翠玉の森 青い鳥
少女は死んでしまった青い小鳥を
少女は部屋に戻ると、硝子の宝石箱に入った
その夜、久びさに母の夢を見た。若く美しい姿のままで、その肩にはあの小鳥が留まって囀っている。ふたりとも天国で幸せに暮らしているとでもいうのだろうか。少女は目を醒ましてから、都合の良い夢を見てしまったことに
いっそこのブローチも埋めてしまおうか。そんな考えを玩びながら、少女は白いワンピースに着替えたあと、襟許にそのブローチを留めた。少女には豪奢すぎる、矩形にカットされた深い緑の大きな
少女はブローチを着けたまま
母は森を彷徨ったすえ、何日も経ってからに邸に戻ってきた。衰弱していたが睛だけは憑かれたように妙に輝いていて、そのまま恢復することなく静かに逝った。
母は深い緑色のものが好きだった。
少女が
この辺りに棲んでいる野生の鳥たちの啼き声とは違う。紛れもない、昨日葬ったはずの、少女の青い小鳥の声だった。
少女は
ずっと籠のなかに閉じこめられていた小鳥はいま、自由を得たのだ。樹の枝々に留まりながら森の奥へ進んでいく小鳥の青はあざやかで、決して見失ないはしない。少女は
やがて開けた処に出ると、
「お母さま。」
少女は迷わずその冷たい胸に飛びこんだ。そしてかつて母を誘惑したものが何であったのかを理解する。それは失なわれた愛しいもの。真の自由。安らぎ。永遠。それから――
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