第五幕 サムライガール テイク ザ アイドルステージ!
▼▽▼ ダンジョンアイドル! ▼▽▼
ダンジョンアイドルとは、ダンジョンを活動場所としているアイドルの総称である。
三大企業を母体としたさまざまなアイドル事務所。そこから生まれるダンジョンアイドル達は多種多様だ。
一般的なダンジョンアイドルは、ダンジョン内の比較的安全な場所でステージ映えする場所でコンサートを行う者達だ。上層にある『ミサンダの滝』や『虹ホタルの河原』と言った場所を利用し、そこで配信を行うアイドル達。
あるアイドルは己の戦う姿を配信し、危険がなくなったその場所でコンサートを行うものもいる。戦いと歌唱。それがワンセットになっているのだ。
ダンジョンで得られる素材を用いた衣装を着たり、スキルを演出として使用して見る者を魅了したり。ダンジョンという舞台には様々な可能性がある。それを利用して観客を引きずり込む。それがダンジョンアイドルなのだ。
今では受け入れられているダンジョンアイドル達だが、黎明期の扱いは酷いものだった。
『色物アイドルの末路』
『ダンジョンで一発逆転を狙う落ち目アイドル』
『体を張った営業』
『人気を取るために必死だなwwww』
などである。
メディアに出る事がアイドルの華であり、ダンジョンなどネタに走った博打。そんなイメージだ。アイドルは戦わない。ダンジョンに潜らない。それが常識的だった時代があった。
その評価は地道なダンジョンアイドル達の活動により覆っていく。
元より世間はダンジョンに注目していた。三大企業も――それぞれ思惑は違うが――ダンジョンに未来を見出していた。古い価値観を守るのも文化だが、新たな価値観を受け入れるのも文化。エンターテイメントとして新しいものを好まれるのは自明の理だった。
ダンジョン中層の『ノヨモモモ岩戸』解放配信を機に、ダンジョンアイドルは世間に認められることになる。
歌や踊り。芸事による岩戸の開放。そこに集った数多のダンジョンアイドル達のスキルとパッションでノヨモモモ岩戸は開かれ、その中にあった宝物を得たアイドル事務所はそれを財源として一つの宣誓をする。
「これを機に、年に一度ダンジョンアイドルの祭典を行おう!」
「歌! 踊り! 芸事! それこそ人を幸せにする!」
「素晴らしきかな、エンターテインメント!」
「人を喜ばせることができる祭りを! 笑顔が絶えない未来を!」
ノヨモモモ岩戸を開いた二人のアイドル。その名を冠した祭典。
人々の心を動かす歌唱力。
熱い情熱を表現する舞踏。
そして万難を排する武力。
舞台に立ち、多くの人を魅了する
そして何よりも、アイドルを求める人達を喜ばせるために。多くの人を幸せにするために。
クリムゾン&スノーホワイト。年に一度のダンジョンアイドルの祭典は今年も開催される。アイドルに対する情熱が消えない限り、この採点は永遠に続くと誰もが思っていた。
それが今回で最後になることなど、誰も想像できない。
サムライガール、アトリ。
彼女が参加したことで、クリムゾン&スノーホワイトは終わりを告げる――
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