第24話 4人協力プレイ

 オレは一旦ガチャを切り上げて、当初の予定であったノワモワの新しい期間限定イベントの協力バトルをする提案をした。今日は3人いるので、4人協力プレイをする。オレとアキ、ユージの3人で先にマッチングして後1人だけをオートマッチングで入れるのだ。


 アキとユージはフレイヤを使い、武器も専用。今から進めていくステージでもっとも適性を発揮する武器とエレメントの組み合わせだ。

 一方、オレは先ほど引いたライディースに、専用ではないが一応SSランクの装備をさせて参戦する。残念ながらロゼッタは今回の環境では、驚くほど不向きらしい。このゲームをそれなりに続けているアキとユージにとっては、どうやらそれは当たり前のことのようだ。

 ライディースは適正が高いわけではないが、戦力にならないレベルでもないようだ。


「オートマで抜けられたら、絶対シュウのライディースのせいだからねぇ。なんならフレイヤ引けるまでガチャ回せばよかったのに?」


 オレはアキの挑発とガチャの誘惑両方を振り払うため、無言で4人協力プレイの画面を開いていた。ユージがまず4人協力のオーナーとなって、マッチング部屋を開設、彼の画面に表示されている4桁の数字を打ち込むとオレやアキがその部屋に入れる仕組みだ。3人揃ったところで、部屋をオートマッチングに開放するとランダムで誰かが参加してくれる。


 まずは1番低いランクから順番に、この3人でいけるところまで難易度を上げていくことにした。



 ノワモワの期間限定イベントは、主人公クロエ(オレの場合)が呼び出す英雄にスポットを当てた外伝となっている。つまり、ゲーム本編とは無関係の物語で、設定上は遠い過去の話となっている。


 ゲームの舞台となっている「エルガイア」にかつて存在した魔王。それを討伐するためにいくつかの国が手を組み、連合軍を編成する。その軍隊は壊滅状態に陥るのだが、最終的には魔王を討伐するに至る。その戦いで大活躍した英雄が「フレイヤ」と「ライディース」、という設定だ。



 ユージの開いた部屋に無事4人目のプレイヤーがマッチングして、協力プレイがスタートした。オレ以外は見知らぬ4人目含めて「フレイヤ」を使用している。

 オレだけ違うキャラクターであるのに若干の疎外感を感じた。そして、それを見透かしているかのようにアキはなにか言いたくてうずうずしている表情を向けてくる……、がオレはそれをスルーしてゲームに集中した。


 「4人協力」――、といっても序盤のマップは、バラバラに配置された敵を各個撃破していく感じだ。難易度が低いところであれば、キャラクターごとの適性の差をそれほど感じず、むしろライディースの利便性の方が活きる戦闘になっていた。


 4人協力は、難易度が初級から始まり、中級、上級ときて、超上級、破戒級、地獄級、天獄級まである。

 超上級までは、それなりに適性のあるキャラクターと武器が揃っていればハウスの補正や凸がそれほどなくても十分クリアできる難易度だ。だが、破戒級以降になるとキャラクター自体の強さとプレイヤーの操作スキル両方が揃わないとなかなかクリアできないらしい。


 一番やり込んでいるであろうユージは、常に期間限定イベントの最上級ランクをクリアしているそうだが、オートマッチングでそれなりに戦えるメンバーが揃わないと厳しいと言っていた。アキも大体のイベントはクリアしているそうだが、最上級含めて全部かと言われると、そうでもないらしい。


 今回、オレを含めた3人とオートマッチングの誰かの力で果たしてどこまで進むことができるのか……。

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