第12話 異界のヒント
『異界に迷い込んだ人へ』
『この紙を見ているということは、貴方も異界に迷い込んでしまったんですね?』
『不気味な所で不安に感じていることでしょう』
『しかし、諦めてはいけません。私も異界に迷い込んだ一人です』
『脱出方法はあるはずです。私もこれから色々探索してみようと思います』
『何か分かったら、紙に書いて、私と同じように異界に迷い込んでしまった人にメッセージを残したいと思います』
『そうですね。まずは職員室に行こうと思います。もしこれを読んでいる人がいたら職員室に向かってみてはいかがでしょうか? ヒントがあるかもしれません。』
『それではそろそろ行動したいと思います。ではまた。』
「俺たちより前に、異界に迷い込んでしまった人がいるのか・・・・・・」
「そのようだな」
空太と焔は異界に迷い込んでしまった人が残したとみられる紙切れを見つけた。そこには職員室に向かうと書かれていた。まずは同じように行動してみた方がいいだろう。
「よし、じゃあ俺たちも職員室に向かうか」
「そうだな、何かヒントがあるかもしれん。行ってみよう」
二人は教室を出て、職員室へと向かって歩き出した。何か脱出のヒントがあると信じて。
「なに? ゾンビが倒されただと?」
「申し訳ございません局長。ゾンビは神宮寺焔によって倒されました」
「馬鹿な。ゾンビの力を2倍に設定したはずだぞ? それが倒されるとはどういうことだ?」
局長はいら立ちを隠せないでいた。確かに、ゾンビの力を2倍に設定したはずだ。何故倒されたのか? 局長は理由を知りたかった。
「神宮寺焔によって倒されたと言ったな? 奴は一般人か?」
「それは・・・・・・分かりかねます。一瞬の出来事でしたので。モニターで見た限りでは一般人です。しかし、彼女は日本刀を所持しています」
「なんだと? エレベーターに乗っていた時には、日本刀など持っていなかったはずだ。なにかあるはず・・・・・・」
「いかがなさいますか、局長?」
「神宮寺焔をマークしろ。モニターからも目を離すな。何かあればすぐに私に報告するように」
「かしこまりました」
職員はパソコンに向き直るとカタカタとパソコンを打つ。
「神宮寺焔・・・・・・貴様は一体何者なんだ?」
モニターに映し出される神宮寺焔を見ながら、局長は呟いたのだった。
「失礼しま~す・・・・・・」
ガラガラと誰もいない職員室の扉を空太は開ける。
「ふむ、誰もいないようだな」
焔は職員室に入ると躊躇なく引き出しを開けて手掛かりがないか調べていた。
「おいおい、躊躇いが無いな焔。プライバシーがあるだろ」
「何を言っている、ここは異界の世界だ。プライバシーなどないだろ?」
「そうだけどさぁ・・・・・・」
そう言いつつも空太もガラガラと引き出しを開けていく。今は手掛かりが欲しい。
「空太、あったぞ」
焔の手には紙切れが握られていた。やはり、二人より先に異界に入り込んだ人からのヒントがあった。
『異界に迷い込んだ人へ』
『おお、どうやら職員室に辿り着いたようだね。ご苦労ご苦労。』
『職員室を調べてみたけど、これと言って手掛かりはなかったかな。残念。』
『でも、マスターキーがあったから、これを使って開かない所を開けて行こうと思う。後の人の為にも色々開けておくね』
『これはちょっと気になった事なんだけど、なんだかずっと誰かに見られてるみたいな感じがするんだよね』
『次は図書室に行こうと思うよ。ではまた。』
「次は図書室か・・・・・・・ところで空太。どう思う?」
「どうって?」
「この一文――誰かに見られている感じというところだ」
「ああ、そこか、確かに気になるよね」
確かに、誰かに見られているというところは空太も気になった。しかし、この異界には空太と焔しかいない。他の人間などいないはずだ。
「まあいい。とにかく次は図書室に向かうぞ」
「分かった」
空太と焔は次のヒントを見つけるために図書室へと向かうのだった。
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