第4話 感情の連携
「うう……ぺっ、仕方ねえ。あれやるぞ」
マグリットは体を起こし、再度、赤い光を体に纏う。隆起した体は再び汗が噴き出す。
「貴様はいつも通りで良い。後は私が合わせる……嫌悪の魔法……」
「おらああああああ!!!」
マグリットが雄叫びを上げながら、先ほどと同様に凄まじい速さで加速してくる。
テレサはやれやれ、といった様子で正面に魔法を集めた。
「もう見飽きたよ。次で終わりにしようか」
目の前に
「最高にイラつくぜ!! うらああ!!!」
再び衝突が起こるかと思われたその瞬間。マグリットが驚異的な脚力を駆使したフットワークでテレサの側面に回り込む。
「な!? だが、これでもくらいな!!」
テレサは不意を突かれたものの、素早く銃口を向けようと体を逸らそうとした……!! あ、脚が重い……!!
仮面の下でゲルニカが不適な笑みを浮かべる。
「
く、間に合わ……
「
強烈な一撃が全身を襲い、テレサの体は一瞬にして吹き飛ぶ。地面は衝撃を吸収しきれず、テレサが跳ねる度に抉れていき、受け身を複数回取ったところでようやく止まる。
「はぁ、はぁ、ぺっ……やるじゃねえか」
テレサは煙草と共に口に溜まった血を吐き出し、二人を睨み付ける。
「はっはっは!! これだよこの感触!!
再びマグリットが加速する。今度は腕が重く上がらない……!!
「慈愛の魔法……!
テレサは地面に魔法を撃ち込み、生じた爆発で煙幕を張る。
「くそ……これじゃジリ貧だ。先にあのふざけた仮面野郎をぶっ飛ばす……!!」
テレサは土煙の中を走り、回り込む。視界が途切れたからか、腕の重さもなくなった。いける。嫌悪の付与さえなくなればあんなやつ……そう思った瞬間、側面の煙の流れが変わった。
「
意識の外からの一撃! まともに防ぐ事すら出来ず視界が歪む……!! 煙の中からテレサが勢い良く弾き出され、対角にある森の手前まで叩きつけられる。既に地面は原形を留めておらず、まるでクレーターの様な地形を作り出す。
テレサは予想外の一撃に片腕を負傷し、腕や脚からは血が流れ出す。初めの表情とは打って変わり、苦痛の表情が浮かびあがる。
「残念だったなぁ! 俺様はライオンの獣人。鼻が良いんだよ……!!」
ゲルニカも作戦が上手くいき高揚したのか、声を荒らげる。
「しぶとい方は嫌いでね! 回復する隙など与えない!!」
ゲルニカの手に再び黒い光が集まり始める。
ははは……ありがたいな……テレサは苦笑いを浮かべると、誰にも聞こえない小さな声で呟く。
「ちっ、
追撃の様子を見せる二人に対し、血を滴らせるテレサ。その時。
「楽しみの魔法……」
「
森の中から勢い良く光の矢が放たれると、ゲルニカ目掛けて一直線に飛んでいく……!! しかし、魔法の壁を張る事なく、矢を素手で掴み取られる。
「む……誰だこの勝負に水を差すのは」
不意に飛んでくる矢に落ち着いて対処すると、ゲルニカは森の中に視線を向ける。
「はぁ、はぁ、はぁ、マザー!! 大丈夫!?」
リーネが茂みから飛び出してくる。後ろにはその様子を木の影から見守るソラの姿があった。
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