第7話団体戦メンバー
今日は小宮が一番乗り。部室を解錠し、道場のシャッターを上げた。間も無くすると、キャプテンの藤岡が現れ、家庭菜園を見渡し、ウンウンと頷き、部室に入った。
「おっ、小宮。悪いねぇ。オレの仕事なのに」
小宮はにこりとして、
「いいよ、いいよ。たまには、僕もキャプテンを手伝うよ。あっ、今日は地区大会の団体戦のメンバー発表だな」
藤岡はバッグから、麦茶を取り出し1口飲んで、喉を潤すと、
「まだ、決まってないんだよ。あの、バカ3人を入れて勝てるのか不安で、一年の丸山をメンバー入りさせようと考えているんだ」
「丸山ねぇ、アイツは一年の中で飛び抜けて、的中率が高いからな。それでいいんじゃない?」
「うん」
2人は更衣室で着替え、早くも巻き藁を始めた。そして、肩を慣らすと、的を狙う。
パンッ!
パンッ!
矢が的に中る、気持ちのよい音が鳴り響く。
「おっ、お二人ともせいがでますなぁ~」
森田が現れた。
「地区大会が楽しみですな、ねえ、奥さん」
「そうですよ、久保塚さん」
「オラ、団体戦頑張るだ!」
園山はエロ本片手に、更衣室に消えていった。
続々、男女子部員が集まる。
2時間ほど、練習すると顧問の小園が現れた。
全員、顧問の前に正座した。基本的に弓道部は正座なのだ。
「今回の地区大会の予選のメンバーを発表する。団体戦は男女1チーム、個人戦はその団体戦メンバーが兼ねる。キャプテン、発表してくれ」
藤岡は、はいっと、返事して発表した。
「団体戦男子、藤岡、小宮、一年の丸山、あと2人は検討中です。女子は……」
驚いたのは、森田、久保塚、園山だ。
誰かが落ちる。地区大会の醍醐味、女子の着替え直しの様子が見られない!
「き、キャプテン。ここは、二年男子で団体戦を戦いましょうよ!」
森田は堪らずに口にした。
「中らんヤツは必要ない!」
と、藤岡はズバリと切った。
「さっ、練習、練習。」
久保塚は弓と矢を持ち、立ち位置に向かう。
園山は森田を避けて、同じく弓を引き出した。
3人は同じ思いだった。
『誰かが、落ちる!女子のパイオツを見学出来ない弓道部なんて、クソだ!オレがメンバー入りしてヤルッ!』
3人は大会1週間前から、一生懸命、弓を引き始めた。
藤岡はそれを見て、家庭菜園に水撒きに出た。
「ねぇ、キャプテン。アイツら人が変わった様に的に中り始めたぞ!」
「ま、小宮。これが狙いなのさ」
藤岡は笑顔で、水撒きしていた。
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