第25話 破戒級
初級から上級までは難なく進めた。超上級で若干苦戦するものの、それはどうやらオレだけだったようで、ステージの敵に対して完全に「特化型」といえる適性をもつフレイヤを扱うアキとユージにとっては余裕のようだ。
そして、オートマッチングで入るもう1人もほとんどがフレイヤ。彼らの力に助けられて超上級もクリア。残すは、破戒級、地獄級、天獄級の3つになった。
「どのイベントでも大体この破戒級辺りから難易度が跳ね上がるんだよ」
「いやぁ、灰原くんのフレイヤは頼りになるわぁ。4凸でハウスもほぼ天井だもんねぇ」
戦力としては明らかにオレ1人が見劣りしている。だが、プレイ期間による埋められない差(スフィアを使って時間短縮のアイテムを手に入れれば埋めれなくもないが……)だと思ってそこは我慢した。もっとも、真の意味で我慢してくれているのは一緒に戦ってくれているアキとユージなのだろうが……。
ただ、2人ともその場で向かい合って一緒に協力するのは初めてだったようで、とても楽しんでいるようだ。アキは煽りのネタを見つける度にオレに絡んでくるが、それはそれで彼女なりに楽しんでいる……んだと思う。
おかげでこちらは少しずつ煽り耐性が備わってきている。煽りによる状態異常攻撃があっても今ならすべて無効化できそうな気がした。
次に挑んだ破戒級でオレたちは本日初の全滅を喫した。協力バトル中に先に戦闘不能になると、スフィアでのリトライ画面に切り替わる。ステージ序盤で早々に被弾してリタイヤしたオレだが、ユージもアキもリトライの必要はないと言った。
大人しく2人とオートマッチングの人のプレイを見守っていたのだが、ボス戦まで進んだところで全滅してしまった。
「とりあえずシュウはボスのところまでは生き残りたいね……。早い段階で僕か片桐さんと合流して一緒に戦うほうが良さそうだ」
破戒級のステージは、開始時点では4人がそれぞれバラバラのとこからスタートする。今までのステージなら次々と出てくる敵を各個撃破しながら合流していたのだが、今回はその敵の数が尋常ではなかった。
「高火力で即行倒さないと、次の敵が発生して全部後手にまわっちゃうんだよねぇ……。けど、シュウのライディースだと適性の関係でどうしても火力出ないのよ。それならいっそ一旦は敵を無視して私らと合流した方が生存できそうよね?」
この2人ほどゲームの理解が深くないオレは指示に従うことにした。同じステージを再挑戦し、オレはゲームの開始から湧いてくる敵を一旦無視してマップ右にいるユージのフレイヤとの合流を目指す。同様にユージも敵を蹴散らしながら、左側に移動、早い段階で合流に成功した。
襲い来る敵の数も当然2人分になるのだが、向かってくる方向は1つなので高火力の技で巻き込んでいけば一緒に殲滅できる。
ユージとアキのアドバイスのおかげで、なんとか最初のマップを突破、ここを終えるとボス戦となる。
ボスは4本脚の巨大な蜘蛛みたいな敵だ。まずは4つの足を攻撃して破壊すると本体にあたる胴体が地面に落下する。そこを攻撃することで初めて敵の体力を削れる仕組みになっている。
ただし、一定の時間を経過すると足は復活するので、再びその破壊をしなければならない。足単体の耐久力もそれなりで、火の魔法属性が弱点になっている。
相性抜群のフレイヤでもそれなりに攻撃しないといけないので、適性が低いオレのライディースでは尚更だ。――とはいえ、敵の攻撃も激しく、あまり攻撃に集中しすぎて防御面を疎かにしているとあっという間に戦闘不能に追い込まれてしまう。
このゲームは、キャラクターの特技を使うポイントが敵に通常攻撃することによって補給される仕様になっている。オレのライディースは味方全体に回復を施せる特技をもっているのだが、それを続けて使うためには結局攻撃もしないといけないのだ。
粘り強く戦ったが、オートマッチングのフレイヤが先にリタイヤ。1人いなくなると、ボスと戦いながら時間で発生するザコ敵の処理が追い付かなくなってくる。それによって被弾が増え、オレもアキもユージも戦闘不能になった。
「あー、もう! 惜っしいなぁ!」
「戦術的には悪くなかったね、次はきっといけるよ?」
4人協力プレイは、2人でやったとき以上に一体感があってとてもおもしろかった。――とはいえ、難易度を上げてきているので難しい。この破戒級まではなんとかクリアしてみたい。オレはそう思って再挑戦した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます