第6話嫌がらせ
いつもの部室、通称第7サティアンの家庭菜園で藤岡は水を撒いたり、肥料を撒いていた。
「よっ、藤岡のダンナ!」
声をかけたのは久保塚だった。
「何だ、久保塚か~。来月地区大会だから今のうちに、練習しとけよ」
「チッチッチ」
久保塚は人差し指を左右にふった。それは、既に整っていると言う。
そして、育った、ゴーヤやキュウリを見て、
「藤岡~、親に食べさせたいからゴーヤ2本とキュウリ1本もらえないかな~」
藤岡は肥料を撒きながら、
「あっ、いいよ。もう、大きくなりすぎたけど」
「ありがとう」
藤岡はゴーヤとキュウリを久保塚に手渡しした。
女子部員が次々に現れた。
それに続き、森田、園山が現れた。
「キャプテン、また、薬剤散布してるって、サッカー部の奴らが言ってたぜ」
「言いたいヤツには言わせとけ!」
「今日は、オレと園山が女子を指導するから」
「お前ら、弓道何段だっけ?」
と、藤岡が2人に尋ねると、
「ろ、六段」
と、久保塚が呟く。
「アハハハハ。オレは二段だけど、高校生は三段までしか取得出来ないんだ。お前ら、六級だったよな」
「そ、それがど~した!」
「おっ、言ってやれ!園山」
「我らの水間さんの、おっぱい揉んだだろっ!」
藤岡は肥料を片付けながら、
「残念ながら、そんな事はしていない。まだ、早いんだよ!バカものタチよ」
先に久保塚と園山は部室に向かった。
藤岡はたくさん実った夏野菜を顧問の小園のいる、社会科準備室へ届けに行き、お裾分けした。先生は、立派だと、藤岡を褒めた。また、地区の学校、病院、役所の緑のカーテンコンテストに藤岡のつる性野菜の状態を写真に撮り、応募したとのこと。
30分程経つと、藤岡は顧問の小園先生と部室に向かった。
キャー!
助けてー!
ウワァーこっちに来ないでー
女子の悲鳴が聴こえる。
「ほぅら、立派なゴーヤだよ!ぶつぶつは気持ちいいよ~」
「君たち~、逃げないの。おじさんの言う事聞きなさい!」
「ヴィイイイン。自然の恵みのバイブだよ!」
森田、久保塚、園山はゴーヤ、キュウリを持って女子部員を追っかけていた。
部室のドアが開いた。
園山は、
「君たちもどうだい?野生のバイブは……先生」
園山は固まった。
「園山、何してやがる」
「せ、折角、キャプテンが作ったゴーヤなので、女子にあげよ……」
ドゴッ!
グハッ!
小園は園山を殴った。
「園山、セクハラしてたろ?森田、久保塚もこっちこい!」
森田と久保塚は恐る恐る、顧問に近付いた。
「2人とも歯を食いしばれ!」
「せ、先生待って下さい。小宮がこうしないと、モテないからと無理やり……」
「……小宮は今日は、地区大会の下見だ!ここにはおらん」
バッチーン!
あべしっ!
「久保塚も来い!」
バキッ!
ハウッ!
三人は鉄拳制裁を受け、部活時間中、正座して、小園の弓道論を聞き、1年生は陰で笑っていた。
すると、藤岡が女子部員の腕に手を添えて、タメの形を確認し、指導していた。
「あっ、先生!」
「何だ?久保塚」
「キャプテンがセクハラしてます。殴りましょう」
顧問は振り向き、
「あぁ~言うのがキャプテンの仕事だ!この変態部員が!」
ドゴッ!
アイヤッ!
久保塚は要らぬ事を話したので、また、殴られた。
今なら、大問題だが、27年前の高校の先生は平気でダメな生徒を殴っていた。
男子、女子車座になり、オヤツタイム。ジュースやトッポなど食べていた。
これは、新キャプテンの藤岡の考えた休憩タイムだ。
的に
これは、1年、2年生の親睦を深める効果があり、団体戦の試合に影響してくるのだ。
「せ、先生。みんな、部活中にオヤツ食べてます。許しがたい行為ですよ、これは!」
森田はニヤリとした。顧問は、
「お前には、ゴーヤがある。それを食え」
「……はい」
ガリッ!
「……せ、先生食えたもんじゃないです。生のゴーヤは」
「そうだ、園山。キュウリ旨いだろ」
「は、はい」
3人は1時間、正座させられていた。女子部員は3人を軽蔑した目で見ていた。
帰ってきた、小宮は、
「あっ、小園先生」
「どうだったか?」
「はい、10人立ちの弓道場で、広い体育館の隅っこをゲットしましたが、問題が」
「なんだ、小宮?」
「女子部員の更衣室がないんです。当日、道着を着てからバスに乗った方が良さそうです」
「分かった。ご苦労さん」
顧問の小園先生は校舎に戻った。
「聞きました?奥さん」
「えぇ、聞きましたとも園山さん」
「女子更衣室が無いなんて、何てハレンチな」
「そうですよ~、森田さん」
3人のベクトルは、来月の地区大会に定まった。
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