなるまでゴブリンから魔力を吸うよ」
ガチャでマナイーターを当てたことや魔力を吸っていることを教えた。
「あたしも手伝うよ。あたしもそんなに動かなかったし」
メビはいい子だな。素直に任せるオレは大人として失格だがな。
とは言え、六千匹もいるのだからメビが代わってくれたからってすべてをやろうとしたら今日中に終わるわけもない。ミリエルと合流して、体格のよいゴブリンの胸を裂き、爪先くらいの魔石を取り出していった。
暗くなったら集落に戻り、ニャーダ族に魔石を取り出す依頼を出した。
「ラダリオン。悪いが、集落に残ってくれ。ゴブリンに追いやられた魔物が集まってくるかもしれないからな」
道中、魔物が現れないわけだ。こんなにゴブリンがいたら他の魔物は生き難いだろうよ。洞窟を棲み家にしているっぽいしな。
「わかった」
「夕飯は運んでくるから野営の準備をしててくれ。マルデガルさん。替えの下着や服、ありますか? ないのなら持ってきますよ」
さすがにゴブリン無双したから全身血まみれだ。病気を発症する前に回復薬を飲ませておこう。マルデガルさんにはまだまだ活躍して欲しいからな。
「ああ、頼む。途中から気にするのも面倒になって下着までべっちゃりだよ」
ってことで、まずはマルデガルさんの下着や服を持ってきた。
「下着は古代エルフのものなので十五日で消えることはありませんが、服は十五日で消えるかもしれませんので注意してくださいね」
別の駆除員に適用するか調べてない。十五日後に服が消えましたは洒落にならんからな。
「あいよ。あと、武器も頼めるか? さすがに刃こぼれしすぎて使いものにならなくなった」
まあ、千匹も斬って使える剣があるなら見てみたいものだな。
「なら、これを使ってください」
ヒートソードとマチェットを取り寄せ、使い方を教えて渡した。
「神世の武器か。畏れ多いな」
「よく当たるものだから気にしなくていいですよ」
もう何本当たったかもわからんし、誰に渡したかも忘れたわ。
「今日はゆっくり休んで明日は魔石の取り出しと片付けをお願いします」
「了解。じゃあ──」
マルデガルさんがセフティーホームに入ったので、オレとミリエルもホームに入った。ミヤマランのことも聞かなくちゃならんからな。
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