第12話地区大会本番2

どういう事か?団体戦2年生組は次の4射も皆中した。ギャラリーが騒ぎ始めた。

8射皆中は、海陽高校と加治木工業高校の3校しかない。

藤岡の頭の中に、優勝の文字が見えてくる。

後、2射で全てが決まる。

また、待機中1年男子、女子チームは海陽高校と加治木工業高校の出番を観察しにいった。

2年生男子は、さすがに優勝を目前としているので、緊張して弓や弦の手入れをしていた。

藤岡は、他の森田、園山、久保塚、小宮を集め、

「みんな、良くやった。後2射で決まる。今まで通り。自然体で。形にこだわるな。当たればいいだけだ」

みんな、ウンウン首を振った。

そうこうしていると、女子の副キャプテン川原が、

「海陽高校、2射外して、加治木工業、3射外したよっ!キャプテンとみんな!頑張って!いつもは馬鹿みたいな園芸オヤジと変態3人組、そして遊び人のチャラ男だけど、今日は5人ともカッコイイよ!」

と、川原は興奮している。

続けざまに、後輩が声を掛けてくる。


さて、大口高校最終ターン。

1射目は全員当たった。一番矢の藤岡は2射目も中たる。

後は、音で確認した。

 

パンッ!


パンッ!


パンッ!


最後は小宮だ。どうだ?


パンッ!


やった!してやったり!大口高校団体戦優勝!

ギャラリーが拍手する。

5人は輪になって喜んでいる。

しかし、個人戦がまだだ。この5人と他6人の対戦が待っている。

だが、団体戦優勝を決めた5人は個人戦はどうでも良かった。

結局、個人戦の優勝は海陽高校の1年生が獲得した。

18年ぶり3回目の優勝を手にした2年生男子はギャラリーから羨望の眼差しで優勝トロフィーと賞状を渡される姿を眺められていた。

そして、森田は鵜木に呼ばれた。

「先輩、わたしと付き合って下さい!」

森田は動揺した。

すると、久保塚と園山が現れた。

「そこの、盛の付いたメスよ!何故、このクソ漏らしを選ぶ!」

波乱が起きそうだ。

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