第33話 リアル期間限定イベント
2学期は学内の行事が多い。10月の頭に体育祭があり、11月になると文化祭がある。行事の間に挟まるように中間テストがあり、12月は期末テスト、とイベントごとに事欠かない。
『私、高校2年生って人生で一番楽しい時期と思うわ。学生に比べて社会人の毎日ってホント味気ないんだから』
夜にユージ、アキ、ナッキーさんと4人でノワモワの4人協力プレイをしながら世間話をしているとナッキーさんはそう言った。
『おっと……、これから社会人になるみんなにこんな夢も希望もない話しちゃいけないよね? でも、高校生の時間て本当に貴重だと思うから大事にしないとね?』
ナッキーさんの声は女性にしては少しハスキーな声だが、とても聞き取りやすく優しい話し方だった。オレもユージも思わず聞き入ってしまう。
『私はナツキ姉さんとゲームしてるこの時間すっごい楽しいですよ!?』
ナッキーさんの話は主にアキが返事をする。アキはなんというか……、ナッキーさんと「仲が良い」というより「懐いている」に近い気がする。
『アキちゃん、ありがと。 私もみんなと遊んでる時間はすっごく楽しいわよ。けど、ゲームはいつでもできるからさ、今しかできないことを疎かにしないようにね?』
『はーい、ナツキ姉さんに言われたらしっかりしないとよねぇ? 男子2人もさぁ?』
ひと纏めにされたオレとユージは、小さい声で返事をした。苦笑しているユージの表情が浮かぶようで、きっと彼も同じように思っているだろう。
『そういえば、まだ先の話だと思うけどアキちゃんとこの学校の文化祭って部外者も入れるのかな?』
『いけますよぉ。招待状持ってたら入れるんでナツキ姉さん来てくれるなら余裕で配っちゃいます』
ナッキーさんは、早い段階で日付がわかっていれば休みの希望をとれる仕事のようで、文化祭を見にきてくれるようだ。もっとも体育祭が先にあるので、まだ催し物とか全然決まってもいないのだが……。
夜の11時頃、協力してのハウスの素材集めを適当に切り上げて今日のゲームを終えた。4人揃ってのプレイができるようになってから素材関係に困ることが無くなり、オレのハウスは順調に増築・増強されている。
まだまだ他の3人には敵わないものの、極端に見劣りするほどの性能では無くなってきた。
オレはユージの水着ガチャ爆死の話を聞いて、今回のガチャは見送ると心に決めた。次に強力なキャラクターが登場したらなんとしても引き当てて、しっかりと1戦力になりたいと思っている……、できれば無課金で。
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