第613話 ピローン連続 *64000匹突破*
タブレットをつかみ、報酬を見ると、バグったかのように金額が上昇していた。
──ピローン! 六万一千匹突破~! まだまだ増えるよ! がんばれ~!
増えるよ! じゃ、ねーわ! 前のときに言えよ! 本格的な用意してねーよ!
いや、用意はしているが、籠城したときの対応しか想定してねーよ!
EARを二丁とルン(バッテリー)を作業鞄に入れてメビのところへ持っていった。
「メビ。全力で駆除しろ。まだまだ増えるようだ」
「了ー解。任せて」
EARをつかみ、マルチシールドの間から突き出して連射した。
オレはウォータージェットで撃ち殺し、視界を確保するために血を吸引。そして、ブラッディヨーヨーでさらにゴブリンどもを斬り裂いてやった。
「一向に減らんな」
──ピローン!
もうかよ! まだ一時間も過ぎてねーぞ!
──六万二千匹突破だぜ! ミリエルがセフティーホームに入ったよ。
すぐにホームに入ると、本当にミリエルがいた。
「ミリエル、緊急事態だ。ラダリオンが入ってきたらダストシュート移動してくれ。ゴブリンが溢れた。四千匹は突破している」
「わかりました。二人に指示を出したらそちらにダストシュート移動します」
「助かる。ミリエルの魔法がないと覆せない状況になっているからな」
さすがのラダリオンも数には勝てない。勝てるのはミリエルの眠り魔法くらいだ。
「任せてください。では──」
すぐに外に出ていき、オレもアサルトライフルのマガジンを持って外に出た。
EARは最大四百発撃てるが、撃ち尽くしたら再度魔力を充填するまで五分はかかる欠点があるのだ。
まあ、代えを用意すればいいだけなんだが、あまり使いすぎると山崎さんに負担をかけてしまう。あちらも魔王軍と戦っているんだからほどほどにしておかなければならんだろう。イチゴやマンダリン用のマナックも作ってもらってんだからよ。
「メビ。416は大丈夫か?」
もう五百発は撃っているはずだ。
「もうダメっぽい。バレルの熱が冷めないよ」
ったく、アサルトライフルってのは連射に弱い武器だよ。
バレル交換という知恵を身につけたから丸々交換しなくてよくなったが、それでも寿命は短い。メビの416は廃棄だろうよ。
「オレのX95を使え」
サプレッサーやサイトをつけてないもので、十七万円のもの。この数なら使い潰してもマイナスにはならんだろうさ。
……マーダたちやモニスたちが銃を使ってないことが救いだな……。
マルデガルさんもかなりの数を駆除しているだろうが、どんだけの数を駆除したらレベルアップするんだろうか? 十万匹も倒したら神にでもなるんじゃねーの?
いや、常にチート状態の勇者ですら死んでしまう世界。ダメ女神仕様の世界のダメさがよくわかるぜ。
「ん? ミリエルが出たか」
ゴブリンの気配がごっそり消えた空間ができた。
「相変わらずエゲつない魔法だ」
てか、完全に即死魔法だな。百五十万円くらい一気にプラスされたぞ。
さすがに皆も疲れてきたのか、報酬の入り方がゆっくりになってきた。まあ、それでもアホみたいに報酬が上がっていってるけどな。
──ピローン! 六万三千匹突破! 残り半分だよ!
ってことは六千匹いたってことかい! ほんと、事前に言っとけや!
──ピローン! 六万四千匹突破だ~! ミヤマラン方面も大群とぶつかったよ~!
なんのゴブリン祭りだよ!
「メビ、ここを頼む。ビシャたちのほうも大群と激突したようだ」
「ねーちゃんたち無事なの?」
「ぶつかったばかりだと思う。弾を補充しないとならないから頼むな」
「マルチシールドを解いて。ゴブリンの山で当たらないから遊撃するよ」
確かに四方をゴブリンの死体で山ができている。ここにいたら死体に埋められてしまいそうだ。
「わかった。EARを使え。残り三千匹だ」
「了ー解!」
マガジンをホームに片付け、新しいEARとルンを二つ渡した。
メビの準備が整えばマルチシールドを両腕に嵌める。
「安全第一、命大事に、不味いと感じたら逃げろよ」
「了ー解。任せて」
マルチシールドを縮め、そして、周りにいるゴブリンを吹き飛ばすように広げた。
「いけ!」
「メビ、いきまーす!」
猛ダッシュで飛び出していくメビ。いや、そんなのどこで覚えた? オレ、口にしたことないよ!
なんて突っ込んでいる場合ではない。ホームに入らねば。
と入ったら雷牙もタイミングよくホームに入ってきた。
「タカト、ゴブリンがたくさん出た!」
「女神から聞いた。オレがホームで援護する。まずはMINIMIを運び出せ。こちらもゴブリンがたくさん出てEARを使っていてそちらに回せないんだ」
ケースに仕舞ったままなので出すのに時間がかかるんだよ。誰も使ってないMINIMIと箱マガジンを持たせた。
「マルチシールドも持っていけ」
雷牙の右腕に装着してやる。
「雷牙。お前は援護に回れ。ホームに入れるのはお前だけなんだからな」
「うん。わかってるよ」
「いい子だ。よし、いけ!」
背中を叩いて活を入れてやった。
「了ー解!」
メビの口癖が移ったのか、笑顔で外に出ていった。
「よし。やるか」
ガレージに向かい、武器を玄関に移動させた。
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