第51話 天獄級

 一言に「天獄級」と言っても、同じ難易度でいくつかのステージがある。その中には、火のエレメントと突属性に相性がいいステージもあるようだ。

 オレ以外の3人は、オートマッチングにて、すでに天獄級の全ステージを1度はクリアしている。


 これまではキャラの性能面と自分のプレイスキルから遠慮していたが、ホメ子さんの獲得とゲームの経験値によって引け目を感じるところはなくなっていた。



『そっか? シュウはまだ天獄級クリアしてない感じですかぁ?』


『今なら4人でクリアできるんじゃないかな、僕もホメ子さんで挑戦したことはないんだよね?』


『いけるいける! サクッとクリアしちゃおっか!』



 こうして、ついにゲーム内最高難易度のステージの1つに挑戦することになった。開始前に簡単なアドバイスをユージから受ける。


 このステージは今まで経験してきたものと少しおもむきが異なるようだ。出現する敵は、プレイヤーのキャラクターを狙ってくるのではなく、ゲーム内に3か所設置された城門を攻撃してくるようだ。

 いずれか一つでも城門が破壊されると、こちらの生死にかかわらずゲームオーバーとなる。いわゆる「防衛戦」だ。


 逆にこちらが壊滅状態になろうとも、2分間城門を守り切ればステージクリアとなる仕様だ。

 敵はかなりの数が発生するようで、高火力で次々に倒していかないとあっという間に城門は破壊されてしまうらしい。また、ステージの経過時間によってどの城門に敵の攻撃が集中するかが決まっているようである。


 3か所を常に分担する、というよりは状況に応じて敵が集まるところにこちら側の戦力も集中させるのがコツのようだ。


『このステージはキャラの能力ももちろんだけど、プレイヤー間の意思疎通が大事なんだ。そのせいか、オートマッチングではクリアがむずかしくて、やや敬遠されてるステージでもあるよ』


『逆に言うと、私たちみたいにしっかり連携ができればクリアはもうすぐそこってことよ』


『初見のシュウは、私たち3人の命令に服従して下さいねー?』


 アキの憎まれ口が終わったタイミングで、ゲーム画面が切り替わり天獄級のステージが開始された。城門は東西に1つずつ、中央に1つ。初期の配置は中央に4人固まった状態だ。


『序盤はどの門にも均等に少ない数の敵が攻めてくるから、僕が東に向かうね?』


『はいはーい! そしたらシュウのお守りはナツキ姉さんお願いします! 私は西に向かいますねー』


『私とシュウくんが中央ね! 私が最初にスキル使って攻撃するから、それが止まる瞬間に合わせて攻撃をしていってね?』



 3人は慣れた動きで各々の配置に移動していった。最高難易度への初挑戦。果たしてオレはクリアなるのか?

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