第10話地区大会中編
森田はトイレで道着に着替えて、掃除用水道で汚したパンツと、ズボンを洗った。
涙眼になりながら。
「気にすんなよ!森田」
久保塚が森田の肩を叩きながら言った。
「久保塚~、お前ってヤツは~」
「く、く、くせぇ~」
森田はそんなこったろうと、一心不乱に洗い続けた。
園山は、マイクロバス内で大演説をしていた。
「森田君は、我々の仲間です。しかしながら高校生が脱糞していいのでょうかぁ~。『クイズ・年の差なんて』ぇ~。皆さん、今日の出来事はお友達、保護者、通りすがりの方々に話すのです。それで皆さんは救われるのです。……うぎゃ~!」
園山の前向きに倒れ込んだ。
背後には、森田が立っていた。
カンチョーで不届き者を成敗したのだ。
「お前ら、よ~く聴け!今、まさに試合に向かっている。場の雰囲気を乱すヤツは必要ねぇ。誰だ?面白半分で場の緊張感を崩すヤツは!」
森田は、力強い語気であった。
「それは、森田先輩だと思います」
反論する者が現れた。
「わたしも」
「僕も」
「俺も」
「やきいも」
森田は、黙り席に着いた。
「おいっ、森田。会場の近くにコインランドリーあるから、洗濯して乾燥しなさい」
と、顧問が森田に千円札を渡した。
「あ、ありがとうございます」
試合時間の1時間前のバス内での森田の地位は、1年生の下まで失墜したが、奇跡が起こる事を誰も知らない。ある、1年生女子部員を除いては……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます