第13話 図書室
「失礼しま~す」
声を抑えめにして、空太は図書室の扉を開ける。もちろんここにも誰もいない。異界の図書室ではあるが、本はきちんと整理整頓されており、汚れている様子もなかった。
「おかしい、綺麗すぎる」
焔が呟く。確かに異界の空間とはいえ、本は一切汚れていない、むしろ新品であるかのようだった。
「そうだね・・・・・・綺麗すぎるね」
空太も同意する。
「まるで誰かが管理しているかのようだ。しかも定期的に」
焔は本棚に移動すると、本の並びを確認する。シリーズと著者名が綺麗に陳列されていた。
「本当だ。図鑑も年代順になってる」
空太は異界のヒントを探すべく、本棚を調べていた。確かに焔の言う通り綺麗に並べられていた。
「あ~、でも図書室は広いからな~、どこを探せばいいのやら」
さてどこから手をつけたものか。そう空太が思い悩んでいると。
「あったぞ空太。貸出受付カウンターに置いてあった」
「見つけるの上手いな焔」
「なに、ありそうな所を探したらあっただけだ。それより、内容をみてみろ」
焔から紙切れを渡され、書いてある内容を見てみる。
『異界に迷い込んだ人へ』
『図書室に来てみたよ。ここならなにか手掛かりがあると思ってね』
『どうもこの世界はおかしい。本が綺麗に並べられてるし、壊れた所も少ない』
『それに、さっきから誰かにつけられてる? そんな感じがする』
『とにかく、この世界になにかあることは間違いない。気をつけて探索してみようと思う』
『そうだね次は――』
文章はここで途切れていた。
「・・・・・・ここで終わり?」
次に向かうべきヒントが書いてあるかと期待したが、途中で文章が切れていた。
「空太、紙切れをよく見ろ」
空太は紙切れをよく観察する。すると異変に気づく。
「・・・・・・血がついている」
紙切れをよく見ると端の方に赤い血が付着していることに気が付いた。
「それだけじゃない。なにか鋭利な物で切られた跡がある」
確かに、紙切れは今まで見つけたものより破れていた。しかも何かで切られたかのように綺麗に切れていた。
「ここから先は注意して行動した方がいい、何かあるかもしれない」
「そうだね・・・・・・わかった」
「よし、移動するぞ」
焔は図書室の出口に向かって歩き出す。その後を空太はついていくのだった・・・・・・
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