第11話地区大会本番その1

地区大会会場に大口高校弓道部部員は到着した。

試合前の「矢渡しの儀式」が、終わると試合開始。

団体戦5人1チームで、1人10射的を狙い的中の数が多いチームが勝ちになる。

しかし、1回4射で、それを2回と2射を1回の合計だから、弓道の試合は5時間ほどかかる。

その時間の合間を見て、森田はクソまみれの制服と下着を持ってコインランドリーに向かい、1時間で戻ってきた。

久保塚や園山は、他校の女子をオペラグラスで覗いていた。

キャプテンの藤岡は、小説を読みながら出番を待った。女子部員はお菓子を食べながら会話し、1年男子はマンガを読んでいた。

弓道部の試合は、大抵こんなもんだ。

森田が帰ってきた。

すると、1年の女子部員の鵜木うのきが、

「先輩、お疲れ様です。良かったらこれ」

と、鵜木は森田にジュースを渡した。

「えっ、いいの?」

「はい」

「ありがとう」

と、森田は缶の甘酒を受け取った。鵜木の実家は酒販売店なのだ。

この、女はかなりスタイルが良い。

水間にはおっぱいの大きさは負けるが、顔は小顔でモデル並みだ。


試合の順番が大口高校の団体戦間もなくだ。

2年男子は射場に立った。

女子部員と1年男子部員は固唾を飲んで見守る。

驚く事に、5人全員が4射皆中であった。ギャラリーがざわめいていた。

女子と後輩たちは拍手した。

驚いたのは、藤岡だった。彼は心中で、これはイケるかもと考えていた。

1年男子と女子は散々だった。

森田がトイレに向かう際、鵜木が森田を追いかけた。

「先輩」

森田は振り向いた。

「な、なんだい?僕はウンコしたいんだけど」

「もし、良かったらでいいんですけど、試合が終わったら、学校の道場でわたしに弓道教えて下さい」

と、鵜木は頬を赤く染めながら言った。

「い、いいよ」

その時だ!

「ちょっと待った〜」

最悪、久保塚と園山だ!

「君は、人前で思いっきり脱糞した男が弓道教えられる訳がないじゃん」

「お嬢さん、今度、松茸狩りに行かない?実はここにも松茸あるんだ」

園山はパンツをずらし、

「鵜木ちゃん、不思議だねぇ〜、イカの臭いがする松茸だよ!」

「お、おい!2人とも何やってんだ!」

森田はこのチャンスを逃したくない。

「う、鵜木さん。こいつら単なるバカだから。気にしないで!」 

「ま、また、今度声掛けます」

鵜木は立ち去った。

「お前に、男は早いんだよ!」

と久保塚は罵声を浴びかせ、

「ていっ!」

と、園山は野良猫を追い払うかのような奇声を上げた。

「お、お前ら、良くも俺のプラハの春を邪魔しやがって!」

森田は怒りでどうしようもない気持ちでいた。

「俺たち3人は、一蓮托生。お前だけが幸せになるのは許されん。それが掟だ!」 

「久保塚君の言う通りだ!」

森田は怒りのあまり、久保塚に金的を食らわし、園山は唇が腫れ上がるほど、殴った。

そして、森田はトイレに行った。

待機場所に戻った、久保塚と園山の姿を見た藤岡は、

「お前ら、どうしたんだ?久保塚は股間を押さえて、園山は鼻血出して」

「ツッパる事が、漢の勲章よ。海陽高校の連中とちょっとな」

「試合中なんだ。問題起こすなよバカどもが!あれっ、森田は?」 

「ウンコしてる」

「アイツ、昨日何食ったんだろ?まっ、いっか」

試合は誰もが予想だにしない展開になる。

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